カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(144)

これは当ブログの6/30のNO.90で載せたものであるが、そこでは「全個体電池」にも言及しているので、ご一読願う。 

 

トヨタとしてはノースカロライナ州のグリーンズボロ(のランドルフ・メガサイト)で電池組み立て工場を建設中ではあるが、正極材・負極材・電解質・セパレーターなどの構成部品に含まれる重要鉱物の調達にも注意を払う必要が出てきたのである。これらの重要鉱物は米国か米国とFTAを締結している国からの(購入価格の40%~80%の)調達でないと、税の優遇を受けられなくなる可能性があるのである。調達網の見直しが急務となっている。 

 

だからトヨタのBEV部門やその調達部門は、ある種のカオスの状態に入りつつあるのではないのかな。米国のIRAに合わせるために、調達状況の調査や新たなサプライチェーンの構築に取り掛かってゆこうと、テンヤワンヤの状態になりつつあるのではないのかな。 

 

それとも悠然と構えてサプライチェーンの構築に取り組んでいるのかもしれない。トヨタ程の実力の持ち主であれば、かなりの難関ではあるが乗り越えられないと言うほどのものではないのではないのかな。 

 

全個体電池を米国で現地生産するなどと言うことはしないと思われるので、税額控除を受けなくてもそれに対抗できるだけの付加価値を付けたBEVを供給するかもしれい、と言うことも考えられるのである。 

 

序に全個体電池」の部分も参考のために引用しておく。 

 

さて注目の「全個体電池」であるが、トヨタは2023.6.13の技術説明会では、「2027~28年にチャレンジ」と言っているが、日産が「2024年にパイロットライン、2028年に市場投入」と言っていることから、「'27年~'28年に投入」と発表したわけだが、どちらかと言うと欧米メーカーの投入予定時期も考慮して、2027年に投入する可能性が高かろう。 

 

なんと言っても、トヨタ2020年8月から全個体電池を搭載した試作車の公道試験を実施している手前、それなりの実用化の目途はたっているのではないのかな。HEVのプリウスの投入の「21世紀に間に合いました」との宣言のように、全個体電池も「2027年に間に合わせました」として、発表するのではないのかな。 

 

とは言うものの、トヨタとしてはこのBEV化の世界の流れや、米国のIRA対策や、次世代電池の開発などは、まだ万全な対応にはなっていないと考えておいた方がよいであろう。だから、トヨタも多事多難である。2027年では一寸遅いかもしれないのだ。 

 

そんな時にトヨタの社内は、敢然と一致団結して難局を乗り越えてゆける体制作りが出来るものであろうか。 

 

トヨタには、気になる事がある。 

 

 

それはトヨタグループ内で、不正が立て続けに見つかっていることである。 

 

先ず第一には、 

2021年の販売店における車検不正事件だ。 

 

この件は↓この論考をご一読願う。詳しく論じているので、よく理解できるものと思う。 

 

車検不祥事、トヨタの「アンドン」はなぜ点かなかったのか
2021.7.30   池田 直渡自動車経済評論家54件のコメント 

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00240/072800014/ 

 

そしてトヨタグループにおける不正を羅列してみると、 

2021年3月と7月に発覚、販売店における車検不正事件 

・2022年3月の日野自動車のエンジン排ガス不正 

・2023年2月には、豊田自動織機のエンジン不正 

・2023年4月での、ダイハツ工業の衝突試験不正 

・2023年5月には、愛知製鋼での鋼材の公差外れ発覚 

 

と立て続けにトヨタグルーブ内での品質不正問題が発覚している。 

 

こう立て続けに品質不正が発覚してゆくと、トヨタグルーブ内にはまだまだ「品質不正」が蔓延っているのではないか、と言った疑念も生ずるものであるが、トヨタとしても内部調査を進めている筈である。しかしながら、内心戦々恐々と言った状況ではないのかな。 

(続く)