尖閣諸島問題その2(101)

日本ともう1回戦争して、今度こそ勝ちたい

「でも、たとえそうであったとしても、そうした敏感な中国人の心に日本人は少しも気づこうと

もしない。中国人の中には日本人ともう1回戦争してみたい。そして、今度こそ勝ちた

という潜在意識を持っている人がいるのも事実です」


 日本人にとっては耳を疑うような、信じられないような話だが、こうした話は以前も断片的

複数の中国人から聞いたことがある。張もある屋台の店主が「今日釣魚島を盗られたと

いうことは、明日は海南島を盗られるかもしれないということだ。そして、あさっては私が住

むこの家も日本に盗られるかもしれないんだぞ。うかうかしてはおれん」と口から泡を飛ば

して話していたのを見たと話していた。


 日本でも「1日でも早く国有化しないと中国に沖縄県も乗っ取られる。日本の森林も土

地も、何から何まですべて中国人に買われてしまう」と危機感を感じている人が一部にいる

のと、似たような構図なのかもしれない。


 以前にも日本に長期滞在したことがあり、日本人の性格をよく知っている張から見れば、

こうした屋台の店主の意見は「日本に対する大いなる誤解だ」とすぐにわかる。


 だが、日中国交正常化から40年という月日が経ち、これだけ多くの要人や留学生、経済

人が行き来してもなお、お互いに誤解し、猜疑心を持ちこんなにも心が通じ合ってい

なかった
のだろうかと思うと、私は暗澹たる気持ちになった。そして、戦争で攻めた側の人

間はその事実を忘れても、攻められ傷つけられた側の人間は、そう簡単には忘れないのだ

という、至極当たり前のことを改めて痛感した。


 私は日中を行き来する張に「一般の中国人が、日本について最も誤解していると思うこと

は何だと思うか?」と問いかけてみた。すると、「日本の『異常さ』を理解していないこと……

ですかね」という奇妙な答えが返ってきた。


 その真意はこうだ。普通の国家ならば、常に国益を主張し、経済発展すれば世界での発

言力も増し、自らの国に対して自信を深めていくものだが、日本人はここまで経済発展し、

優秀な民族であるにも関わらず、日本人であるということに、なかなか自信を持てないで

いる。そして、とことん平和を愛している国でもある」という。


 まさしく、その通りだと思った。だが、ここまで鋭く日本を見る張のようなエリートが大勢い

るわけではなく、日本をよく知らない中国人は「中国は日本から再び侵略されるのでは

ないか
」とうたぐり、「もし日本人がもう一度戦争をするというならば受けて立つ」とさえ真剣

に思っている。


「これだけは書いてほしい」


 そこまで日本を意識するのは「中国人が唯一、引け目を感じている国日本である

から」だという。戦争で中国人に大打撃を与えておきながら、こんなにも小さな国・日本は

文化大革命で大混乱に陥った中国のすぐ隣にいてコツコツと働き、はるかに速いスピード

で経済発展を果たし、GDPで世界第二位の座に40年間も君臨した。それが中国人のコン

プレックス
となっているというのだ。


 しばし黙りこくった私に対して、張は、珍しく少しだけ強い口調で「中島さん、これだけは書

いていただけませんか?」といって、ある情報番組のコメンテーターの話を持ち出した。


 尖閣問題を取り上げたあるテレビ番組の中で、「日系企業が危険にさらされている。なぜ

中国政府はすみやかに対応できなかったのか」という話題の流れで、ある日本人コメンテ

ーター(タレントではなく社会的地位の高い人)の口から信じがたい発言を聞いたのだという。


「中東の『アラブの春』のときはフェイスブックを一時遮断したでしょ。今回、中国政府はなん

中国の微博(中国版ツイッター)を遮断しなかったんでしょうね?(遮断すれば、日系

企業が攻撃されなくて済んだかもしれないのに)」


 この言葉を聞いて、どこがおかしいのか、と思う日本人もいるかもしれない。

 張に解説してもらった。


「中国国民はデモという手段ではあったけれど、自分の心にある怒りや不満、どうにも押さ

えられない気持ちをあそこで表現したんです。そうした下層の若者たちの苦悩の気持ち

の一端は、ぜひ日本人にわかってほしい」


「そして、このコメンテーターに代表されるような人々は、自分たちに無害な遠くで発生して

いる(アラブの春のときのような)民族の感情には「民主化」の観点から、武力で鎮圧する

側の政府を批判した。しかし、今回の反日デモのように、民衆の怒りの矛先が自分たち

