「日本学術会議」は親共・容共組織(51)

「黙して語らない」大量の水

 川勝知事は、JR東海の南アルプストンネル静岡工区の湧水について「全量戻すこと」を主張して一歩も譲っておらず、最近になって「全量には工事中に湧く水も含まれる」という主張を始めた。重要なのは大井川の水を減らさないことで、工事中に発生する水を一滴ももらさず大井川へ流すことではないのではないか。

 大井川の平均流量(毎秒約75t)に比べ、工事中の一定期間、山梨側に流出する量(毎秒0.3t)が大井川中下流域に及ぼす影響が多いとは思えないと、トンネル工学を専門とする首都大学東京の今田徹名誉教授中日新聞のインタビューで答えている。

 そもそも、トンネル工事で発生する湧水は、その工事による河川の減水分より多い。そのまま地中にとどまる水もあれば、水脈をたどって山梨県や長野県に流れている水もあるからだ

 JR東海が環境影響評価準備書に記した「毎秒2t」の水量について、川勝知事は県民62万人の「命の水」と喧伝(けんでん)する。その水量については、JR東海があくまでも「最大で毎秒2t減水と予測」した数値であり、それも「覆工コンクリート等がない条件」での話なのだ。大井川水系で、常時、毎秒2tの水が減るわけではない。

 

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桜井勝郎・静岡県議会議員   

 それほど「毎秒2tの水」を大切にする一方で、静岡県が「黙して語らない」大量の水がある。先述の桜井県議は打ち明ける。

 「トンネル工事で最大で毎秒2tの水が県民の命にかかわるというのなら、なぜ、(大井川上流にある)東京電力の田代ダム毎秒4.99tの水を、導水路トンネルで(大井川流域ではない)山梨県側の発電所に送り、富士川に放流させるのでしょうか。(注挿入、富士川駿河湾に注ぐが、殆どが山梨県にある。釜無川笛吹川が合流し早川と身延町を過ぎたあたりで再合流して富士川となる。)今では山梨県側に放流する水量は、交渉によって5月から8月の間だけは毎秒3.5tに減らすことになりましたが、それにしても、田代ダムから県外に放出してきた水の量は毎秒4.99tで、JR東海で問題にしている毎秒2t2.5倍です。地元マスコミも、田代ダムの水については、知っているのに報じないのはおかしい

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山梨県側に水を放流している田代ダムの航空写真。©Google     

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田代ダムからの導水路図。©Google     

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蛇行しながら流れる大井川(島田市川根温泉  

(続く)