カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(64)

と言うことではあるが、かなりの長文で集中して読まないと理解が進まないのだが、「佐藤社長のプレゼンのまとめ部分をちゃちゃっとやってしまおう。」と言った部分を、簡単にまとめると次のようなものかな。 

ご一読し、ご批判願う。 

 

 

佐藤社長のプレゼンのまとめ部分」の要約 

 

①各地域別のパワートレイン比率(or BEV比率) 

 

2022年  BEV  PHEV  HEV  ICE  合計 

ドイツ 17%   12%   12%   59%  100% 

中国    18%   6%    8%   68%  100% 

米国     5%    1%    8%   86%  100% 

印尼     1%    -    -    99%  100%  (インドネシア 

 

(注)この数字は、市場構成比だとしているので、販売台数などではなくて、2022年末時点などでの夫々の市場に存在している車両の総台数に占めるパワートレインの比率であろう。 

それとも2022年に販売された車両総台数の構成比なのかは、わからない。 

 

トヨタは世界を相手に車を販売しているので、EUと中国だけに(主に)販売しているドイツなとと異なり、すべてのパワートレインのクルマを売ってゆく必要がある訳である。 

例えばインドネシアでBEVを売れと言っても、それは無理なこと。 

 

トヨタの地域別小売り台数(2022年) 

 

  日本 北米 欧州 アジア 中国 その他  合計  

  13%   26%   11%    14%    20%    15%      956万台 

 

  世界中で、満遍なくクルマを売っていることになる。 

 

③だから、マルチパスウェイ・Multi-pathway が必要となる。 

 

トヨタとしては、あらゆる種類のパワートレインのクルマを造って売ってゆく必要がある、と言うこと。 

 

 HEV PHEV BEV FCEV H2 CNfuel・合成燃料 

 

参考でにICE(内燃機関)でCO2フリーにする方法としては、(以前にも指摘しておいたが)次の様な方法があるのでご参考までに。 

 

ガソリンエンジン・ICEを使わない方法。 

1)BEV(バッテリー電気自動車)→当面の激戦区である。 

2)FCEV燃料電池自動車・H2と酸素で発電する一種の電気自動車である。) 

3)PHEV(エンジン付きの外部充電可能なEV、HEVとBEV の結合車、厳密には 

    CO2フリーではないが、一般的にはZEVとしている。) 

 

・ICEの燃料をCO2フリーとする方法。 

4)HICE(Hydrogen Internal Combustion Engin 水素エンジン) 

5)Synthetic fuel(合成燃料、CO2→CO(+)H2←H2O⇒FT合成→CnH2n) 

6)e-fuel(electro fuel、再生可能エネルギーによる電気で作った合成燃料) 

7)biofuelバイオマス・生物資源を原料とする燃料、トウモロコシ、サトウキビなど) 

 

当ブログ「世界の流れは、EV化(81)」(2022.03.10)を参照の事。 

 

 

BEVは、米国のテスラを除き他社はすべて赤字である、と言われている。 

トヨタも赤字覚悟でBEV事業に取り組んでゆかなければならない。そのためにもHEVでの利益が必要となる。 

 

④各地域ごとのトヨタのBEVの取り組み 

 

 先進国  bzシリーズ性能強化と車種拡大 

  内米国  '25年に3列SUV現地生産、Batt.工場増強 

 中国   '24年に現地開発2モデル追加 

 新興国  各種ニーズに対応、Pickup truck・小型BEV投入 

 

トヨタは、フルラインナップでの脱炭素で成長 

 

 先進国 (BEV)+(PHEV・HEV)+(若干のICE、CN) 

新興国 (若干のBEV)+(HEV)+(ICE)   

 合計    1,000万台 + α 

 

'22年までのHEVの累計販売台数は2,250万台となり、CO2削減効果はBEVに換算すると約750万台となる(走行時だけのCO2削減効果で?)。 

 

LCAベースでみると、BEVとHEVとではCO2の排出量はほぼ同じベースとなるという試算もある(当ブログの'23.4.5のNO.28参照のこと)。Batt.の製造時や火力発電時のCO2排出量が無視できない量となる、と言うことである。 

 

これはCO2排出ペースでは、HEV,3台でBEV,1台に相当するという計算であるが、実際にはHEV,2台でBEV,1台に相当すると言ってもよいのではないのかな、と小生は思っている。 

 

⑥今後の成長戦略としては、 

 

 2026年  BEV,10車種 150万台・年販売(BEV=BEV+FCEV) 

 2030年 BEV,30車種 350万台・年販売(同上) 

 

 と言うことは、イメージとしては次のようになるのかな。 

 

  BEV+FCEV  350万台 

  HEV・PHEV  450万台 

  ICE、CN   250万台~200万台 

  合計  1,050万台~1,000万台程度  と言ったところか。 

 

 

と言うことで、「トヨタは佐藤社長体制で何がどう変わるのか」と言う問いに対しては、 

 

もっといいクルマをつくろうよ」と言う哲学は変わらずに引き継いでゆくので、これが「継承」であり、各地域にマッチした電動化・BEV化の積極的推進での脱炭素化が「進化」である、と小生は理解したのであるが、しかしながらやり方はあくまでも全方位戦略である。 

 

そのためには、今後トヨタは積極的にBEVを投入しなくてはならないもの思われる。 

 

何がどう変わって、どんな車が出てくるのかに対して、差し当たっては、「中国」と「EU・米国」であるが、EU」はぼちぼち(?)と言ったところだが「米国」にはZEV規制があり待ったなしの状態なのでしょう 

 

中国へは、早速新型EV2車種を、上海国際モーターショーで発表している。 

 

 

     bZ Sport Crossover Concept  bZ FlexSpace Concept    

 用途   若いZ世代向け        ファミリー向け 

      パーソナルユース       実用性重視 

 ボデー  クーペSUV         箱型SUV 

共同開発  BYD、一汽トヨタ        GAC(広州汽車)、広汽トヨタ 

 機能   OTA、機能アップ        インテリジェント機能 

 発売   2024年、中国          2024年、中国 

 

と言ったところが新型BEVの概要であるが、詳しくは次の論考をご一読願う。 

(続く)