カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(11)

ルノーは現在構造改革に取り掛かった直後である。昨年2022年11月パリで事業改革説明会を開き、事業を5分割して再出発しようとしているさなかである。そうでもしないと、欧州でのBEV化が進む中、会社が立ち行かないと言った状況のようだ。

 

 

5分割とは、 

(1) BEV部門 新会社「アンペア」アルコムと資本提携、クーグルと提携 

       日産も出資している。 

(2) ICE部門 新会社「ホース」中国の吉利汽車資本提携、日産出資せず。 

(3) プレミアム部門 スポーツ車「アルピーヌ」 

(4) 金融サービスとモビリティ部門 

(5) リサイクル部門

 

と言った塩梅で、ルノーは「ルノー」ではなくなってしまったのである。 

 

そうでもしないと生き乗れないとの経営陣の判断であったようだ。そのため日産を子会社として置くことが、障害となると判断されたのであろう。特にBEVについては、どうしても日産の助けを借りなければならないとと言うEUの政治状況もあったようだ。2035年にはBEVしか販売できなくなる可能性があるからだ。

 

 

その結果が、電気自動車の新会社の「アンペア」の設立であった。これに日産もぜひ加わってもらわなければならなかったわけだ。ルノーだけでは電気自動車の会社を成り立たせることに、大いなる不安を感じていた、と言うこと。 

 

ICE・内燃機関から電気自動車への移行と言う100年に一度の大変革である。

 

 

この'35年の「EVシフト」は、ルノーに限らずジャーマンスリーのVW,BENZ,BMWにとっても一大事である。 

 

早速、ドイツ政府がEUにいちゃもんを着けたのだ。 

 

CO2を排出しなければ、BEVでなくてもよいのではないか、'35年には合成燃料(e-fuel)でもよいではないか、と提案したのである。

 

 

それもそうであろう、EU全域で高価なBEVしか売れなくなってしまったら、中東欧のEU諸国では、新車は高すぎて売れなくなってしまうことも考えられるのである、かといってe-fuelがすぐにでも流通出来るわけでもないのだが。

 

 

 

欧州の「EVシフト」にブレーキ!? ドイツが「e-fuel」提案!「2035年完全EV化」なかったことになる?

2023.03.06  桃田健史 

 

2035年の完全EV化は難しい? 

 

 

 2023年2月27日、ドイツ政府が欧州連合EU)に対して、2035年以降に欧州域内で「e-fuel(イーフューエル)」を使用する新車販売について認めるよう要望を出したことが明らかになりました。

 

  

 このニュースを知って「ほらみたことか。やはり、日本の考え方が正しかったのだろう」と思う人がいるかもしれません。 

 

欧州の「2035年完全EV化」どうなる?© くるまのニュース 提供   

 

欧州の「2035年完全EV化」どうなる?

 

日本では、自動車メーカーと二輪車メーカーの業界団体である日本自動車工業会が、「カーボンニュートラル実現には、EVのみならず、e-fuelなどカーボンニュートラル燃料を使った内燃機関の存続を含めた、さまざまな選択肢があるべき」と主張してきたからです。

 

 

【画像】かっこよすぎ! モンスター級のレクサス「新型EVスポーツカー」を見る(18枚) 

 

 

 もし、ドイツの主張がEUで通れば、日本を含めたグローバルでのEVシフトはひと息つくのでしょうか。 

 

 今回、ドイツが修正案を要請したのは「Fit for 55」に対してです。欧州議会2023年2月14日欧州グリーンディール政策の一環として採決されて可決した重要な規制です。

 

 

 Fit for 55により、2035年時点で欧州域内において販売可能な乗用車と小型商用車(バン)はZEV(ゼロエミッションヴィークル)になります。 

 

 ここでいうZEVとは、EVまたは燃料電池車を指し、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車は含まないという解釈ですが、これに対して、ドイツはe-fuelを認めるべきという姿勢を改めて示したのです。

 

 

 つまり、ガソリン車やディーゼル車に加えて、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車が含まれる可能性もあるということになります。 

(続く)

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(10)

