カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(137)

日本メーカーが取り組むべき課題 

 

これまで米国の自動車といえば、ピックアップトラックなどの大型・大排気量の内燃機関車が活躍しているイメージでした。ところがFordの新型EVピックアップトラックであるF-150ライトニングは2021年末で20万台、対するシボレー シルバラードEVも2022年7月に15万台と、生産開始前にもかかわらず数年の生産分を受注。米国でもEVが受け入れられていることを示しています。 

 

一方でマークラインズ株式会社が発表している2021年の米国の販売実績を見ると、合計約1,508万台のうち、日本メーカーが約580万台で4割近くを占めています。その米国は「2030年にEVシェア50%以上」という目標を掲げており、迅速にEVへの移行を進めています。米国での4割近くのシェアを失わないためにも、まずは魅力的なEVを作ることが最優先です。 

 

さらにメイドインアメリカ条項に対する要件緩和を求めると同時に、要件に当てはまるように最終組み立て工場を、そして電池の製造や材料についても北米や自由貿易協定の締結国からの供給体制を整備する必要があります。例えばテスラではカナダやオーストラリアなどから電池材料の供給を増やして脱中国を進めていますが、国内メーカーも同様の取り組みが必要になるでしょう。 

 

日本政府も2035年の「電動車100%という目標を発表していますが、これは諸外国の基準であるEVのみ、またはEV+PHEV(プラグインハイブリッド車)やFCV(燃料電池車)とは異なり、内燃機関を搭載する通常のHV(ハイブリッド車も含まれるもの。加えて未だに目標を達成するための具体的なロードマップや、EVのシェアも示されていません。国内・国外の両方に対して「日本もEVに本気だ!」ということをアピールするためにも、国として早急に具体的な目標を示す必要があるのではないでしょうか。 

 

(文/八重さくら) 

 

https://blog.evsmart.net/ev-news/about-inflation-reduction-act/ 

 

 

米国は2032年モデルでのCO2排出量として、2026年モデルから56%も減らせと言った削減案を提示している。乗用車だけを見れば、52%減の数字となる。 

 

CO2排出量は乗用車と小トラの合算値で、2026年モデル186gpmから2032年モデル82gpmとなるので、その減少幅が56%削減となるもので、相当厳しい値となるわけで、これを達成するためには、LDV:Light Duty Veihcle では、67%BEVかFCV orPHVなければ達成出来ない数字だという。 

 

2032年には、70%近くがBEV(かFCV,PHV)でなければならないことになる。米国では、新車販売のほとんどが電気自動車になるということである。 

 

その上で、このBEVに関しては(税額控除の優遇を受けるためには)、 

・北米で組み立てられた車両に限定され、 

更には、その車載電池 

(1)北米で(50%1→100%)製造・組み立てられたものに限定され、 

(2)その電池の重要鉱物は(40%→80%)米国か米国との自由貿易協定(FTA)締結国から調達されなければならないことになっているのである。 

 

LDVなどの乗用車系については、車両本体と、その肝となるバッテリーについても、北米内にサプライチェーンを構築してゆかなければ、税額控除の優遇を受けられない、と言うことになるわけである。将に、Made in America 条項そのものである。中国のCATLやBYDからのバッテリーの調達では、優遇策は適用されないと言うこと。 

 

バイデン大統領は自動車の排気ガス規制(CO2など)を強化して、ICEを禁止して電気自動車一本へ誘導して、更にはそのBEVの製造・組み立てを、車載バッテリーも含めて、完成車輸入から北米での現地生産に(厳しく)誘導しているのである。 

 

将に環境対策を掲げた、中国外し政策なのである。共産主義独裁国家の中国を環境技術の中枢からも外すことを意図した政策であり、それなりに評価できるものである。日本としても(トヨタとしても)利益確保を図るばかりだけではなく、進んで協力してゆかなければならないことである。 

 

米国での車両販売は(2021年で)1,508万台、日本車は約580万台で38.5%と約4割を占めている。バイデンとしては、2030年にBEVを50%以上と言う目標であり、先の試算では2030年にはBEVは60%を占めなければならないと言った数字になっていることを鑑み、仮にその時でも日本車の割合が約40%だとすると、1,508万台×60%(BEV)×38.5%(日本車)=348万台がBEVとなり、しかもこれらはすべて北米で生産されていなければならない、と言うことになる。 

 

 

2030年には、日本車は北米で348万台のBEVを現地生産しなければ、今までのようにクルマは売れない、と言うことである。これはエライことである。 

 

更にこのうちトヨタの割合は約40%とすると、 

トヨタとしては、348万台×40%=139万台、30%だとすると104万台のBEVを現地生産しなければならないことになる。 

 

トヨタの国内生産としては、1ラインで年間20万台がほぼMaxの数字ではないのかな。とすると、最新鋭のBEVラインを最低でも5ラインは設けなければ成り立たない数字となる。トヨタの高岡工場並みの組み立て工場を2つが3つ稼働させなければならない数字となるものと思われる。大変だ。 

 

しかしながら、この条件にマッチする車は、現在のところ米国車の11車種だけだという。日産のリーフやVWのiD4など日欧韓の全ての車両は対象外となっている。と言うことは早急に北米生産のできるBEVの開発に取り掛からなければならいない、と言うことである。 

(続く)