カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(143)

 韓国バッテリー3社の北米生産拠点投資も着実に増えている。LGエナジーソリューションは、米GM、欧州Stellantis(ステランティス)、ホンダ、現代自動車グループと、SKオンは米Ford(フォード)と現代自動車グループSamsung SDI(サムスンSDIGM、ステランティスと合弁で北米工場を稼働する。 

 

 問題は韓国バッテリー3社が重要鉱物を中国からの輸入に依存している点だ。中国依存を解決しないと米国での今後のビジネスは難しくなるだろう。2022年12月に大韓商工会議所が公開した「二次電池核心鉱物8大品目の供給網分析」によると、韓国は二次電池の製造に必要な8大鉱物のうちの6品目を中国からの輸入に頼っている。割合は酸化コバルト・水酸化コバルトが83.3%、硫酸マンガン・硫酸コバルトマンガンが77.6%、酸化リチウム・水酸化リチウムが81.2%、硫酸ニッケルが59%、天然黒鉛が87.4%、二酸化マンガンが69.6%といった具合である。8大鉱物の輸入額ベースで中国依存度は58.7%であり、それは毎年増加している。米国および米国のFTA締結国で採掘・加工した重要鉱物の輸入の割合は15%で、米インフレ抑制法のEV税額控除の対象になるための40%に満たない。米国でEVを販売するためには重要鉱物の中国輸入を減らすしかない。大韓商工会議所は、重要鉱物の特定国依存が韓国の足を引っ張ることにならないよう輸入先の多辺化や技術開発が必要だと分析した。韓国バッテリー3社と材料・部品会社は中国以外の協力先を確保するために、日本、北米、中南米、アフリカ、東南アジアなどの企業と幅広く共同投資や共同研究を進めている。 

 

 重要鉱物保有国でありEV最大市場の中国は米中貿易摩擦の中でも好調である。韓国のエネルギー市場専門の調査会社SNE Researchによると、2023年1~4月のEV/PHEV/HEVのバッテリー市場シェアは、1位が中国・寧徳時代新能源科技(CATL)の35.9%、2位が中国・比亜迪(BYD)の16.1%、3位がLGエナジーソリューションの14.1%、4位がパナソニックの8.2%、5位がSKオンの5.2%、6位が中国・中創新航科技(CALB)の4.6%、7位がサムスンSDIの4.1%という順だった。 

 

 中国におけるEV内需が好調だったことから、中国勢のシェアが伸びて韓国勢のシェアは減少したが、順調に顧客を確保し生産を伸ばしていることから、韓国の証券業界の見通しでは韓国バッテリー3社の受注残高は1000兆ウォンを上回る。韓国バッテリー3社は生産拡大のために正極材・陰極材・分離膜などの原料確保と、全固体電池など次世代バッテリーの研究開発に投資を続けている。中国勢が得意としていたLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーでも競争力を確保し、2026~2028年には全固体電池を商用化するとしている。韓国バッテリー3社は生産・事業の拡大に伴い社員数も増え続けている。よりよい人材を確保するため2021年より大学と契約学科を設立、産学共同研究も増やしている。契約学科は企業が必要とする人材を育てるための学士・修士・博士課程のことで、該当企業に就職または共同研究をする条件で授業料の全額支援や、生活費・海外留学の支援などを受けられる。 


https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00087/?P=2 

 

 

トヨタとしても現在ノースカロライナ州で「電池工場」((TBMNC) Toyota Battery Manufacturing North Carolina)を、建設中である。 

 

トヨタ・90%、豊田通商・10%の出資で、59億ドル(およそ8200万円)を投じて、2025年稼働を目指している。日本ではパナソニックと組んで、車載電池の作っているが、米国では通商と組んでおり、パナソニックとは組んでいない。 

 

どうも決定がもたつくことを恐れて、パナとは組まなかったようだ。 

 

米国にはIRA法・Inflation Reduction Actがあるので、どうしても北米での現地生産が必須となっているので、後はBEVの組み立て工場をどこに作るかが課題として残っているが、これも現在はHEVを組み立てているケンタッキー州の「TMMKToyota Motor Manufacturing Kentucky」で、ライン改造を施して「3列シートのSUV」のBEVを生産することになっている。 

 

もちろんバッテリーは、TBMNCから供給されるから、トヨタ初の電気自動車の生産も2025年からとなる。 

 

トヨタは、2026年までに10モデルを投入して、年間150万台のBEVを販売する計画であるので、このTMMKのBEVラインはEVの主力工場の一つとなろう。 

 

150万台も350万台も膨大な数字であり、各種の電気自動車を組み立てなければならないわけで、そのプラットフォームもキチンと準備されているようだ。 

 

プラットフォームも一つではない、次の3種類を考えているようである。と言うよりも、新工法によるP.FormでないとBEVとしては効率的ではないようだ。 

 

(1)マルチパスウェイ プラットフォーム---現行TNGAタイプ 

(2)BEV専用のプラットフォーム-----e-TNGAタイプ(bz4xタイプ) 

(3)新工法による次世代プラットフォーム--次世代型(2026~'30/170万台) 

 

(続く)