この論考に最後に次の様な文言がある様に、
「株価や業績の向上は当然。ガバナンス体制の整備や環境問題への取り組みも怠ってはならない。加えて、株主といかに対話していくか。経営に求められるものは増える一方だ。」
トヨタとしても「環境問題」への取り組みは、当然のこととしてないがしろには出来ないし、していない。しかしながら世の中に如何にうまく、そのことを株主をはじめ国民に対して伝えていくのかと言うことは、最も大切なことになってきている。
トヨタはそのことはよく弁えているようで、技術説明会「Toyota Technical Workshop 2023」を、株主総会(6/14)を間近に控えた6月8日に東富士研究所で開催した。
株主総会対策だということが見え見えの説明会だと小生には感じられたものであるが、その内容が6月13日に明らかになった。先ずは、桃田健史氏の論考をご一読願う。
驚き!? トヨタが「BEV電池戦略」を一挙公開! 「BEV価格」が一気に安くなる!? 航続距離もかなり伸びる?
2023.06.13 桃田健史
トヨタは「トヨタテクニカルワークショップ2023」を開催しました。その際に今後のBEV展開ならび開発中の電池展開などを公開しました。
驚き! 新型電池をドドッと公開! それぞれの特徴は?
「まさか、こんなに様々な新型電池を一気に量産する計画だなんて!」
トヨタが東富士研究所で開催した「トヨタテクニカルワークショップ2023」に参加した報道陣の多くが世界初公開された「新型電池の量産計画」に驚きました。
これで、BEVの普及が一気に進むことになるのでしょうか。
トヨタが2026年に投入する「次世代BEVモデル」
今回、実物が公開されたの新型電池は3種類もあります。
【画像】えっ…! トヨタが発表前のクルマ大公開! そこまで見せて…いいの?写真で見る!(28枚) https://kuruma-news.jp/photo/656980
具体的には「次世代電池(パフォーマンス版)」(2026年量産予定)、「次世代電池(普及版)」(2026年~2027年量産チャレンジ)、「バイポーラ型リチウムイオン電池(ハイパフォーマンス版)」(2027年~2028年量産チャレンジ)、そして「全固体電池」(2027年~2028年量産チャンレンジ)です。
順に説明すると「次世代電池(パフォーマンス版)」とは、現行「bZ4X」用電池に比べて、満充電での航続距離は2倍となり、コストは20%減、そして急速充電については現在30分かかっている充電能力を20分でカバーできるといいます。
BEVの課題としては、「満充電での航続距離」、「コスト」、「充電インフラと充電時間」の大きく3つが挙げられますので、「次世代電池(パフォーマンス版)」では特に航続距離でのメリットが大きいことが分かります。
正極には、ニッケル・コバルト・マンガンを使う、いわゆる三元系となります。
コバルトとマンガンは、レアメタル(希少金属)として近年、価格が高騰していますので、「コバルトやマンガンの量を減らしても性能を担保できるような研究開発を進めてます」(トヨタ電池開発者)という説明です。
次に「次世代電池(普及版)」ですが、こちらは正極にリン酸鉄リチウムを用いたもの。
一般的にリン酸鉄電池は三元系電池と比べて材料コストが安いと言われています。
そのため、現行「bZ4X」用電池と比べてコストは40%減となる一方で、航続距離は20%増に留まり、急速充電の性能は30分以下。
また、正極と負極がひとつの集電体に備える「バイポーラ構造」とするのが特徴です。
ここまでを一旦まとめますと、「次世代電池(パフォーマンス版)」は航続距離と急速充電でのメリットがあるが、コストはまだ高めになりそうなため、上級BEVでの搭載が想像できます。
また、「次世代電池(普及版)」はその名の通り、コスト低減重視の電池なので、小型・中型の乗用BEVの新車価格を大きく下げることに繋がるでしょう。
さらにその先、「バイポーラ型リチウムイオン電池(ハイパフォーマンス版)」でニッケルを正極として使うパイポーラ構造があります。
これにより、「次世代電池(パフォーマンス版)」と比べて、急速充電の性能は20分と変わりませんが、航続距離をさらに10%増え、コストは10%減を実現できると言います。
こちらは、上級BEVモデルの中で使い分けされることになると予想されます。
BEV ファクトリープレジデント 加藤武郎氏
(続く)