またマツダはマツダで、トヨタやデンソーなどと2017.9月に「EV C.A.スピリット」と言うEVの基盤技術開発の会社を設立しているので、そのうちその成果も出てくるのではないのかな。これには、2018年に4社(SUBARU、スズキ、ダイハツ、日野)が加わっている。なお、「EV共同技術開発リーダー」の役職を任されているのはマツダの藤原清志専務(当時)である。この会社は2年限定としているので、2019年の今年と言ってももう終わりに近づいているが、今年がその期限である。そろそろ何か成果が出てきてもよさそうであるが、どんな状況なのでしょうか。
このような状況を鑑みると、EVは何とも厄介な存在である。EVの核となるのはバッテリーであるが、
そのバッテリーは、ものすごく高価でしかも重くて、満足な航続距離も得られず、しかも充電時間が長すぎる、と言う3重苦を負っている。
そうかと言って自動車会社は、放っておく訳にはいかないのだ。環境規制かすぐそこまで迫ってきているからである。
TMSで発表したMX-30EVがその一つの成果かもしれないが、マツダの藤原大明神(副社長)も、このEV化には大分お困りのようだ。
まあ「EV C.A.スピリット」の成果としては、先のホンダのEV用PFの話が出ていたが、結局のところそんなEV用PFを標準化する所に落ち着くのではないのかな。
マツダとしては、しかもPureEVを出すには出すが、主力となるのは、REを使ったレンジエクステンダーEVかPHEVとなるのでないのかな。本格的なEVはトヨタの「全個体電池」が実用化されてからの話となろう。LiIonバッテリー搭載のEVを無視するわけではないが、ここ当分は過渡的な物となるのではないのか、だから本格的なものはお預けで早くて2025年頃の話となろう。これはLiIonバッテリーを無視するものではなくて、全方位的な対応のなせる業なのでしょう。
トヨタは2020年には中国でEVを発売し、日本では2020年末に2人乗りの小型EVを発売する、と言っているので、トヨタ流の思想でそれなりに着実に電動化を進めているものと思われるので、マツダもそれに準じて進めているのではないのかな。
また、2017.12.13のトヨタとパナソニックの車載電池の提携の記者会見の場で、トヨタは次のように語っている。
(1) 2025年頃にはエンジン車だけの車種はゼロにして、全車種でEV、HV、PHV、FCVなどを選べるようにする。
(2) 2030年には、電動車両を全販売台数の半分以上の年間550万台以上、そのうちEVとFCVのZEV車だけを100万台以上販売する。
(https://toyokeizai.net/articles/-/211115 を参照のこと。)
(1)は、エンジン車を無くすと言っているのではなくて、エンジン車だけの車種を無くすと言う事で、例えば、vitz(ヴィッツ)と言う車種は(例えば)エンジン車だけしかなかったが、HVやPHVなどの電動車も作って販売する、と言う事。
まあ2025年頃には全個体電池も見えてくるので、こんな発表となったのではないかと、小生は勘ぐっているが、トヨタもEV化にシャカリキになってきたと言うところなのでしょう。だがまだ5年のことになる、だから5年先10年先の話と思っていると、トンデモナイどんでん返しがあるかもしれない。
藤原大明神もそんなニュアンスの話をしている。
マツダ神社藤原大明神新春大降臨祭・06
EVにいま投資することは恐怖ですよ。
フェルディナント・ヤマグチコラムニスト
2019年2月18日
(略)
「EVを作っても自動車会社はそれほど儲からない」
大明神が厳かに語られた爆弾御託宣。
まずはその部分から。
藤原清志・マツダ副社長(以下藤): EVかディーゼルか。有り体に言えば、自動車会社として、どっちが本当に儲かるのか。現状、EVのビジネスって相当に難しいんです。まったく儲からないことも多いんじゃないかな。
F:えぇ!
藤:すくなくとも、我々がEVを作っても儲ける自信はありませんね。EVって自動車メーカーは儲からないんですよ。実は。
F:えぇぇぇぇぇ!
先週はここまでお伝えした。以下、その続きを。
藤:そんなに驚くことじゃないですよ(笑)。もちろん、我々も一生懸命研究開発は進めております。だけど現状だけで言えば、EVじゃ自動車メーカーはまったく儲からない。
F:儲かるのはバッテリー屋さんや電装屋さん、ということですか。
藤:どうだろう。儲かるかどうか分かりませんね。何しろ大変な投資をしなくてはいけないので。いま投資することは恐怖ですよ。怖いと思いますよ。だってまだどんな形の電池になるか決まってもいないのに。
F:そうでした。固体か半固体か。ニッケル水素かリチウムイオンか。はたまた噂のスーパーキャパシタか。
どこの会社も投資に慎重にならざるを得ない
藤:そう。いま投資して、5年後に何か新しいバッテリーができちゃったら。そうしたらもう、いまやっていることが全部パーでしょう。それを誰かが補償してくれるのかと。
F:誰も補償などしてくれません。「ゴメン。それ要らないわ」と言われたらおしまいです。
藤:ですからどこの会社も投資しにくいんですよ。みんなすごく慎重になっている。「お金を出してくれ」とも言われていますし。
F:お金を出してくれ。誰が誰に言うのですか。
藤:バッテリーのメーカーさんが自動車メーカーに。イザというときは補償してくれとか、工場に出資してくれとか言ってきますね。バッテリーを作っている工場を見に行ったら分かると思いますけど。やっぱりすごい設備なんで。
F:そこは私の本業の領分なのでよく分かります。最新のバッテリー工場は、まるで半導体工場のようなクリーン環境ですものね。ともかく埃を徹底的に排除しています。パーティクルが混入すると簡単に爆発してしまうから。
藤:そうです。バッテリーは作るのも大変だし、積むのも大変です。積むときは衝撃から守るように養生しないといけないので。
マイトのY:スマホのバッテリーが燃えても大変なのに、それが車載の大型バッテリーとなると……。想像するだに恐ろしい。
F:実際にテスラも事故で燃えたことがありますからね。シボレーのボルトなんかは事故じゃなくても燃えている(笑)。
マイトのY:よしなさいよ……。
F:中国系のEVは燃えていないんですか?
藤:うーん(腕を組む)。
マイトのY:中国の国産車が燃えても、ニュースにはならないんじゃないかな……。
F:まあ事故で潰れた新幹線をそのまま埋めちゃう国だからね。
マイトのY:よしなさいっての!
藤:だからいま本当にバッテリーに大きく投資できるのは、国がバックアップしているとか、何らかの裏付けがある会社だけなんです。例えばCATLとかBYDとか。こうした中国の会社は、恐らく何かあっても中国政府がサポートするという約束とか、そういうリスクヘッジをしているのじゃないですか。韓国もそうですね。LGとサムスン。彼らはもう国としてバッテリーに懸けているじゃないですか。そういう意味からすると、日本はそこまで懸けていないので。
(続く)