カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(36)

小生なりの理解は次の通りだ。 

 

トヨタのHEVを、事EUでは、のさばらせたくない。だから、電気自動車・EV一辺倒を推し進めるのだ。ICEを禁止すれば、トヨタの得意のHEVは使えなくなる。CO2削減を口実にした環境対策を掲げたトヨタのハイブリット車外しだ。直接的に言えば、こうなる。 

 

だから「欧州グリーンディール政策」とは、特定の目的を持ったEUの政治主導の自動車産業保護策なのである。しかしながらこの政策は、自国のカーメーカーの首も絞めることになってしまった、と言うこと。 

 

トヨタの)HEVはCO2の排出に対しても、BEVに引けはとっていない。並みのBEVよりも環境性能(CO2排出量)はよい(少ない)のである。だからBEV政策を推し進めるためには、バッテリーの製造方法や充電のための電源構成までも変えてゆかなければならないのである。即ち、火力発電から、原子力発電か再生可能エネルギーによる発電の特化しなければならないのである。 

 

内燃機関を維持するということであれば、CO2フリーの燃料を使わなければならないのであり、自動車産業維持の観点からは、合成燃料の導入と技術革新(コスト削減など)が必須となってくるものである。 

 

しかしながら合成燃料を認めれば、EUが毛嫌いしているトヨタのHEVでも使用されることになり、EUとしてはBEVの優位がなくなってしまうことになる。そのため分ってはいたものの、合成燃料の使用からは距離を置いていたわけである。これでEUの意図したBEVの優位は薄れてしまったことになる。 

 

と小生は理解したが、ご意見あればどんどんご指摘願う。 

 

 

ちなみに、「合成燃料」と「e-fuel」とはその違いを理解しておく必要があるので、この論考ではそのことに言及している。 

 

合成燃料(CnH2n)とは、CO2(二酸化炭素)とH2(水素)でつくられるものであるが、この水素が、CO2を全く排出しない再生可能エネルギーによる電気での水の電気分解によって取り出されたH2が使われるものをいう、と理解している。 


 

さて問題は、ドイツが自国の自動車産業を保護するために、合成燃料の使用を強引に認めさせたのであるが、早速フォルクスワーゲンVWが動き出している。 

 

それは、欧州でのバッテリーの生産工場の建設に待ったをかけたのである。変わり身が速いというか、はたまた様子見かは知らないが、その動きが速いことと言ったらありゃあしない。 

 

 

VW、欧州バッテリー工場建設を停止 EUの対応見極め 

Reuters  • 2023年3月9日1:27 午後UPDATED 22日前 

 

ハンブルク 8日 ロイター] - ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は8日、欧州に複数のバッテリー工場を建設する計画を進める前に、米インフレ抑制法に対する欧州連合(EU)の対応を見極めると表明した。 

 

FILE PHOTO: Trucks at the IAA Transportation fair in Hanover© Thomson Reuters 

 

関係筋は匿名を条件にロイターに「事実上、北米をはるかに優先しているということだ」と述べた。 

 

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は以前、VWが東欧のバッテリー工場建設計画を停止し、90億─100億ユーロ(105億4000万ドル)の補助金が得られる北米での工場建設を優先すると報じていた。 

 

VWの広報担当は、この報道について「東欧と北米の次のバッテリー工場の適切な候補地を現在も検討している。まだ決定はしていない」と述べた。 

 

同社は2021年3月、欧州に6つのギガファクトリーを建設すると表明。生産能力は合計240ギガワット時になるとの見通しを示していた。 

 

VWは8日発表した声明で「30年までに欧州に約240ギガワット時のバッテリー工場を建設する計画を堅持しているが、そのためには適切な構成条件が必要だ。このため、EUのグリーンディールがどのようなものになるかを見極める」と述べた。 

 

https://jp.reuters.com/article/volkswagen-batteries-idJPKBN2VB089 

 

 

 

VWが計画している6つのBatt.ギガファクトリーは、合計240GWhの生産能力だというが、これでBEVの何台に相当するものであろうか。 

(続く)