岡田監督に物申す。(5)

○日本の報道陣は代表に冷淡?

英『インディペンデント』紙は、http://www.independent.co.uk/sport/football/international/honda-drives-japan-past-stalling-cameroon-2000572.html

「今大会ではまだ意外な展開というのはそれほどないが、(日本勝利は)現時点

での最大の波乱と言えるかもしれない。日本はあまりにひどい混乱状態で南

アフリカにやってきた
。なので、ブルームフォンテーンへ出発する直前にMF本

田圭佑が日本の報道陣に、本当にグループリーグを全敗すると思ってるのかと

尋ねた時、返ってきたのは気まずい沈黙だった」と書いています。しかし、強化

試合に次々と敗れた日本は「仕上がり具合という意味では、このW杯で最悪

のチームだと言ってもいい
」し、ベスト4までいくという岡田監督の予測は「相

変わらず馬鹿げているのかも知れないが、優れた戦略家を自認するこの男は少

なくとも、1998年大会の3連敗記録を塗り替えることには成功したのだ」と総評し

ています。


しかも「日本は試合を圧倒したわけではなく、目の前に転がってきた唯一のチャ

ンスをつかんだ」のだと。闘莉王率いる日本のディフェンスは「右にふられたエト

ーをどんどん後ろ後ろへと追い込んで」仕事をさせなかったし、カメルーンがやっ

と活気づいた時にはもう遅く、運も悪かったと。


日本がよくやったというよりカメルーンはどうしたんだ?という論調はほかにも

多く、たとえば米『タイムズ』誌は、
http://specials.blogs.time.com/2010/06/14/cameroons-domitable-lions-what-was-their-coach-thinking/

「監督は何を考えていたんだ?」という記事で、「『不屈の獅子たち』は、主要選

手の才能や運動能力をフル活用するために必要な試合を全くしなかった」とカメ

ルーンを批判。特にルグエン監督については「エトーの足元にボールを運ぶた

めのプランが、何もないようだった」、「自分のところにボールがやってこないた

め、エトーはボールを求めてどんどん後ろ後ろへ下がるしかなく、そのせいで彼

が試合に貢献したのはもっぱらミッドフィールド前方。最後は、エトー自身よりも

フィニッシュが下手なストライカーに託すしかなかった」と。つまりは監督の采配

に問題があったとしています。


「もっと善戦するべきチームの、驚くほどひどい試合ぶりだった。対する日本は

自分たちに出来る限りのことを上手にやってのけた
カメルーンを封じ込め、

態勢を崩さず、チャンスとなると一気に前線になだれこんだのだ。しかし(カメル

ーンも日本も)オランダやデンマークにはあまり抵抗できないだろう」と、ありがた

い予想もついています。


その一方でサッカー専門サイト『Goal.com』では、
http://www.goal.com/en-gb/news/2890/world-cup-2010/2010/06/14/1976462/world-cup-2010-comment-japanese-grit-and-determination-tames

日本勢を絶賛
。「日本の根性と決意が不屈の獅子たちを飼い慣らす」という記

事の冒頭から、「握り拳が全てを語っていた。短いシュートを何とか食い止める

ためダイブしたばかりの日本のGK川島永嗣は、ロスタイム4分の2分が過ぎて、

小さく自分に向かってガッツポーズをした」、「(川島は)カメルーンを1対0で敗っ

たアジアのチームの、根性と決意の程を体現していた」と川島を褒め称えてい

ます。「ついに! 外国で初勝利だ!」とも。


さらに、日本代表は「日本らしくない勝ち方をした。日本というのは決め手のな

い、目には優しいサッカーをするはずなのだが、最近の強化試合での苦戦ぶり

は観るのも辛かった。日本代表が0勝で早々に敗退するだろうと確信していた

日本の報道陣はもしかしたら今夜、身の縮む思いをしているのかもしれない」と。

上のインディペンデント紙記事にもありますが、日本代表の同行記者団は、そん

なにあからさまに冷淡だったんでしょうか……。まあ、何と言いますか、取材対象

を冷静に客観的に見つめるのが報道の役割ではありますが、冷淡と冷静の違

いは、さじ加減の難しいところです。いや、批判するだけなら簡単ですが。何事

につけても。


そうした冷淡さとは全く無縁に、この記事はともかく熱く日本代表を絶賛してい

て「日本の選手は最初から最後まで一致団結していた」とか、「主将の中澤佑二

が見事にまとめあげたディフェンスは、中澤の影響力が衰えているという報道と

は裏腹に、堅牢だった。中盤は後ろへ後ろへと押され気味だったが、それでもチ

ームは態勢を崩さず、まとまりを失わなかった。実に果敢な試合ぶりだった」と

か、「これまで言われていたよりもはるかに、日本代表は気骨としぶとさを備

えたチームだと分かった。ということはつまりグループEは実に面白い展開

になるはずで、それひとつをとっても
、批判されてばかりの岡田武史は、評価

されるべきだ」と賞賛。さらに「日本のエンジン・ルームでホンダは止めようがな

かった」と、やはりここでも「HONDAギャグ」が。本田選手が活躍し続ける限り、

この乗り物関連ギャグはついて回るのでしょうね。


最後に余談です。お手すきの時に、『ガーディアン』のこちらをご覧下さい。
http://www.guardian.co.uk/football/world-cup-match-replay

サッカー大好きなフラッシュ技術者が腕にものを言わせて作ったのが見え見え

のグラフィックが、とても面白いです。全ての試合について、試合経過に合わせ

てどういう単語がTwitterでツイートされたかを見せてくれるもの。マックロクロス

ケみたいなブワブワした円が、ゴールした瞬間に「グワッ」と大きくなるのが生々

しくて面白いです(つまりゴールされたとたん書き込みがうわっと増えた様子が、

ビジュアルで観られるわけです)。試合日と競技場の名前がクロスするところに、

該当の試合の円があります。日本対カメルーン戦は、右端に

「Mangaung/Bloemfontein」と書いてある列の左端にあるサムライ・ブルーの円

です。これでイタリア戦とか見ると、反応がイチイチ派手で笑えます。

http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/sports/gooeditor-20100615-01.html

           

小生は、「全く何の根拠もないのに、準決勝に行くとか言ったりしている」と言

う言葉に注目したいのだ。

14:43: A word on Takeshi Okada. An amusing fellow, this one. He has predicted that his side will reach the semis, despite absolutely no evidence to suggest anything other than that they will disappear without ever troubling the scorers.

ガーディアンのWorld Cup 2010 Twitter replay のRound of 16 の右下の白丸

が「Paraguay-Japan戦」だ。これは惜しくもペナルティキック戦で敗退してしまっ

たのだが、これに勝利すれば、ベスト8なのだ。この絵を見るとQuarter Finals

は目の前だ。だから準決勝へ行くことは、あながち無理なことではなかったの

だ。この絵を見ると、あの大会でのベスト8は目の前にあったことがよく分かる。

しかし日本チームは行けなかった。すぐそこにあったのであるが、行けなかった

のだ。今更ながら、誠に残念だ。ベスト8の次が、当然のことながらベスト4なの

だから。

(続く)