90年代後半の日産の経営危機をルノーが救済する形で両社が資本提携し、ルノーから派遣されたカルロス・ゴーン元会長の下で早々に再生を遂げた日産は、これまで売り上げ・販売台数規模でルノーを凌駕してきた。だが、資本関係ではルノーが43.4%を握る筆頭株主なのに対し、日産はルノーへ15%の出資にとどまり、かつ仏商法上のルールでルノーへの議決権がないという「親子」関係が続いてきた。 

 

 

今回の資本提携見直しの動きは、昨年2月にルノーEV(電気自動車)事業の分社化を公表したことにさかのぼる。ルノーは、この自動車大変革時代に対応した事業改革に乗り出し、特にEV化が先行する欧州地域を強化するべくEV専業の「アンペア」を23年後半に設立、上場させる予定だ。ルノーがこのアンペアにEV技術で先行する日産三菱自の参画での協業を要請したのだ。 

 

 今回の3社の首脳会見では、ルノー・日産の資本関係見直しとともに日産ルノーのEV新会社アンペアに最大15%出資することで合意し、三菱自も「出資を検討」とのコメントを発表、3社が協業する方向で一致した

 

 

 日仏3社連合にとって大きな転機となる今回の動きは、ルノーがEVを軸に据えた生き残りへ資本関係を見直し親会社の立場を捨ててでも新たな協業関係を築きたいとの意向が強かったということだろう。ルノーは2019年度と20年度に連結業績で赤字転落し、22年度の業績もロシア・ウクライナ問題によりドル箱だったロシア事業から撤退したことで損失を計上しており、事業構造改革の必要性は切迫している。ルノーに15%出資する仏政府も今回の合意に同調しており、仏政府から日本政府に書簡が送られてきたことを西村康稔経済産業相が1月に明らかにしている。 

 

 日産サイドとしては「悲願達成」ということになるが、ここに至るまで内部ではいろいろな議論があったようだ。昨年11月にルノーが事業改革説明会を発表した中で、EV新会社アンペア半導体大手のクアルコムが出資するとともに、米IT大手のグーグルと車載向け基盤ソフトなどの共同開発で提携すること、内燃機関エンジン新会社「ホース」には中国・吉利汽車ジーリー)と折半出資することを明らかにした。これに対して日産内部では「知的財産」流出の懸念も出た。

 

 

 本来なら昨年中に合意がなされ12月には3社首脳会見を予定していたが、結局議論は年を越え、1月末に合意共同声明、2月6日に3社首脳会見となった。昨年2月のルノーEV分社化公表から1年を経過しての正式合意に至ったのである。 

 

 日産にとって「独立記念日」ともいえるルノーとの対等出資合意だが、日産の内田誠社長は「対等の立場でいることで、アライアンスが次のレベルへ踏み出すことができる」と、あくまで将来の成長を描くためであることを強調した。それでも資本のくさびから外れた日産がこの新しい船出によって、大変革の時代に企業価値を向上させるため、ルノー以外の「新たなパートナーシップ」を求めて動く可能性もあり得よう。

 

 

 また、今後は日産・ルノーが対等な関係となる中で、三菱自がどう動くかも注目されよう。三菱自は業績悪化した16年に日産が34%出資し「子会社化」した経緯がある。つまり、ルノーの子会社が日産で、日産の子会社が三菱自という3社の関係性が、今後どのように変わるのかが焦点になる。 

 

欧州で厳しい戦いを強いられるルノー 

事業改革への焦りが背景に 

 

 ここで、ルノーの状況について改めて整理しておこう。 

 

 先ほど触れた通り、仏ルノーは昨年11月にパリで事業改革説明会を開き、事業を5分割し、EV部門の新会社アンペアクアルコムが出資することを発表した。また、グーグルと車載向け基盤ソフトなどの共同開発で提携することも発表した。アンペアに加え、ガソリン車・ハイブリッド車など内燃機関車エンジン部門のホーススポーツ車の「アルピーヌ」のほか、金融サービス、モビリティおよびリサイクルサービスの5つに分割エンジン部門のホースは、中国・浙江吉利控股集団吉利汽車と折半出資する新会社となる、というものだ。 

 

 ルノーの新事業形態への移行は、野心的なものであると同時に欧州でのルノーの立場がかなり厳しいものとなっていることの裏返しでもある。

 

 

