続続・次世代エコカー・本命は?(92)

この環境問題が「モビリティ革命」を引き起こす第一の要因である。

 

と言う事は、ICEV(Internal Combustion Engine Vehicle内燃機関自動車)から早々にクルマは脱皮することを、迫られると言う事である。2017.6.15,NO.54~などを参照願う。

 

即ちCO2を排出しないというパワートレーンへの変革である。

 

ガソリンを燃やさないクルマと言う事は、真っ先に頭に浮かぶことは、電気自動車EVのことであるが、トヨタは「もっといいクルマは操れるもの」と言うやや独善的な考えに振られて、EVからは遠ざかっていた。これが環境対策の主流から外れるキッカケとなってしまったのである。

 

EVに取り組むことなく、と言うと語弊があるが、FCVに走ってしまった訳だ。FCVの量産化(とはお世辞にも言えないが)には成功しているが、売れなくては環境対策にはなり得ないのだ。このことはトヨタとしても十分にわかっていたことではあるが、こ難しい技術に挑戦し過ぎてしまった。この調子でバッテリーに挑戦していれば、今頃はそれなりに性能の良い蓄電池の開発に成功していたかも知れないのだ。一寸時代が早すぎたと言う事ではないのかな、トヨタFCVにとっては。

 

トヨタもようやくこのことに気付いて2016.12.1付けで「EV事業企画室」を設置したが、時すでに遅しで、相当出遅れてしまったものだ(とは小生の感覚であるが)。

 

まあ優先順位を間違えてしまった、とい言い換えることもできる。FCVは絶対に必要な技術であるが、今必要かと言うと疑問が残るものである。先ずは水素を供給する体制作りが必要なのである。しかも石油を改質して水素を取り出すなんぞと言う方法ではなくて、CO2フリーの方法で水素を大量に生産できる方法の確立が求められるのである。

 

何故かというと、イーロン・マスクに馬鹿にされるほど、FCVは今の技術ではないような感じがする。ミライとまではいかないが、次の時代のものであろう。トヨタは先走りし過ぎたのである。だから「ミライ」なのである。今の技術と言えば、そこそこのもので間に合わせることが出来るBEVなのであろう。

 

BEVが一渉り行き渡ってから、おもむろにFCV燃料電池車の時代となってゆくのではないのかな。何もFCVの研究はまだ先でよいと言う事ではないが、FCV「ミライ」の発売の時がトヨタとしてのBEVの発売の時期であり、FCVは「COP22マラケシュ会議」後の今年2017年か来年2018年でもよかったのではないのかな。

 

そうすれば2020年以降の温暖化対策の目玉として、トヨタFCV「ミライ」は今以上に脚光を浴びて登場出来たものと思われる。COP22の今では、FCV「ミライ」も注目度は更々ない。残念なことである。

 

とは言うものの、いまだにCO2を排出しているエセEV車が幅を利かせていることには、いささか幻滅を感ずるものではある。日産のノートe-POWERの「電気自動車のまったく新しいカタチ」なんぞと謳っているので先日日産(販売店?)の関係者に、CO2を排出して走行している以上、決して電気自動車のマッタク新しいカタチなんぞではないのではないか、と聞いてみたが、理解できる返答はなかったので、きっと日産のノートに関する限り環境問題への優先順位はかなり低いものと推察される。試乗してみた感じではそれなりにクルマとしては感触は悪くはなかったが、環境よりも銭を優先したものと感じられ非常に悲しさを感じた。少なくとも日産としては販売店関係者への、この手の質問に対する回答を伝授しておく位の配慮もなかったものと思われるので、やはり日産の哲学はどこへ行ってしまったのかと残念である。きっとゴーンの「コミットメント」の中には、銭はあっても環境と言う字は相当小さくなっていたのであろう。ひょっとしたらないのかも知れない、残念である。

 

自動車の専門家である島下泰久氏の「e-POWER」の評価は、それほど高くなかった理由の一端がわかった気がしたものである。

とすると、三菱もそのうち潰されるものと心する必要がある、などと脈絡はないがやや突拍子もない思いに駆られた。心配である。

 

 

モビリティ革命」を引き起こす第2の要因は、クルマの知能化IoTである。

 

早い話が、クルマが知能を持てば己のAIを駆使して、ビックデータを分析して最もCO2の排出が少ない移動方法を考え出してくれる筈だ。当然クルマはビックデータのネット網に繫がっていなければならない、コネクティッド即ちIoTである。

 

これがクルマの「知能化」と「IoT」である。

 

と言う事は、このAIは人間の頭脳のように学習して、否それ以上にディープラーニングを通して、物事を識別し予測することになる。人間が出来ないことをするようになる。クルマの「知能化」と「IoT」が進めば、確実に交通事故は減ってゆくことになるし、たとえICEVでもCO2の排出も少なくなってゆくことであろう。交通事故などはなくなってしまうことも夢ではない。

 

そうなれば「自動運転」なんぞは、お茶の子さいさいではないのかな。

 

クルマは移動するもの・運ぶもの」となれば、「知能化」と「IoT」はクルマにとっては打ってつけの機能となろう。もちろんAIが人間(の頭脳)と同じように動作する訳ではないので、ある程度道路や交通標識などの外部環境も、それなりに整備されなければならないのであるが、水素ステーションの整備と同じように、クルマの知能化が進むにつれて社会環境も整備されてゆくことになろう。

 

この交通に関する整備された外部環境での自動運転のレベルが「レベル4」と言われるものであり、取り立てて整備されていない環境での自動運転のレベルが「レベル5」だと、小生は理解しているが、これが正しい理解か否かは定かではない、と一言断っておこう。

(続く)