カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(34)

ICEは合成燃料と言うCO2フリーの燃料が存在するのであるから、一切の例外は設けるべきではない、と小生は考えるのである。必要であれば、真剣に合成燃料の革新を進めるべきであろう。こうすれば早めに、合成燃料のコストダウンなどの研究開発が進むのではないのかな。 

 

そしてEUのEVシフトには、2つの理由がある、と述べているが、その理由がよく読んでも、小生にはうまく理解できないのだ、出来ればご教授乞う。 

 

ESG投資が重視され、エネルギー安全保障の必要性から、EVシフトが急激に進んだ、と言う理論には納得しかねるものである。単純に環境問題からCO2を排出しない車として、バッテリーの電気自動車が推奨されてきた訳であり、そのため発電のためには化石燃料を燃やす火力発電ではなくて、原子力発電や太陽光や風力・水力発電が推奨されるようになったものであり、BEVが増えるから原子力発電や再生可能エネルギー問題が注目を浴びるようになったのであり、それらがBEVを増加させたものではないのである。まあ環境問題にかこつけた、一種の話題ではないのかな。 

 

さらに言えば、日本(トヨタ)のHEVに勝つために、ディーゼルエンジンで対抗しようとして技術開発に取り組んだものの、窒素酸化物の処理に失敗して(あのVWが)ディーゼルゲイト事件を起こしてしまい、慌ててディーゼルからBEVに鞍替えしてトヨタのHEVの排除を進めようとしたものであり、更にはICEを使うHEVを排除するためにも、2035年からはICEの新車販売を禁止すると、欧州委員会・ECが決めたものである。 

 

しかし完全に内燃機関・ICEを排除して2035年からはBEVだけにすると言うことは、EUの車メーカー(例えばVWでも)にとってもかなりの重荷だったのである、真っ先に根を上げたのはルノーであったのであるが。 

 

合成燃料(e-fuelなど)の使用許可は、当然の帰結だったのではないのかな。 

当然と言えば当然なのであるが、EUとしては、環境対策を口実として(HEVの排除のために)欧州グリーンディール政策を打ち出したものの、域内の自動車産業にもそれ相応の影響があるものであり、合成燃料(e-fuelなど)の使用可は必然のものであったと、小生には思えるのである。当然HEVと合成燃料とは、相性が良いのである。 

 

 

欧州の全面EVシフトに「待った」、EUの政策に注文つけるドイツメーカーの本音 

エンジン車存続のための妥協案「e-fuelの導入を」 

2023.3.8(水)桃田 健史                              

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(桃田 健史:自動車ジャーナリスト) 

 

 CO2排出量を相殺するとされている燃料「カーボンニュートラル燃料」の使用に関して欧州で大きな動きがあった。 

 

 ドイツ政府は2023年2月27日、欧州連合EU)に対して、2035年以降にカーボンニュートラル燃料の一種である「e-fuel」を使う内燃機関を搭載する新車販売を認めるよう要請した。 

 

 この要請は、EUの政策パッケージ「FIT for 55」の修正を求めたものと言うことができる。 

 

 EUは2021年7月に、気候変動対策「欧州グリーンディール」政策を包括的に推進する政策パッケージ「FIT for 55」を発表した。2030年の欧州の全産業での温室効果ガス削減目標(1990年比で少なくとも55%削減を達成する目標)を達成するための政策パッケージである。 

 

 自動車業界においても、欧州域内で新車販売される乗用車と小型商用車について、温室効果ガスの排出量を2030年に1990年比で乗用車で55%削減、また2035年には100%削減を目指すとしている。 

 

 この“100%削減”は、ガソリンエンジンディーゼルエンジンなどの内燃機関を利用する新車販売を事実上禁止することを意味する。内燃機関とモーターなどの電動機を複合的に使う、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車の販売もできなくなる。 

 

 これに対して、自動車産業が主要産業であるドイツが、内燃機関自動車(エンジン車)を延命させるべく、妥協案としてe-fuelの導入を働きかけたというわけだ。 

 

 ドイツメーカー(およびその傘下メーカー)がつくる車は、メルセデス・ベンツBMWといった高級車から、フォルクスワーゲンVW)、VW傘下のセアト(スペイン)とシュコダチェコ)、オペルなどの大衆車まで、欧州全土で普及している。そのためドイツとして、EVとエンジン車の並存の必要性を、改めて欧州連合に訴えた、ということだろう。

(続く)