ロシアのウクライナ侵攻(30)

この推測は小生が独自にしたものではなくて、飛鳥新社の月刊誌「Hanada 令和47月号」の遠藤 誉氏の『人類を破滅に導くバイデンの「罠」』 に述べられている内容である。

 

 

遠藤 誉氏は、その中で、ロシアの軍事侵攻に関して、バイデンには次のようなメリットがあると記述している。六つほど書かれている。

 

アフガン撤退で失ったNATOからの信用を取り戻す。

 

アメリカの軍需産業が大繁盛する。欧州諸国はより多くの兵器を米国から購入する。

 

対ロシア制裁のために、LNGなどを米国から大量に輸入することになる。

 

欧州の不安定化により、投資家は欧州でなくてアメリカに投資先を移す。

 

ロシアと言う共通の敵の存在が、NATO強化が叫ばれ、米国の覇権が高まる。

 

ロシア制裁により欧州は打撃を受け、米国を頼ることになる。

 

 

と言ったところであるが、もともとアメリカは、ウクライナに対してNATO加盟を歓迎すると(2008年のオバマから)意思表示している。20097月には副大統領だったバイデンは、ウクライナを訪問して、NATO加盟を強く支持すると演説している。

 

ウクライナはその地政学的なリスクから、ロシアと西側との綱引きの真ん中に位置していたわけだ。

 

20102月、親ロ派のヤヌコーヴッチがウクライナ大統領に当選すると、ロシアとEUからの支援合戦が発生する(2010~2013年)。ロシア派が優勢となると、親欧米派は反旗を翻して20131121日の夜、「マイダン(広場)革命」を引き起こす。

 

その結果20142月にヤヌコーヴッチ大統領はロシアに亡命してしまう。このクーデター(マイダン革命)の背後には、バイデン副大統領が糸を引いていたのであった。こうしてウクライナに「バイデンの傀儡政権」(ポロシェンコ大統領)が誕生したのであった。

 

これによりバイデンは、ウクライナ天然ガス市場を牛耳ることになり、息子のハンターをウクライナ天然ガス最大手のブリスマ社の取締役に就任させている。

 

そうしてポロシェンコをして、ウクライナNATOに加盟させようと画策したのであった。

 

そうして危機感を持ったロシアのウクライナ侵攻が始まったのである。

 

その結果アメリカはウクライナに武器支援を行い、「ウクライナがロシアに対して善戦して民主的な独立国家として存続し、ロシアについては、二度とこのような戦争が出来なくなるほど弱体化させること」が、このロシアのウクライナ侵攻に対する反撃の目的となったのである。

 

 

ウクライナが一段落すれば(戦争が終結することではない)、次は中国の台湾侵攻である。

 

ここでもバイデンは自らは参戦せずに、中国と台湾との紛争(戦争)を起こさせることになる。

 

遠藤 誉氏は、まとめとして次のように結んでいる。

 

バイデンは日本をNATOに加盟させる方向に動き、一方では北京を刺激して台湾政府に独立を宣言させようとしているのだ。バイデンはウクライナと同じ構図を今度は台湾と日本で築こうとしている。

台湾有事は日本有事。ウクライナの次に「バイデンの餌食」になるのは、わが日本であるかも知れない。

 

 

 

バイデン大統領の台湾防衛発言は失言か?

 

遠藤誉 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
2022/5/24(
) 18:24       

 

バイデン大統領来日(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)  

 23日、バイデン大統領はアメリカに台湾防衛義務があるような発言をしたがホワイトハウスは直ぐに「変化なし」と否定。失言取り消しはこれで3回目だ。ミリー統合参謀本部議長も米議会で否定している。しかし―。

 

記者会見でのバイデン大統領の発言

 

記者:簡単にお聞きします。明らかな理由により、あなたはウクライナの紛争に軍事的に関与したくなかった。もし台湾で同じような状況が起きたら、あなたは台湾を守るために軍事的に関与する用意がありますか?

 バイデン: はい。

 

者:本当ですか?

 

バイデン: それが私たちのコミットメント(約束)ですから。えー、実はこういう状況があります。つまり、私たちは一つの中国原則に賛同しました。私たちはそれにサインし、すべての付随する合意は、そこから出発しています。しかし、それが力によって実現されるのは適切ではありません。それは地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたことと類似の、もう一つの行動になるでしょう。ですから、(アメリカには)さらに強い負担となるのです。

 

 これは今までアメリカが台湾に関して取ってきた「戦略的曖昧さ」と相反するものだとして、日本のメディアは大きく報道した。

 その日の夜7時のNHKにニュースでは、「失言でしょう」と小さく扱ったが、夜9時のニュースでは「大統領が言った言葉なので重い」という趣旨の解説に変えていたように思う(録画しているわけではないので、そういうイメージを受けたという意味だ)。

 ことほど左様に、日本のメディアだけでなく、欧米メディアも、また中国メディアでさえ、外交部の激しい批難を伝えながらも、「又しても失言なのか、それとも本気なのか」といったタイトルの報道が目立つ。

 というのも、バイデンは20218月と10月にも、米国には台湾防衛義務があるという趣旨の見解を述べたことがあるからだ。しかし、そのたびにホワイトハウスの広報担当者らは「火消し」に追われ、「アメリカの台湾政策に変更はない。台湾が自衛力を維持できるように支援するだけだ」と軌道修正した経緯があるからだ。

(続く)