ALPS処理水放出と習近平の凋落(82)

台湾侵攻に投入できる中国の戦闘機は500機程度か 

 

 戦闘機・攻撃機は中国が2070機と台湾の5倍を誇る。だが約340機は旧ソ連が1950年代に開発のMiG-21を基に独自開発したJ-7/J8で、あまりの旧式機で現代戦には向かない。大半はロシア製Su-27やその改良型のSu-30/Su-33/Su-35、あるいはこれらを手本に国産化したJ-11/J-15/J-16の、いわゆる「Su-27ファミリー」が770機に達する。 

 

中国空軍のJ-11戦闘機(写真:台湾国防部)ギャラリーページへ  

中国空軍のJ-16戦闘機(写真:台湾国防部)ギャラリーページへ  

中国のSu-27戦闘機(写真:防衛省/AP/アフロ)ギャラリーページへ 

 

 その他、米製F-16に酷似する独自設計のJ-10が600機弱、さらには最新型のステルス機J-20を140機、自国設計のJH-7攻撃機240機など、現代戦に通用する第4世代以降の機種で固め、空軍戦力は相当強力だ。 

 

中国空軍のJH-7攻撃機(写真:台湾国防部)ギャラリーページへ 

 

 だが第4世代以降の戦闘機・攻撃機1700機以上を台湾方面に全機発進させるわけにはいかないだろう。 

 

 世界屈指の国境線の長さを持ち、南には宿敵インドや微妙な関係のベトナム、さらには南シナ海南沙諸島が、東には友好国の北朝鮮の向こう側に韓国在韓米軍東シナ海の先には日本在日米軍がそれぞれ控える。 

 

 これらと対峙するため、おそらく各方面にそれぞれ300機程度、さらに首都防衛や予備戦力として300機ほどを温存させると仮定すれば、合計1200機となり、差し引き500機程度が実際に台湾侵攻に投入できる戦闘機・攻撃機の規模ではないかとの見方もある。 

 

 台湾は旧式のF-5/80機を除き、F-16/140機、ミラージュ2000/50機、国産の経国130機の約320機が第4世代で、先の「500機」と比べると中台の戦闘機・攻撃機の戦力差がそれほど開いていないとも言えそうだ。 

 

台湾空軍のF-16戦闘機 (写真:台湾国防部)ギャラリーページへ 

 

台湾空軍のミラージュ2000戦闘機(写真:台湾国防部)ギャラリーページへ 

 

 ただ、機体の消耗やパイロットの疲労などを考えれば中国側が相当有利なことだけは確かだろう。 

 

 中国の台湾侵攻作戦で輸送能力のもう1つの柱となるのが大型輸送機で、ロシア製のIl-76が20機と国産のY-20が50機の計70機だ。注目は後者で2010年代前半に国内開発された新型機ながらすでに50機も量産配備している点と、最大積載量が66トンでMBT1台を余裕で運べる点だろう。 

 

 このほかにも、ウクライナ戦争で戦場の主役に躍り出た各種ドローン無人航空機)や、ロシアの大型艦やクリミア大橋に損傷を与えたとされる水中ドローン、さらには中国側による多数の弾道ミサイル巡航ミサイルによる飽和攻撃、サイバー攻撃アメリカの関与の度合いなど考慮すべきファクターはまだまだある。 

 

 しかし、単に中台両軍の兵員や兵器の数を比べて優劣をつけるだけでは実態はつかめない。軍事大国のロシアでさえ「ウクライナの首都キーウなど数日で制圧できる」と高をくくり20万名の兵力でウクライナ侵略を謀ったものの、目論見は完全に外れいまだ苦戦に喘いでいる状態だ。 

 

ロシアは中国に無視されるが、果たして、盟友・ロシアによるウクライナ侵略戦争とその苦戦ぶりを目の当たりにし、「同じ轍を踏むまい」と決意したはずの習氏の胸中やいかに。 

 

中国の習近平国家主席(左)はロシア・プーチン大統領ウクライナ侵攻苦戦を見て何を考えているか(写真:新華社/アフロ)ギャラリーページへ 

 

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76443 

 

 

 

まあこの論考を読むと、中台の戦力差はそれほどないようにも読めるが、もし中国が無茶をして最初からICBMやIRBMで台湾を攻撃して、軍事基地を粉砕してからの台湾上陸作戦などをしてくれば、(米国が本気で反撃してくれればの話ですが)米国による反撃で習近平の中国は滅亡することになろうから、そんなことはしないのではないのかな。あくまでも限定的な攻め方をしてくる筈だ、と考える方が無難だ。だから中国としてもなかなか攻めあぐねることになる、と思われる。 

(続く)