小沢一郎の土下座外交(1/5)

1.「新テロ対策特別措置法」の成立

2008年1月11日午後、衆院本会議で自民・公明両党などの3分の2の賛成多数で再可決し、「新テロ対策特別措置法」(給油新法)は成立した。思えばこの新法は、かなりの紆余曲折を経て成立したことになる。
これには、憲法59条の規定による正当な手続きによる衆院での再議決があった。

2007年9月12日、職を賭してでもテロ特措法を延長させると言った安倍首相が辞任し同9月25日に福田康夫首相が誕生。

そして、政府は10月17日に新テロ対策特別措置法案を国会に提出した。

11月1日旧テロ対策特別措置法は期限が切れ、インド洋に派遣されていたわが自衛隊の補給艦「ときわ」護衛艦「きりさめ」は日本時間2日午前零時、帰国の途に着いた。

再可決を睨んだ政府は、2007年11月9日臨時国会の会期を12月15日まで延長し、さらに、12月14日にはこの臨時国会の会期を2008年1月15日まで再延長して、法案の成立を図った。

この法案は、2007年11月13日衆院を通過し、参院に送られた。そして福田首相は2007年11月16日、ワシントンでブッシュ米大統領と会談し、同法案の早期成立を目指すと表明する。

2008年1月11日午前の参院本会議、この新法案の採決では、民主・共産・社民など野党の反対多数で否決された。投票総数239のうち賛成106、反対133だった。

この参院での否決を受け衆議院では、憲法59条の規定に基づき給油新法を再可決した。衆院での投票結果は、次のとおり。

投票総数  473    議員総数 480

(3分の2)(316)  (3分の2)( 320)

 賛成    340 

 反対    133

(注)憲法59条とは

[法律案の議決、衆議院の優越]

①法律案は、この憲法の特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したと
き法律となる。

衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

③前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。

参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

と言うものである。

従って、2007年11月13日から丁度60日目が、2008年1月11日にあたる。もし参議院が1月11日までにこの給油新法に何らかの議決をしなければ、否決したこととなり、衆議院は翌1月12日にこの給油新法は3分に2の多数で可決されることになる運命にあった。

与党側にとって、給油新法案を衆院で再可決することは既定路線であった。自民・公明両党の衆院議員数は合計336人と、再可決に必要な3分の2(320票)を上回り、票読みをする必要はなかった。実際の衆院本会議の投票結果は上述のとおり。

(続く)