 フランスでのライバル、グループPSAフィアット・クライスラー・オートモービルズとの統合で14ブランドを抱える「ステランティス」に生まれ変わった。仏政府がバックにあるルノーだが、かつてのゴーン後継と目されていたカルロス・タバレス氏がプジョーを擁する旧PSAに移り、今やグローバルメーカーとなったステランティスのトップに君臨してルノーを大きく引き離している。また、欧州ではフォルクスワーゲンメルセデスベンツBMWのジャーマンスリーがEV化を積極的に進めるほか、中国・吉利汽車傘下のスウェーデンボルボのEV戦略も先行しており、ルノーにとって厳しい戦いが続く。 

 

 その意味では、ルノーは日産からの配当といった「上納金」が業績面で大きく寄与してきたが、ここ数年日産の業績悪化と無配転落により当てが外れ、さらに自社のロシア事業撤退による事業環境の変化で構造変革が急務となってきたのだ。

 

 

 この日仏自動車連合は、そもそも90年代に日産が経営危機に陥った際に、ルノーが救済する形で資本提携して以来続いてきたものだ。 

 

 筆者は、1999年3月27日の東京・大手町の経団連会館での日産・ルノー資本提携発表会見に臨んだ。これは同年7月にダイヤモンド社から上梓した筆者の『トヨタの野望、日産の決断』の中で「日産がルノーを選んだ日」として、当時の塙義一日産社長とシュバイツァールノー会長による会見内容を詳細に記述している。 

 

 99年にルノーが日産に出資した時は保有比率が36.8%で6000億円を出資したが、その後02年に比率を引き上げるとともに(現在は43.4%)、反対に日産がルノーに15%出資して現在の資本関係へと続いた。16年には日産が三菱自に34%出資したことで、親・子・孫の資本構成による3社連合に至った。 

 

 だが、ルノー筆頭株主15%出資しているフランス政府であることから、同社の動向には国策的な意向が常に見え隠れしてきた。ゴーン氏の長期政権による歪みだけでなく、仏政府による「日産統合提案」が19年のゴーン氏の突然の逮捕という出来事の前後にあった。これに対し、日産はルノーによる統合吸収を避けるために、三菱商事ルノー保有株の半分を買い取る案や、ホンダとの提携をひそかに狙ったこともある。 

 

 日産としてはルノーが持つ日産株が43%なのに対して、日産側は15%しか持たない。しかも、仏商法で日産が持つルノー株の議決権は実質的に無効という資本関係は不満だった。ルノーと日産のアライアンスの根幹を成す「RAMA(改訂アライアンス基本契約)」は、日産株主総会でも「不平等なアライアンス状況が改善されないのはRAMAの内容の是非が株主間でも議論に付されていないから」だとして、全面開示を求める議案が提示されたほどだ。 

 

 つまり、日産側はかつての窮状を助けてくれたルノーに恩義はあるが、「ルノーのEV新会社に出資するなら現在の資本関係も対等にするチャンスだ」として交渉が進められた、というのがこの間の経緯である。 

 

 ルノーは事業構造改革が急務であり、欧州地域で活動するアンペアを23年中に、日産と三菱自の出資を仰いで設立、上場させることが今後のカギを握る課題だ。これは今回3社合意に至ったことで、ある程度条件を満足している。 

 

 日産にとっては、24年間にわたる足かせが解き放たれることで自由度は上がるが、この大変革期に単独では生き残れないことは明白で、当面3社アライアンスの「次のステップ」を活用することで日産の価値向上を進めていくだろう。

 

 また三菱自は、ルノー・日産の対等資本見直しは大きな岐路となるが、3社アライアンスの次のステップの中でうたわれている欧州事業の活用が当面のプラス材料となることから、アンペアの参画も前向きに捉えているようだ。3社の中では三菱自の業績回復が最も早く進んでおり、いずれ3社連合の三菱自の立ち位置の変化もあり得るだろう。 

 

 なお、ルノーは日産株28.4%の売却については、株価下落により損失が発生する可能性があることから、すぐに売却せず仏信託会社に委託した後とする。これは日産としては、日産株価の低迷(5年前の1200円弱から現状470円程度に大幅低落)と断続的な無配という状況からの脱却が急務でもあることの裏返しでもある。 

