世界自動車大戦争(103)

愛車(beloved car)を提案するきっかけQCueになれば、という思いで付けた名称だと言う。次の論考にはそんな風に書かれているが、「愛車を提案するきっかけになれば」と言うよりも、「愛車となるきっかけを感じさせる」クルマを提案するためのものと言ったことか、と小生なりに感じている。

 

そう表現する方が素直であろう。何れにしても市販する予定はないと言っている。

 

 

 

モーターショー、トヨタLQ」が示したソフト主役時代

 

大西 綾

日経ビジネス記者

20191028日 

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車名「LQ」は、新時代の愛車(Beloved Car)を提案するきっかけ(Q/Cue)になればとのおもいを込めている

 1025日に一般公開が始まった東京モーターショー。公開初日は激しい雨と強風に見舞われるあいにくの天気だったが、入場のため多くの来場客が並んでいた。目当てはホンダ「フィット」やマツダの初の量産型EV(電気自動車)「MX-30」など、市販を控えたクルマだけではない。未来を感じることができる各社のコンセプトカーにも人だかりができている。

 「トヨタブースには来年に販売する車は一つもない」。トヨタ自動車豊田章男社長は23日のプレスカンファレンスでこう言い切った。その言葉通り、魔法のほうきをモチーフにしたほうき型モビリティーの「e-broom」などユニークなコンセプトモデルが数多く並んだ。そのなかで、異彩を放っていたのがトヨタブースとは別の会場に展示された自動運転車「LQ」だ。

 LQAI人工知能)の「YUIを搭載している。例えば事前にドライバーが「スポーツ好き」と把握していれば、YUIがドライバーに「今日、このスタジアムで開催されたサッカーの試合だけど・・・」などと対話することが可能だ。

 自動駐車システムも備え、車両側のカメラやソナーと駐車場のカメラが連携することで自動的に入庫・出庫を行う。ほかにもドライバーの眠気を検知し、シートの動きや空調からの冷風で覚醒を促す世界初の「覚醒・リラックス誘導機能付きシート」や、トヨタでは初採用の、デンソーJOLED(ジェイオーレッド)が共同開発した有機ELディスプレーなどふんだんに次世代技術を盛り込んでいる。

 LQ2020年に開催される東京五輪パラリンピックで、聖火リレーの隊列車両などにも導入される予定。今のところ市販の予定はないが、トヨタにとっては販売してもうける以上の意味が込められている。開発責任者の井戸大介氏は「人材の育成や教育で大きな意味がある」という。LQの開発で大きな役割を担ったのはAIに関わるソフトウエアの技術者で、「トヨタ社内でディープラーニング分野におけるリーダー的な存在」(井戸氏)だという。またYUIの開発や関連サービスではJTBNTTドコモと、自動駐車システムはパナソニックと開発するなど、次世代技術を外部企業と連携して作り上げていく意味もある。

 「さらにギアを上げてチャレンジする」。デンソーの有馬浩二社長は24日のプレス向け説明会で力を込めた。2025年までに世界全体でソフトウエアの技術者を約3割増やす方針だ。AIや自動運転分野ではIT勢との本格的な競争が始まっており、機械系エンジニアだけではいずれ太刀打ちできなくなる。LQが生まれた背景には、日本の自動車業界で広がるそんな危機感もありそうだ。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/102500808/?i_cid=nbpnb_arc

 

 

 

ハードなクルマであっても、今後のクルマのセールスポイントは、「ソフトウェア」であることをトヨタの技術者たちは、このLQを試作したことで身に染みて感じた事でしょう。

 

トヨタは電気自動車の開発と共に、ソフトウェア技術者の育成・確保にシャカリキになっているのではないのかな。そんなきっかけを与えてくれたクルマが、このLQであった。遅ればせながらそのことに気付かせてくれたことは、このLQの最大のメリットであろう。

 

などと偉そうなことを言っているが、トヨタにしてみれば、そんなことは当の昔に解っているわい、と言いたいところでしょう。問題は「どんなソフトウェアが必要となるか」と言う事でしょう、要するに、人々がこれからの時代に、どんな使い方を愛車に求めているのかを、探り出したいと言う事。


(続く)