カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(99)

日野と三菱ふそう経営統合へ、規模拡大で脱炭素化に対応 

Reuters ビジネス2023年5月30日3:40 午後2時間前更新 

日野自と三菱ふそうトラック・バス経営統合へ、トヨタと覚書  

 

 

[東京 30日 ロイター] - 日野自動車三菱ふそうトラック・バスは30日、経営統合することで基本合意したと発表した。両社はトヨタ自動車と独ダイムラー・トラックそれぞれの子会社。投資がかさむ電動化・脱炭素化に向けた技術開発に規模の拡大で対応する。 

 

日野と三菱ふそう商用車の開発・調達・生産分野で協業し、トヨタダイムラー自動運転、脱炭素での水素活用、デジタルなど次世代車に必要な技術開発を支援する。 

 

日野と三菱ふそうは、持ち株会社を新設する形で2024年末までに統合する。持ち株会社東証プライム市場と名証プレミア市場への上場を想定し、ダイムラートヨタが株式を同じ割合で保有する。統合比率は4社で今後協議する。 

 

トヨタの佐藤恒治社長は会見で、日本の商用車市場は「世界に比べて規模が小さく、単独で戦うのは難しい」と指摘。水素を活用した商用車の普及も加速させ「4社で商用車事業の新たな可能性を追求したい」と語った。 

 

両社の統合で、中大型商用車市場の国内シェアはUDトラックスを含むいすゞ自動車グループとほぼ同等となる。世界では「市場規模300─350万台のうち、日野25万台、三菱ふそう15万台計40万台スケールメリットになる」と佐藤社長は説明した。 

 

三菱ふそうに89.29%を出資するダイムラー(トラック)マーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)は、日本の商用車大手2社が結集すれば、脱炭素に向けた「ダイムラーの全ての技術にアクセスが可能になり、この統合は決定打になり得る」と述べた。 

 

三菱ふそうのカール・デッペンCEOも、今後も成功し続けるには「単独でできる範囲を超えており、規模が必要」と指摘。日野の小木曽聡社長は、不正問題は自社で対応するものの脱炭素対応を同時に実現するには「単独では厳しい」と繰り返し、今回の4社の枠組みは「千載一遇の機会」と語った。 

 

トヨタの佐藤社長によると、同社が約5%出資するいすゞとは「今後も協業を続ける」予定で、トヨタ主導の商用車技術開発会社(CJPT)の取り組みも「スピードを上げる」という。三菱ふそうのデッペンCEOは、CJPTへの参画については「結論を出すのは時期尚早」と述べた。 

 

日野は非上場となり、現在50.1%を出資するトヨタは親会社でなくなる見込み。日野は昨年3月にエンジンの認証不正問題が発覚し、23年3月期は1176億円の最終赤字を計上した。 

 

今回の契約では、認証不正に起因する問題が新たに顕在化し、統合会社、日野、三菱ふそうの株主が損害を被った場合には、一定の条件に同意することを条件として統合会社と日野が三菱ふそうの株主に対し、その損害につき一定の金銭補償義務を負う旨を最終契約に規定することを予定している。 

 

https://jp.reuters.com/article/訂正-UPDATE-1-日野と三菱ふそう経営統合へ-トヨタダイムラー同等保有-idJPL4N37R1DT 

 

 

運輸部門でのCO2の排出量としては、商用車(貨物車)がその約4割をしめているというので、2050年にカーボン・ニュートラルを達成するためには、貨物 

車のCO2削減、即ち貨物車の電動化は待ったなしだ。パッセンジャーカーと違い、商用車にはバッテリー搭載による電気自動車化には、ハードルが高い。と言うよりも重いバッテリーを搭載するBEVには、全く相応しくないのだ。 

 

その点、水素を使う燃料電池車(FCV)が最もふさわしい動力源となるものである。輸送ルートがほぼ固定される長距離輸送の場合、水素ステーションの整備もそれなりに簡単に済む。 

(続く)