 

 さらに日産は、ルノー提携前からあった経営混乱の歴史がゴーン長期政権で再来した流れに終止符を打って、約四半世紀に渡ったルノー支配から新たな日産の経営を進めることができるかも注目されよう。

 

 

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫) 


https://diamond.jp/articles/-/317424 

(続く)

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(9)

主力のロシア撤退で、販売台数の7割弱が欧州市場となりお膝元への依存度が極端に高まる。実質的には欧州専業メーカーといってもいい。だが欧州はガソリン車など内燃機関の新車販売が35年までに事実上禁止される見通しで脱炭素規制が世界でも先行する地域だ。急速なEVシフトが求められ、巨額の電動化投資やソフトウエア競争への備えが不可欠となる。 

 

EVシフトを急ぐルノー23年中にもEV新会社を設立すると表明し、スケジュールのお尻を自ら切った。日産は交渉過程で資本見直しとEV新会社への出資などを一括の「ワンパッケージ」(関係者)と位置づけ、「合意を急ぐ必要はない」と一部の幹部からは長期化を匂わせる発言がしばしば出た。日産は四半世紀前とは一転して、EV特許などの知的財産の扱いなどで優位な立場で交渉を進められた。したたかな日産を前にしてルノーは後手に回ったようにも見え 

る。 

 

日産の内田誠社長兼CEO㊧とルノーのルカ・デメオCEO     

 

22年の世界販売台数は日産とルノーに、三菱自動車を加えた日仏3社連合の順位が韓国の現代自動車グループに抜かれて4位に後退した。日仏連合は17〜19年には約1000万台を販売し世界首位に迫ったこともあるが、足元はトヨタ自動車がほぼ独走でトップをひた走る。EVでは日産が「リーフ」で先行したが、米テスラ比亜迪(BYD)など中国勢に追い抜かれた。連合での事業戦略の再構築も急ぐ必要がある。 

 

(湯前宗太郎) 

 

多様な観点からニュースを考える 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。 


田中道昭立教大学ビジネススクール 教授
 

 

ひとこと解説 

日産がルノーから支援を受けた1999年3月当時、外資系金融機関でストラクチャードファイナンスを担当、日産と日産の金融子会社も担当していました。日産の破綻懸念が強まっていた中で、RMバンカーとともに日産の経営企画や財務と毎日やりとり、ほとんど全ての自動車会社等からスポンサー就任を断られ、最期に登場したのがルノーだったことを今でも鮮明に覚えています。ルノーはまさにラストリゾート、同社がスポンサーに名乗りをあげていなかったら、当時の日産は破綻し、長銀のような顛末になっていたと思います。ルノーと日産が模索する新たな提携の枠組みは、異業種企業も巻き込み、自動車業界再編の大きなきっかけになると思います。 

2023年1月31日 16:09 (2023年1月31日 16:11更新)124 

 

 


中西孝樹ナカニ自動車産業リサーチ 代表アナリスト
 

 

貴重な体験談 

昔話なら負けてはいません笑。日産がルノーから支援を受けることになる第一歩は、1998年にシュバイツァー会長が(資本提携の牙を隠して)日産の塙社長へ表敬訪問するとことから始まりました。その時、私は某米系外資証券の自動車アナリストとして、会長に日産についてブリーフィングした記憶があります。当時、ルノーVOLVOとの提携に頓挫、「座して死を待つより打って出るべし」という感じで、グローバル化に生き残り戦略を見出だそうとしていたわけです。その後、両社のアライアンスは「対等の精神」→「対等のガバナンス」→「対等の出資」と進化していきます。そして、ルノーはグローバルから欧州特化へ戦略大転換をします。 

2023年1月31日 16:24 (2023年1月31日 16:25更新)112 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC3123V0R30C23A1000000/?n_cid=NMAIL006_20230131_Y 

 

 

ルノーは、2019年のイランからの撤退、そして2022年のロシアからの撤退で、かなりの打撃を受けているようだ。この記事によると、ロシア事業では、営業利益の2割を叩きだしているというので、それがなくなった訳で大打撃となったことであろう 

 

