世界の流れは、EV化(44)

クルマだけに限らないが、他の移動手段とクルマが異なるのは、特にパッセンジャーカーでは、それが「プライベートな空間」となる、と言うことが重要なことのようだ。

 

その「プライベートな空間と時間」を、このエレクトロニクスの発達した時代では、有意義に使えるのではないか、そして何か事業化できるビジネスがあるのではないか、と言った発想がソニーとは言わないが、あったのではないのかな。

 

しかも「自動運転」の時代がすぐにでもやって来そうな雰囲気なので、そのモビリティのプライベートな時間・空間を有意義に過ごせるものがあれば、平たく言えば、何かものになりそうだ(金になりそうだ)と言ったことなのかなあ、とぼんくらな小生には頭を巡らせたのである。

 

と考えてみたのであるが、何もクルマに乗っている間だけに限る必要はなかろう、とも思えるのであるが、自宅でのプライベートな時間と空間でも、このことは当てはまることではある。

 

ならば、そこにもソニーの言う「セーフティ」、「アダプタビリティ」、「エンターテイメント」は通用するものではないのかな。

 

ソニーにしてみれば、そんなことはすでに実用化している、と思っているのであろう。だから

「モビリティ」でそれを実現したい、と言うことなのでしょう。要は、クルマであるからこそ、そこにはその需要があると判断した、と言うことなのでしょう。

 

 

 

ソニーが参入するEVは「aiboであり、プレイステーションである」。ソニーモビリティが「VISION-S」で目指すもの【幹部インタビュー】

西田宗千佳



REUTERS/Steve MarcusCES2022ソニーブースで展示されているクーペ型の「VISION-S01」と新発表となるSUV型の「VISION-S02
 REUTERS/Steve Marcus            

 

2022年春、ソニーは事業会社ソニーモビリティ」を設立し、EVの自社販売を検討するフェーズに入る。

 

北米で開催中の世界最大級のテクノロジー展示会CES2022のカンファレンスで発表したこのニュースは世界中を駆け巡った。

 

考えてみればここ数年、ソニーCESでアピールするのは「家電」ではなく「動くハードウェア」だった。前年の2021年はドローンの「AirPeakを、そして2020年には試作EVであるVISION-Sをお披露目している。

 

今年の目玉も自動車だ。「VISION-S」のSUV型(多目的車)の試作車「VISION-S 02を公開した。

 

重要なのは、ソニーにとってCES2022で発表したかったのは「新試作車」ではないーーということだ。ソニーが世界に示したかったのは、「自動車メーカーになる」という決意だ。

 

VISION-S発表からの2年、どのような検討が進んできたのだろうか? そして「ソニーEV」をどのような形で実現しようとしているのだろうか

 

VISION-SAirPeakなどの開発を指揮した、責任者であるソニーグループ常務・AIロボティクスビジネスグループ 部門長川西泉氏を直撃した。

 

2年の開発から自信、市販するなら「さらに最適化」

CES2022プレスカンファレンスでSUV型の「VISION-S02」を世界初披露するソニーグループ会長兼社長の吉田憲一郎氏。       

出典:CES2022プレスカンファレンス中継より

 

 

冒頭で述べたように、VISION-S2年前、20201月のCESで発表済みだ。それ以降、ヨーロッパと日本をまたぐ形で開発が進められ、2020年末にはオーストリアにおいて公道での高速走行を実施 した。2021年にはドイツのサーキット内で、5Gを使って日本からの「リモート運転」も実現している。

 

 

VTR

 

 

2020年に公表されたのはスポーツクーペだった。今年は、さらに今風なSUVだ。これに伴い、クーペが「VISION-S 01」、SUVが「VISION-S 02名称変更されている

 

0102は同じプラットフォーム(EVを構成するための基盤で、モーターやバッテリーなどの基本構成)を使って開発している。

 

川西氏は言う。

02を作ったのは、同じプラットフォームで複数のEVを作れる、というコンセプトを検証し、具現化するため。こうやって自動車のバリエーションを増やしていけます」

 

コロナ禍ということもあり、日本での公道走行など、まだ実施できていないテストもあり苦労しているようだが、それでも開発は順調に進んでいるようだ。

 

ソニーグループ常務・AIロボティクスビジネスグループ 部門長の川西泉氏。     

 

この2年間に生じた変化は大きい。

 

2年前の段階で、ソニーは「VISION-Sを自社で市販する予定はないと明言していた。それが今回、「市販に向けて検討し、事業会社を設立するという流れに一転したように見える。

 

川西氏は、市販化検討への経緯を次のように語った。

「市販することも、検討そのものは最初からしていたんです。どうするかをずっと考えていたので、ある時期にいきなり考えを変えた……というわけでもありません。
EVの中に)自分達で持っている技術を導入していき、十分に違いを出せる部分もわかりましたし、車としての設計・製造の難しさも学びました。結果的に、自分達で製品として具現化できる見通しが立ったので発表したことになります」
(続く)