カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(61)

トヨタは佐藤恒治新社長の下、この体制でBEVの2030年、30車種、350万台に挑むことになるわけだ。 

 

2023年4月7日には、その中間目標としてバッテリーEVを、 

 

2026年までに、       2030年までに、 

 10モデル          30モデル 

 150万台(年、世界販売)   350万台(年、世界販売) 

 '25年に米国で生産 

 全方位戦略は維持(HV,PHV,FCV,H2,CN) 

 

と言う数字を発表した。 

 

 

トヨタ、26年までにEV年150万台販売 米国で生産も 

2023年4月7日 5:00 (2023年4月7日 14:41更新) [有料会員限定] 

 

 

トヨタ自動車は7日、2026年までに電気自動車(EV)を新たに10モデル投入し、世界販売を年間150万台にすると発表した。22年のEV販売実績は2万4千台で、そこから4年で60倍以上の規模になる。米国で25年から現地生産するとも明らかにした。 

 

同日、都内で「新体制方針説明会」を開いた。1日に就任した佐藤恒治新社長に加え、中嶋裕樹氏、宮崎洋一氏の両副社長が登壇した。 

 

トヨタのEV戦略はこれまで「30年に販売350万台」と30車種の投入を掲げており、その途中経過を示した形だ。次世代EVの専門組織を新設し、開発コストを減らしていく方針も明かした。 

 

地域別のEV戦略では米国で3列シートの多目的スポーツ車SUV現地生産するとした。既に明らかにしているEVで中核となる電池の工場の新設でも、生産を増強していく方針を示した。 

 

中国では24年に現地開発モデルを2車種追加するとした。先進国では22年に初の量産EVとして発売した「bZ4X」をはじめとした「bZ」シリーズの性能強化やモデル数の拡大に務める。新興国ではピックアップトラックや小型車も出していく。 

 

佐藤氏は新体制のテーマについて「継承と進化」と話した。ハイブリッド車HV)のほか、FCV燃料電池車)や水素エンジン車も含めた「全方位戦略」を進める点は堅持する。一方でEV戦略も加速する。FCVでは商用車を中心に進めていく。 

 

佐藤氏は新たに「トヨタモビリティコンセプト」も発表した。クルマ、モビリティー、社会システムの3点から「価値の拡張」などを訴えた。クルマの価値はEVの活用のほか、コネクテッド、「アリーン」と呼ぶ、次世代車の安全制御機能などを一括で動かす車載用の基盤ソフトについて触れた。 

 

モビリティーについては空飛ぶクルマや小型EVなどの普及を掲げた。社会システムでは静岡県裾野市で建設中のスマートシティ「ウーブン・シティ」内での実証実験について言及した。佐藤氏は「クルマの進化の先にモビリティーがある」と話した。 

 

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中西孝樹ナカニ自動車産業リサーチ 代表アナリスト 

 

今後の展望 

新体勢決定後僅か2カ月、CEO就任から何と1週間での方針説明会です。佐藤CEOの強い意気込みを感じます。そうは言っても、僅か2カ月でトヨタが進めていかなければならない全てのマトリックス(ソフトXデジタルXBEV)を埋めつくす完全で詳細な方針説明ができるとは思われません。過去の失敗(?)に学び、奇をてらわず新アプローチと組織改革を愚直に進め、先送られてきた決断をいち早く下そうとする姿勢が見えれば、本日の方針説明は評価できると考えています。まずは、電池とBEVをどう進めるか。これだけは集中した方針の説明が欠かせないと思います。 

2023年4月7日 7:17 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD063UY0W3A400C2000000/?n_cid=NMAIL006_20230407_Y 

 

 

トヨタは「佐藤恒治新社長」の下で、「モビリティカンパニー」や「BEV」へのシフトをどのように成し遂げようとしているのか、非常に興味あるところである。 

 

 池田直渡「週刊モータージャーナル」 

トヨタは佐藤社長体制で何がどう変わるのか 

2023年04月10日 08時00分 公開       [池田直渡,ITmedia] 

 

 1月の社長交代発表から3カ月が経過した4月7日。ようやくトヨタ自動車新体制方針説明会が開かれた。 

 

トヨタはどう変わるのか

 

 予想はしていたことながら、範囲は広範におよび、簡単には記事にまとまらない。誠に書き手泣かせの説明会であった。既に大手マスコミ各社からは、中嶋裕樹副社長の説明パートでの発言「2026年までに10種の新EVを投入」「販売台数も年間150万台」ばかりが強調されているが、それは大きな絵柄の中のごく一部、うそではないがトリミングされた真実の一部にすぎない。 

 

 というわけで、今回はその大きな絵柄をトヨタの発表資料に沿って説明していきたい。 

 

 さて、まずは佐藤恒治社長のプレゼンからだ。ポイントは3つトヨタ「クルマの価値の拡張」「モビリティの拡張」「社会システム化」3つのテーマに取り組んでいくことになる。佐藤体制のテーマは既に1月の段階で「継承と進化」であると定義されており、豊田体制の流れをくみながら、正常進化させていく形である。 

 

 

 継承とは何かをひも解けば、それは「もっといいクルマをつくろうよ」であり、それを事業として見れば「これからも、『商品で経営する』クルマ屋トヨタの一丁目一番地」ということになる。ではどうやってもっといいクルマをつくるのかと言えば、その要となるのがチームプレーになると佐藤新社長は語る。「世界37万人のトヨタの仲間と、仕入先、販売店の皆さまと一緒に、全員でクルマをつくっています 

 

 豊田章男という飛び抜けた経営者の後を継いで、いきなり円熟期の豊田氏と変わらず経営ができる人材は世界中を探してもいない。豊田前社長は14年経験を積み重ねたベテラン。そこに1年目から同じだけのプレゼンスを備え、同じように経営しろと要求するのはさすがに無理難題がすぎる。 

 

 だからこそ佐藤社長は「チームで、同時に、有機的に動く」ことを新しい変化として掲げているし、豊田前社長はそれを会長として支えて、独り立ちさせようと考えている。仲間と共に戦う。それこそが佐藤新体制の大きな特徴であるといえるだろう。 

(続く)