その結果欧州事業が7割弱を占めるようになったという。と言うことはEUでは先にも指摘したように、2035年にはICE車は販売が出来なくなってしまうのでまだ紆余曲折があるようなのだが、BEVに掛かり切りにならざるを得ない、と言う事情が差し迫っているということである。 

 

だから慌てふためいて、日産のBEVの技術に頼ろうとして、日産株を手放して日産と対等な資本関係になったということか。これで日産のご機嫌を取って、 EVの新会社アンペア」への出資を取り付けたかったということであろう。 

 

なんと言っても欧州では、そのうちにBEVしか販売できなくなってしまうからである。BEVだけとは、少し言い過ぎではあるが、現時点ではCO2フリーのクルマは、ルノーにとってはBEVしかないのである。 

 

先にも言及しておいたが、クルマをCO2フリーにするためには、BEVの他には、FCEV(燃料電池車)か、ガソリンを止めて水素か合成燃料(e-fuelなど)に変換しなければならないわけであり、ルノーにとっては、その準備が出来てはいない、と言うことである。だから焦ったのである。 

 

ルノーは会社を5分割してでも、欧州で生き残らなければならないと考えているのである。将に「背に腹は代えられない」と言うことであろう。 

 

 

 

「日産の支配権」を捨てたルノー、つ

 

いに対等関係を認めた焦りの正体 

佃 義夫:佃モビリティ総研代表 - 2023.2.9 4:15 


日産とルノー三菱自ら3社のアライアンスは新たなステージを迎えることになる。写真は記者会見に臨む日産の内田誠社長 Photo:EPA=JIJI  

 

 

日産・ルノーの資本を巡る議論が決着 

日産悲願の「対等出資」へ 

 

 日産自動車ルノー三菱自動車工業の日仏連合「アライアンス・ボード」の首脳が2月6日、英ロンドンで会見し日産とルノーの資本関係見直しで合意したと発表した。ルノー保有の日産株を43.4%から15%まで引き下げ、相互に15%ずつ出資する。いわゆる「いびつな資本関係」の是正によって、1999年の両社の資本提携以来24年間続いた日仏連合は「歴史的な転換点」を迎えることとなった。 

(続く)

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(8)

フランスのルノーが、日産の株式を手放してでも、BEVの量産化に日産を取り込みたいと動き出したことは、このことを如実に物語るものであろう。 

 

ルノー単体では、この荒波を乗り越えられない可能性があると、ルノー経営陣は危惧したということであろう。 

 

(1)なんと言っても、日産の方がBEVに関しては、特許などでもルノーよりも一日の長があったということではないのかな。 

 

(2)2035年には、EUでは、ICEの新車販売が禁止される事が決まったようなので、急速なEVシフトが進むものと思われる。 

 

(3)しかもルノーはロシアからの撤退で22年前半期は2年ぶりの赤字となっている。 

 

と言った塩梅で、ルノーとしては相当(ある意味)焦っていたのであろう。 

 

だだから、EV事業への日産の助けが必要だったわけで、ルノー保有日産株43.4%を手放して15%にして日産と対等な持ち株としてでも、日産のEV技術を獲得することに舵を切った、と言った状況であろう。 

 

将に攻守逆転と言った状態となったわけである。 

 

 

切迫ルノー日産自動車動かす 四半世紀で立場逆転 

2023年1月31日 14:53 [有料会員限定] 

日産は2001年6月の取締役会でカルロス・ゴーン被告を社長兼CEOとする人事を決めた           

 

日産自動車と仏ルノーの20年以上続いた提携関係が転換期を迎える。経営危機に陥った日産をルノーが救済する形で始まった歴史は「カルロス・ゴーン」という強烈なリーダーの下、世界首位グループ入りを果たした。ルノーは欧州の電気自動車(EV)シフトやウクライナ危機の荒波にさらされ経営が切迫しており立場は逆転した。日仏連合は「対等」後に再び存在感を高めるためあるべき姿を模索する。 

 

「言葉の壁など関係ない。我々が話すのは『自動車語』であり、『企業語』なのだ」。1999年3月27日ルノールイ・シュバイツァー会長(当時)が日産の塙義一社長(当時)と臨んだ両社の資本提携の発表会見。シュバイツァー氏は自動車産業グローバル化の拡大を予感させる言葉で高らかに語った。ルノーが6000億円超を投じて日産株を37%取得し、日仏連合の歴史は始まった。 

