カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(138)

なお、日本は米国とはFTAを締結していないので、日本からバッテリーの重要鉱物を調達しても税の優遇措置は受けられないことになるが、そこは緩和をされて日本の重要鉱物利用も税優遇の対象となったようだ。 

 

米EV優遇の要件一部緩和へ、日本の重要鉱物利用も対象 

北米2023年3月29日 0:04 

 

USTRのタイ代表らが協定に署名した=AP     

 

日米両政府は28日、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化に関する協定を締結すると発表した。これを受け米国は歳出・歳入法(インフレ抑制法)による電気自動車(EV)普及支援策を受ける要件を緩和する。日本で採取、加工された重要鉱物を使った場合でも税優遇の対象となる見通しだ。 

 

冨田浩司駐米大使と米通商代表部(USTR)のタイ代表が28日、ワシントンで協定に署名した。協定には対象とする鉱物としてコバルト、グラファイト、リチウム、マンガン、ニッケルの5種を明記した。 

 

2022年8月に成立した米国のインフレ抑制法は購入時の税控除を受けられる対象を北米で最終的に組み立てられた車に限定している。そのうえで電池に使うリチウムなどの重要鉱物の一定割合を米国か、米と自由貿易協定(FTA)を結ぶ国から調達することを要件としている。 

 

日米間では日米貿易協定を結んでいるものの、同法上は日本をFTA締結国と見なしていなかった。日本は同年11月に「有志国との連携で強じんなサプライチェーンを目指す戦略と整合的ではない」との意見書を米国に提出し、優遇措置の見直しを求めてきた。 

 

米政府が今回、一部の要件緩和に応じるのは、EVに使う重要鉱物は米国内ではまかないきれず、同盟国との協力が欠かせないとの判断がある。同盟国からの反発も相次いでおり、摩擦を極力抑えることも狙っているようだ。 

 

USTRのタイ代表は声明で「弾力的で安全なサプライチェーンの構築に対するバイデン大統領のコミットメントを証明するものだ」と強調。西村康稔経済産業相閣議後の記者会見で「同志国との連携による強靱(きょうじん)なサプライチェーンの構築を目指す」と話した。 

 

米政府は欧州連合EU)ともEVに使用する重要鉱物について貿易協定を結ぶ交渉を始めた。歩み寄る姿勢を見せているものの、同法を巡る米国と同盟国・友好国の溝は完全には埋まっていない。対象を北米で組み立てた車に限定する条件は残る。日本や韓国、欧州などはこの措置にそろって反発し、見直しを求めている。扱いは引き続き協議する。 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA286WS0Y3A320C2000000/ 

 

 

とは言うものの、税優遇を受けるために日本各社は米国でのBEVの現地生産 

急ぐ必要がある。完成車輸入は諦めて急いで現地生産に取り掛かる必要があると言うこと。これは一大事である。これにマッチする日本車は一台も米国では生産されていないからだ。しかも税優遇を受けられるBEVは、日欧韓すべて対象外となっているのて、抜本的に電気自動車の開発をそのように進めて、現地生産に取り掛からなければならないわけだ。 

 

 

米EV税優遇、輸入完成車見送り 日本車は米国生産急ぐ 

自動車・機械2023年3月31日 22:00 

ホンダは米国でのEV販売に向け、メアリズビル工場(オハイオ州)の生産ラインを改修する         

 

日本や欧州などが求めていた北米以外で生産した輸入電気自動車(EV)税優遇適用について、米財務省が見送ると発表した。トヨタ自動車など日本車メーカーは主要市場の米国でのEVシフトをにらんで現地生産の準備を進めているが、商品化では出遅れた。高いシェアを維持するために米EV生産立ち上げを急ぐ必要に迫られる。 

(続く)