カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(134)

新車全て電動車の実現は2035年に…菅首相がより明確に提示 

2021年1月19日(火)14時10分2021年1月19日(火)13時45分


 

 

 

 

 

菅義偉首相は1月18日に始まった通常国会での施政方針演説で、国内販売車の電動化について「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と表明した。これまで「2030年代半ば」とされてきた達成時期をより明確にした。 

 

菅首相は咋秋、2050年にCO2(二酸化炭素)など温室効果ガスの実質排出ゼロをめざす「2050年カーボンニュートラル」の実現を掲げた。政府はこれを受け咋年12月に「グリーン成長戦略」を策定し、再生可能エネルギーの普及や水素社会の構築などとともに、全ての新車電動化を30年代半ばまでに実現すると掲げていた。 

 

首相の今回の表明により、扱いを別途定めるディーゼルエンジン依存の普通トラックなどを除き35年までの全車電動化が動き出すことになった。電動車両は最も普及が進んでいるハイブリッド車HV)をはじめ、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車PHV)、燃料電池車(FCV)が対象となる。 

 

35年からはガソリンエンジンディーゼルエンジン内燃機関のみによる車両販売はできなくなる。また、小型のバッテリーとモーターによるマイルドHVも電動車からは除外される見通しで、政府は今後、電動車の定義づけも進めることになる。 

 

日本自動車販売協会の20年12月の「燃料別販売台数」統計によると、登録乗用車のHV(一部マイルドHV含む)やPHV、EVなどの電動車の比率は39.4%と、およそ4割だった。ただ、これは電動化が進んでいない軽自動車を除く統計であり、軽の乗用車を含めた電動車比率は約26%と、まだ4台に1台にとどまっている。新車販売の4割近くを占める軽自動車の電動化は、35年に向けた自動車業界の大きな課題となる。 

 

海外では内燃機関のみの新車について英国は30年、米国のカリフォルニア州は35年から販売を禁止する方針としている。中国も35年をめどとして新車はHVやEVなどの環境対応車のみに規制する計画だ。 

 

https://response.jp/article/2021/01/19/342285.html 

 

 

EUと米国はICEにHEVを含めており、ハイブリッド車はZEVと認めていないが、ハイブリッドの大本の日本と中国はハイブリッド車を認めている。中国はすべてをBEVにするには、世界一の自動車大国であるのでそのすべてには、バッテリーの準備に問題があると判断しているものと思われる。更には、排気ガス問題が対処しきれないほど悪化している現状を鑑み、残りの部分はHEVで対処したいものと思っているのであろう。 

 

ハイブリッド車のCO2排出量は、並みのBEV(実用航続距離200km程度)よりも少なくなっている現状を見れば、ハイブリッド車も捨てたものではないのである。詳しくは小生のブログ「世界自動車大戦争(91~)」(2020.3.14~)を参照願う。(https://blog.goo.ne.jp/atlas_centaur/d/20200313 

この件は2023.4.5の当ブログ(NO.28)でも言及しているので、ご承知のことと思う。 

 

さて米国にはこのEPAの排ガス規制案の他にも、IRAによる規制が存在している。 

 

この法律は2022.8.16に成立しているもので、「インフレ抑制法」(別名・歳出・歳入法)(Inflation Reduction Act)と言い、経済安全保障や気候変動対策に関することなどが決められているものである。バイデン政権が最も力を入れている政策の一つで、なんと約54兆円と言う巨額な予算が割り当てられており、そこには「Made in America条項」と言うものが存在しているのである。 

(続く)