尖閣諸島問題その3(13)

もちろん日本はすぐさま不快感を示し、抗議をしている、当然のことだ。しかし、この裏には

何かあるのかもしれない。

 

「全く筋違い」人民日報論文、官房長官が不快感
2013年5月8日(水)20:55

 沖縄の領有権を「未解決」とした人民日報の論文について、菅官房長官は8日の記者会

見で、「歴史的にも国際的にも、我が国の領土であることは紛れもないことだ。もし中国でそ

ういうことが論評されているようであれば、全く筋違いだ」と述べ、不快感を示した。

 論文が尖閣諸島沖縄県石垣市)を中国に返還するよう求めていることに関しても、菅氏

は「全く不見識な見解だ」と厳しく批判した。

 また、外務省幹部は8日、「中国政府が関与して書いたとなれば、看過できない」と記者団

に語った。政府は論文が掲載された経緯を調べ、中国政府の関与が認められれば抗議する

方針だ。

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20130508-567-OYT1T01195.html

 

 

この記事の半月前の2013.4.13には、アメリカのケリー国務長官が中国へ行っている。そし

習近平国家主席中国共産党総書記)らと会談している。この訪中の目的は北朝鮮の核

実験やミサイル発射に関する脅しに対処するための相談だとされているが、そのほかの困

難な課題についても相談したようだ。そして中国の協力を仰いでいる。


その時中国は、協力することはするがその代わりに、「尖閣諸島は中国のものだ」と言うこ

とを、ケリーに認めさせようとしたと思われる。ケリーが何と答えたかは洩れてはいないが、

多分どっちつかずの返事をしたのではないかと想像される。そうでなければ、沖縄までもが

中国のものだ、などと人民日報が報ずる筈かない、と思っていたほうがよい。

 

国務長官が訪中、北朝鮮への対応で連携確認
2013.04.14 Sun posted at 11:13 JST

北京(CNN) ケリー米国務長官は13日、中国を訪問し、習近平(シーチンピン)国家主席

李克強(リーコーチアン)首相らと会談した。北京での記者会見で、米中両国が北朝鮮に自

制を求めていくことで一致したと述べた。

ケリー長官は同時に、両国とも北朝鮮問題との間で脅しの応酬ではなく、平和的解決に的

を絞る方針だと強調した。

習主席との会談では朝鮮半島情勢をはじめ、イランの核問題、シリア内戦や中東情勢、世

界経済など、困難な課題が重なる重大局面であることを強調し、中国側の協力を求めた。

両国は、地域と世界の安定には朝鮮半島の非核化が非常に重要であるとの認識で一致

し、その目標の実現に向けて行動していくことで合意したという。

中国側は、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の再開に努め、北朝鮮に合意の順守を求め

ていく立場を改めて表明した。

http://www.cnn.co.jp/usa/35030815.html

 

 

だから何時までもアメリカが、日本を守ってくれるものと、思っていないほうが賢明なのだ。

先にも紹介したように世界は無政府なのだから、米国は中国と日本を天秤にかけて、中国

の方が米国の国益に適うと思えば、アメリカは簡単に日本を中国に売ってしまうであろう。

アメリカ経済にとっては、今や中国はなくてはならない市場(貿易相手)となっている。中国な

くしてはアメリカ経済は成り立って行かないのだ。なんと言っても海外での総米国債5兆

6600億ドルの内、中国は1兆2200億ドルで、その2割を保有しトップなのである。2位は

日本で1兆971億ドルであるが中国は無法国家なので、米国は中国の顔色を窺わざるを得

ないのである。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130417-00000030-xinhua-cn

 

 

【8】アメリカは本当に日本を守ってくれるか?

 

だから、アメリカは何時まで、日本を守ってくれるのであろうか。米国債を片手に持った中国

から一言睨まれれば、琉球諸島なんぞからすばやく手を引くかもしれない。そんな心配をし

ているブログを紹介しよう。他人事ではありません。

 

ブログ「夏呂冬扇の記」(門田隆将)アメリカはいつまでも「日本の味方」ではない
2013.05.09

昨日(5月8日)、中国の人民日報が、「歴史的に未解決の琉球問題を再び議論できる時

が来た
」という学者の論文を掲載したことに対して、日本国民はどんな感想を抱いただろ

うか。

人民日報は中国共産党の機関紙であり、事実上、国家の意見を内外に表明する媒体だ。

そこで初めて、沖縄の帰属問題が「未解決」であり、中国にこそ「統治する権利がある」こと

を示唆したのである。

これから堂々と「沖縄は中国のものだ」という意見表明を展開していく狼煙(のろし)を中国

が高々と上げたことになる。尖閣が日中どちらのものか、などという話ではない。沖縄その

ものが「中国のもの」というのである。

だが、中国研究家の間では、この主張がおこなわれるのは「当然のこと」であり、「時間の

問題」とみられていた。中国の主張は、段階的に、そして用意周到におこなわれてきている

からである。

昨年12月14日、中国は、東シナ海での大陸棚設定について、すでに国連に中国大陸か

尖閣諸島を含む沖縄トラフまで、「大陸棚が自然に伸びている」と主張し、独自の境界画

定案を提出している。

沖縄に対する並々ならぬ意欲は、すでに「明確に示していた」のである。これは、日本が政

権交代によってドタバタしている時期におこなわれたものだが、年末には、発足したばかり

安倍政権がこれに異議を申し立てた経緯がある。

つまり、尖閣どころか、自国の大陸棚の上に乗っている沖縄が中国の領土であるのは彼

らにとっては「当然」で、今回の主張は、すでに「予想されていた」のである。

(続く)