中国は第二列島線への勢力拡大のために、この東シナ海から尖閣諸島の東側を通過し
て、宮古島と久米島の間を通って太平洋に出なければならないので、尖閣諸島は是が非で
も盗み取りたいのである。それにこの海域に石油が埋まっている可能性があるといわれて
いるから、尚更であるる。次の一文も参照願う。
中国が尖閣諸島にこだわる理由
南西諸島防衛の課題
2012年03月21日(水)小谷哲男
尖閣諸島を形成する大正島
那覇から西に進路を取って慶良間(けらま)諸島の上空を通過すると、沖縄諸島最西の
久米島を右手に眺めたのを最後に、ヘリの窓の向こうには東シナ海の深い青が続いた。
1時間ほどすると、突然水平線から岩山が現れた。尖閣諸島を形成する大正島である。
さらに30分ほど飛行を続けると、今度は緑の緩やかな丘が目に飛び込んできた。久場
(くば)島である。2010年9月に海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船が違法操業をし
ていたのは、この島を基点とする日本の領海内であった。
続いて、尖閣諸島最大の魚釣(うおつり)島がその姿を現した。そばには北小島と南小島
も見える。魚釣島にはかつて使われていた船着き場や鰹節工場の跡、簡易灯台もあ
る。2004年3月には、中国人がこの島に不法上陸している。
離島名称めぐる日中の対立
2010年9月に起きた漁船衝突事件は、この久場島を基点とする日本領海内での違法操業が原因だった
尖閣沖漁船衝突事件以降、中国の漁業監視船が頻繁にこの海域に出現し、領海も侵犯
している。2012年に入って日本政府が尖閣周辺の離島の名称確定作業を行っていること
がわかると、『人民日報』は中国の「核心的利益」を損なうと強く批判し、中国政府も対抗し
てこれら離島の中国名を発表しただけでなく、3月16日には海洋監視船が尖閣周辺に現れ
て領海を侵犯した。
沖縄本島から魚釣島までの距離が450キロ、宮古島からは210キロ、石垣島からは170
キロである。2010年12月に日本政府が策定した「防衛計画の大綱」では、南西諸島防衛
の強化が打ち出され、尖閣諸島の防衛がその一つの焦点となっている。この東シナ海の
孤島をヘリで視察しながら、南西諸島防衛の課題について考えた。
なぜ、中国は尖閣をめぐって強硬姿勢を続けるのだろうか。
まずは、経済上の理由が考えられる。尖閣諸島は、明治政府によって1895年に日本の
領土に編入された。戦前には一時定住者がいたこともあったが、現在は無人島となっている。
1968年に国連極東アジア経済委員会が尖閣周辺に莫大な石油・ガスが埋蔵されている可
能性を指摘すると、中国と台湾が突然領有権を主張するようになった。
13億人のタンパク源確保
また、尖閣周辺はカツオやマグロなどの大型魚が獲れる良好な漁場でもある。中国に
とっての漁業は、13億人のタンパク源を確保し、農村部の余剰労働力を受け入れる役割を
果たしている。乱獲によって中国近海の漁業資源が枯渇しつつあるため、漁船が尖閣近海
に進出する誘因が高まっている。
尖閣諸島・最大の島である魚釣島
軍事上の理由もある。中国は1980年代から近海防衛を重視し、日本列島、南西諸島、
台湾、フィリピン群島、インドネシア群島、シンガポールなどからなる「第一列島線」までの
防衛力強化に取り組んできた。近年、中国海軍は近海防衛から遠海防衛へと舵を切りつ
つあり、とりわけ沖縄本島と宮古島の間に広がる宮古海峡から太平洋に出て、伊豆・小笠
原諸島とマリアナ諸島を結んだ「第二列島線」までの海域での活動を活発化させている。
15世紀に西洋列強が極東に進出して以来、これら列島線はアジアの覇権を握る鍵で
あった。スペインはフィリピンを領有し、オランダは台湾とインドネシアを、イギリスはシンガ
ポールを支配した。ペリー提督率いるアメリカ東インド艦隊は、日本に開国を迫る前に沖縄
と小笠原に寄港地を確保している。つまり、アジアの地政学は長らく“列島線をめぐる戦い”
であった。その帰結が、日米で列島線を奪い合った太平洋戦争(大東亜戦争が正しい)である。
(続く)