 

日産とルノー資本提携を発表し握手をする塙義一日産自動車社長(左、当時)とシュバイツァールノー会長(当時)=1999年3月、東京都千代田区 

   

 

世紀の大統合といわれた1998年ダイムラー・クライスラー(後にメルセデス・ベンツグループと欧州ステランティスに再編)の誕生が象徴するように、90年代は巨大な自動車メーカー同士の大再編時代の幕開けだった。再編を主導したのは海外メーカーだ。バブル経済崩壊で体力が弱った日本車メーカーに次々と触手を伸ばした。日産だけでなくマツダ三菱自動車も強力な欧米メーカーの傘下に入った。 

 

日本車メーカーを再生させる――。日産の場合、ルノーが再建のために送り込んできたのがゴーン被告だった。日産の最高執行責任者(COO)として着任し、後に最高経営責任者(CEO)に昇格。1999年10月に発表した「日産リバイバルプラン」で完成車や部品などの5工場閉鎖に踏み切った。日本流のしがらみが残っていた「ケイレツ」にメスを入れ部品メーカーとの関係を見直した。「コストカッター」との異名をとり、強引にも見えた手法は時に反発も招いた。 

 

ゴーン流改革で息を吹き返した日産は、就任からわずか2年後の2001年3月期に連結最終損益で3310億円と過去最高益を達成した。V字回復したことで「助けたルノー」、「助けられた日産」という構図がより鮮明になった。ルノーの追加出資で日産株43%日産がルノー株の15%を持つ現在の資本関係に至るが、資本の非対称さが両社のあつれきを生む一因になった。 

 

1999年の時とは対照的に、今回の資本見直しのきっかけとなったのはルノーの苦境だ。22年7月下旬の決算説明会でルノーのルカ・デメオCEOは「ここ15年で最も悪い事業環境だった」と話した。ウクライナ危機の影響で営業利益の2割を稼ぎ出すロシア事業から撤退し、関連費用がかさんだ。22年1〜6月期の連結最終損益は13億5700万ユーロ(約1900億円)の赤字と同期間として2年ぶりの最終赤字となった。 

 

 

 

(続く)
 

 

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(7)

ガソリン車、35年に禁止へ=EVシフト加速―欧州議会が採決 

2023年02月14日21時13分 

 

 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州議会は14日、フランス東部ストラスブールで本会議を開き、2035年に域内でガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する法案を採択した二酸化炭素(CO2)を排出する車が売れなくなり、電気自動車(EV)の普及が進みそうだ。加盟国の正式承認を経て施行される。 

 

欧州議会ビル=フランス・ストラスブール(EPA時事)© 時事通信 提供 

 

 

 ハイブリッド車HV)やプラグインハイブリッド車PHV)も販売禁止となる。こうした車を得意とする日本メーカーはEVへの転換加速を迫られるなど、大きな影響を受ける。 

 

 EU欧州委員会のティメルマンス上級副委員長(環境政策担当)は採択を受けツイッターで、「世界的な転換が起きており、EUの自動車産業はそれをリードする準備が整っている」と述べた。 

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023021400657&g=int 

 

 

とはいうものの、すんなりとはいっていないようだ。 

 

 

ガソリン車販売禁止、承認延期 ドイツ不支持で―EU加盟国 

2023年03月03日23時38分 

 

 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)議長国スウェーデンは3日、2035年に域内でガソリン車などの新車販売を事実上禁止する法案について、7日に予定していた加盟国による承認を延期すると発表した。手続きは最終局面を迎えていたが、自動車大国ドイツが待ったをかけたことが響いた。新たな日程は未定。
 

 法案を巡っては、EU加盟国と主要機関が昨年、政治合意した。欧州議会が2月に法案を採択し、加盟国の正式承認を残すだけとなっていた。ロイター通信は今回の状況を「通常ではあり得ない」と報じている。 

 