(中国の日系企業)に向くとわかったら、今度は抑え込まない中国政府を批判するの

ウイグルチベットの運動も一部は暴徒化や略奪があったが、そのときは鎮圧した中

国政府を批判した。(西側民主主義国家にとっての是である形式の)民主化に向かってい

ってほしいはずの中国に対して、脳天気にインターネットを遮断すればいいじゃないか、と

までいい放ったのです。これはあまりにも中国人を見下した、自分たちにとって都合のよ

ダブルスタンダード
とはいえないでしょうか」
押さえ込んだアラブ政府を批判しながら、押さえ込ま

なかった中国政府を批判するのか。それは中国のデモが民主化要求ではないからだ。半ば管主導の単なる暴

力だから中国政府は取り締まらなかったのだ。当然真っ当な政府であればこんな官製デモなんぞはしない。



中国はもがき苦しんでいる国だ


 張の言葉を通して、中国人の日本に対する静かな怒りが伝わってくるような気がした。


「今回の問題で、日本人は、自分たちは当然買うべきものを買っただけで、何も悪いことは

していないと思っているかもしれません。でも、あの時点での購入は、あまりにも中国人の

心理が読めなさすぎた
といわざるを得ない。そして、ここまで中国人を怒らせた。日本人

は中国人の気持ちが理解できないと思っているかもしれないが、中国人も日本人の気持

ちが理解できないのです」


「中国国内には、日本人には想像もできないほどさまざまな問題が山積しています。中国

は一見、膨張して大国化したかのように見えますが、建国からの歴史も浅く、未熟な点も

多い。中国政府も人民も苦しみもがいている最中なのです。どうか、そのことをわかって

ください」
理解は出来るが、そんなこと分かる必要はない。根本は中国の愛国教育・反日教育である。それらを

やめて真実の歴史ヒストリー教育を実施した時が真に理解できる時かもしれない。


中島 恵(なかじま・けい)


フリージャーナリスト。1967年、山梨県都留市生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。

国際部でアジア、中国担当。トウ小平氏の娘、呉儀・元副総理などにインタビュー。退職

後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、

社会事情などを執筆している。主な著作に『中国人エリートは日本人をこう見る』(日経プレ

ミアシリーズ)。


ニュースを斬る


日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学

び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、

その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜

む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120919/237016/?mlt

 
  
 

だから日本は、中国から吹っかけられてくる戦争には、至急準備をしなればならないのだ。


それが憲法9条の改正であり、国防軍の創設なのである。だからと言ってすぐにでも、中

国と戦争状態に入る、と言うことではないしすぐにでも準備が完了するものでもない。今中

国と本気で戦争することになれば、日本は完全に負けてしまう。日本には専守防衛の軍隊

しかないのだ。


しかも中国は核弾頭をつけたミサイルを少なくとも400~500発も、日本各地を標的とし

て配備している。日本には核は一つも無い。これでは全く勝負にならない。こんな状態で中

国に戦争を吹っかけられてしまえば、日本は滅亡してしまう。


こんなことはすぐにでも防がなくてはならないのだが、しかし馬鹿な憲法を持っている日本

には、こんなに危険な状態に置かれていても、何の対抗策も無い。日米安保のアメリカに

頼るしかないのだ。


幸いなことに現在は、アメリカも日米安保条約で日本を守ると言っている。しかし、無条件

に日本を守ってくれるようには、この条約はなっていないと言う。米国議会の許可が必要だ

と言う。これでは誠に心もとない。だから日本も「自分の国は自分で守る」ことの出来る体

制にもってゆく必要があるのである。何年かかるかわからないが、今すぐその準備に取り

掛からなければならないのである。

(続く)