「日本学術会議」は親共・容共組織(52)

JR東海には敵対心丸出し」

 桜井県議は、平成302018年)12静岡県議会定例会(127日)で、田代ダムの水について川勝知事に質問をした。

 「知事は、JR東海には命の水と言われている大井川の水を一滴たりとも渡さないと言いながら、あの田代ダムから毎秒4.99t(が)東京電力の発電用として山梨県側に流れている。あの水はわれわれの命の水──大井川の水ではないのでしょうか」(カッコ内(が)は筆者補足)

 「その(田代ダムの)水には一切触れようとしない。同じ命の水なんです。JR東海には敵対心丸出し、東京電力には沈黙。これはどういうことでしょうか」

 田代ダムの水に関する質問には、川勝知事も難波喬司副知事も答えずじまい。交通基盤局長だけが、東京電力との交渉によって、大井川への放水量を増やした説明をするにとどまった。

 しかし、大井川への放水量が増えたのは、リニア中央新幹線の詳細が明らかになる前に、大井川流域市町長と石川知事(当時)が東京電力に対して、「水返せ運動」を行った結果なのだ。リニア中央新幹線の問題が起きた後で、川勝県政が放水量を増やしたわけではない。

 最近では、静岡県島田市の染谷絹代市長が、田代ダムから山梨県側へ流出している水について、JR東海から東京電力に働きかけて大井川へ戻すべきという主張をした。だが、リニア中央新幹線の工事が行われる大井川の上流部は、静岡県が管理している。従って、河川に関する許認可権は静岡県にあるので、JR東海に東京電力と掛け合うように言うのは、筋違いの話だ。

 そこで、静岡県広聴広報課に「JR東海に『最大毎秒2.0m3t)』の減水を問題にしながら、田代ダムから導水して発電した水を山梨県側に『毎秒4.99m3t)』もの水を放流することは問題ではないのでしょうか」と書面で質問状を送ったところ、次の回答が書面で返ってきた。

 「田代ダムでは、昭和3年より取水を開始しており、国土交通省の許可を受けて最大4.99m3/sの取水を行っています。発電取水による河川流量の減少について、県は、水利権更新の機会を捉え、ダムからの放流量を設定する取り組みを行っています。 

 平成152月に国、県、流域市町、発電事業者が参加する「大井川水利流量調整協議会」を設置し、取水に優先して確保すべき河川維持流量について合意し、平成17年度の水利権更新時には、季節に応じて毎秒0.43m3t/sから1.49m3t/sの水を、大井川へ流すことができました。

 平成27年度には、再度の水利権更新を迎え、協議会で議論を行い、河川維持流量を踏襲することを合意し、平成287月に水利権が更新されています」。

 山梨県側へ毎秒4.99tもの水を放流していることについて「問題か否か」を聞いたのだが、それに対しては明確には答えていない。


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筆者とITmedia ビジネスオンライン編集部連名で静岡県に送付した質問内容

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静岡県広聴広報課からの回答





「田代ダム関連について質問しないでほしい」

 取材を進める中で、静岡県が、議員やメディア関係者に対して、県議会の場や記者会見場などで田代ダム関連について質問しないでほしい」と依頼していたという情報を耳にしたため、そちらについても静岡県広聴広報課に書面で質問状を送ったところ「申し訳ありませんが、事実関係が確認できませんでした」という書面回答が返ってきた。少なくとも「そのような事実はございません」とは言い切っていない。

 リニア中央新幹線は、2027年に品川(東京)・名古屋間285.6キロ)最短40で結び、早ければ37年には、品川・新大阪間438キロ)最短67で結ぶ予定だ。

 この計画が実現すれば、首都圏・中京圏・近畿圏が通勤圏となって、日本人口の半数を超える約7000万人の巨大都市圏(スーパーメガリージョン)が誕生する。巨大都市圏は世界をリードする経済圏となり、経済効果は地方にも波及すると期待されている。



 東海道新幹線リニア中央新幹線の東名阪を結ぶ大動脈輸送が二重系化できれば、予想される東海・東南海・南海の巨大地震や頻発する自然災害にも鉄道での輸送が確保しやすい。

 静岡県にとってもメリットがある。災害時には、東西両方向から救援しやすくなる。また、リニア中央新幹線が全通すれば、東名阪を高速・短時間で結ぶという「のぞみ」の役割がリニアへ移るため、ダイヤに余裕ができ、静岡県内の駅に停車する東海道新幹線「ひかり」と「こだま」が増発される予定ともいう。県内停車の「ひかり」が1時間に1本から30分に1本になるだけでも、静岡県民にとって格段に便利になるだろう。

 川勝知事を筆頭とした静岡県がやっていることは、静岡県民の利益になっているのだろうか。冷静な議論を求めたい。

編集部より:今回の記事を「予告編」とし、筆者が現地で取材した結果や静岡県への書面取材の結果を、以降「静岡県知事の「リニア妨害」 県内からも不満噴出の衝撃【前編】」「後編」という形でより深く検証しています。

(注)
【前編】https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/03/news005.html

後編https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/08/news023.html



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河崎貴一(かわさき たかかず)

サイエンスライター、ジャーナリスト。日本文藝家協会日本ペンクラブ会員。科学、医学、歴史、ネット、PC、食のルポルタージュを多く執筆。著書に『インターネット犯罪』『日本のすごい食材』(ともに文春新書)、パソコン・ガイドブック『とことん使いこなそう!』シリーズほか多数

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/01/news015_4.html



是非とも、「前編」「後編」にも、アクセスしていただきたいものだ。

まあ、今までの議論のまとめではあるが、後編の方がやや目新しいことが書かれている。

 

さて、リニア中央新幹線の結末や如何? そして川勝平太の行く末は?

 

そして森さんもお辞めになるようなので、いっそのこと、東京五輪も一緒に止めてしまったら如何かな。中国・武漢新型コロナウィルスの猛威も収まる気配がない。五輪後のパンデミックは一層強大になると覚悟しておくことだ。

 

(終わり)