カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(135)

米国ではBEVを購入した場合には、一定の条件の下、最大7,500ドル約110万円)所得税から控除できるというものです。 

 

この一定の条件と言うものが、次の「メイドインアメリカ条項」なのである。 

 

1.BEVの最終組み立て地が、北米(米国、カナダ、メキシコ)であること。 

 

2.電池材料の重要鉱物が、その調達価格の40%が自由貿易協定(FTA)を結ぶ国 

 で採掘か精製されるか、又は、北米でリサイクルされていること。 

 

3.電池用部品の50%が北米で製造されていること。 

 

この2.と3.の%は、段階的に増加してゆくことになっている、と言う。 

 

と言ったものであるが、将に、BEV関連の部材等が中国に依存していることからの脱却を図るもので、経済安全保障対策と言われる所以である。 

もう一つ、来年の大統領選挙に向けた施策なのでしょう。 

そのために、自国内にBEV関係のサプライチェーンを構築したい、と言うことで脱中国と米国内での雇用の維持・拡大を図る、と言うことでしょうが、日欧韓の自動車業界にとっては、相当大きな影響があるものである。 

 

 

米国で成立したインフレ抑制法とは?~EVを巡る世界の反応と日本が取り組むべき課題 

2022年11月10日 コメントする 

 

アメリカで成立したインフレ抑制法は予算3690億ドル(約54兆円)にのぼる過去最大規模の気候変動対策に関する法律です。EVへの補助金(税額控除)を米国製にしか適用しない内容が含まれ、各国政府やメーカーから反発も出ています。世界の反応や日本が取り組むべき課題を考えます。 

 

 

 

インフレ抑制法とは? 

 

2022年8月16日、アメリカで成立した「インフレ抑制法(歳出・歳入法)」、通称IRA(Inflation Reduction Act)法は過度なインフレ(物価の上昇)を抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律です。約54兆円という巨額の予算からわかるように、バイデン政権が最も力を入れている政策の一つでもあります。 

 

人為的な気候変動については世界中の科学者の総意にあたるIPCC気候変動に関する政府間パネル)でも「疑う余地がない」とされていて、このまま気候変動が進めば大規模な自然災害や極端な気象現象の増加、さらに世界規模の食糧不足や飢饉の発生など、近い将来、これまでのような日常生活が送れなくなることが危惧されています。 

 

そしてこのようなリスクを減らすためには、「再エネなどのクリーンエネルギーEVへの移行による脱炭素が必要」ということが世界のコンセンサスであり、これまでは環境意識が高い欧州など一部の地域が先行して再エネの導入や自動車の排出規制、さらにEVの超急速充電インフラ整備を進めていました。一方でその頃の米国ではトランプ政権のもと、欧州などと比べると、それほど気候変動対策に力を入れていませんでした。 

 

そして時が流れてトランプ政権からバイデン政権に交代し、先行する欧州を追うように気候変動対策の重要性が見直され、同法律が制定されました。同法律では太陽光や風力などの再エネ、そして再エネを有効活用するための蓄電池、EVの開発や生産への補助金として600億ドル(約8.8兆円)以上を投資。さらにその一環として全米50州の7.5万マイル(約12万km)にわたる州間高速道路網に超急速充電器を整備し、EVでも従来の内燃機関車と同等以上の利便性を確保した上で、2030年に新車に占めるEVのシェアを50%以上まで引き上げることを目指しています。 

(続く)