 

no nameID: efcb40 

ガソリン車禁止は、石油火力発電廃止と軌を一にしないと、脱炭素の意味がない。そうなると、電源は再生エネルギー(風力・水力・太陽光・地熱)か原子力LNG火力となる。ところがLNG火力はLNGの高騰を考慮すると経済的に難しい。再生エネルギーは、水力や地熱を別にすると不安定である。原子力発電もドイツは廃止の方向である。
ガソリン車禁止にすると、バッテリー電動車になるが(水素燃料電池車にしても、 ... 続きを表示ガソリン車禁止は、石油火力発電廃止と軌を一にしないと、脱炭素の意味がない。そうなると、電源は再生エネルギー(風力・水力・太陽光・地熱)か原子力LNG火力となる。ところがLNG火力はLNGの高騰を考慮すると経済的に難しい。再生エネルギーは、水力や地熱を別にすると不安定である。原子力発電もドイツは廃止の方向である。
ガソリン車禁止にすると、バッテリー電動車になるが(水素燃料電池車にしても、水素の生成に電力が必要となるが)、ドイツはその電力確保の見通しが立っていないように見える。
 

no nameID: 377ea1 

どちらにせよ、ガソリン車は今後廃止の方向なので、各自動車メーカーも、電気自動車や水素自動車などにシフトチェンジして行かなくてはならない。 

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030301225&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit 

 

 

 

脱ガソリン車、NY州も 35年に新規販売禁止 

2022年09月30日07時32分 

 ニューヨーク市マンハッタンの交差点=22日(AFP時事) 

 

 【ニューヨーク時事】米東部ニューヨーク州のホークル知事は29日、乗用車の新車を2035年までに全て排ガスを出さない車に切り替える方針を表明した。同様の規制案を決めた西部カリフォルニア州に追随する。日系メーカーが強みを持つハイブリッド車(HV)も販売禁止の対象となるため、日本勢には痛手となりそうだ。
 

ベンツ、EVセダン発売 航続距離700キロ 

 

 ニューヨークは加州同様、26年型の新車の35%を、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など排ガスを出さない車にすることを義務付ける。この割合を段階的に引き上げ、35年型では100%とする。 

 

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022093000205&g=int 

 

 

 

 

 

以上のようにBEV化が今後の喫緊の課題だが、クルマをCO2フリーとするためには、BEVの他に各種の手立てが存在している事はご承知のことと思う。 

 

ガソリンエンジン・ICEを使わない方法。 

1)BEV(バッテリー電気自動車) 

2)FCEV燃料電池自動車・H2と酸素で発電する一種の電気自動車である。) 

3)PHEV(エンジン付きの外部充電可能なEV、HEVとBEV の結合車、厳密には 

    CO2フリーではないが、一般的にはZEVとしている。) 

 

・ICEの燃料をCO2フリーとする方法。 

4)HICE(Hydrogen Internal Combustion Engin 水素エンジン) 

5)Synthetic fuel(合成燃料、CO2→CO(+)H2←H2O⇒FT合成→CnH2n)※ 

6)e-fuel(electro fuel、再生可能エネルギーによる電気で作った合成燃料) 

7)biofuelバイオマス・生物資源を原料とする燃料、トウモロコシ、サトウキビなど) 

 

※当ブログ「世界の流れは、EV化(81)」(2022.03.10)を参照の事。 

 

4)~7)は燃料を示しているが、この燃料を使うクルマであれば、既存のエンジンの改良で済ませることが出来るので、既存設備や雇用は維持することが出来る。また、現行車(既販車)のCO2フリーに大いに寄与することになる。 

 

水素、合成燃料(含むe-fuel)は、既存のエンジンの一部改良で使用できる燃料なので、新車でなくても現行車(現在使われているクルマ、含む中古車、既販車)にも使うことが出来る燃料となるので、既存のクルマをCO2フリーにする有力な手段となるものである。 

 

また合成燃料は、航空機や船舶にも使うことが出来るので、移動手段・モビリティのCO2フリーに寄与するものでもある。 

 

と言うことではあるが環境問題の解決が迫られる中、これからのクルマのCO2フリーへの挑戦は、激烈を極めることになる。 

 

現在のICEからBEV化への移行競争が、それである。現在BEV化への挑戦が、各自動車メーカーの間で繰り広げられていることは、ご承知のことと思う。 

(続く)

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(6)

水素エンジンと合成燃料について 

 

(1) EVの最大の欠点は「航続距離が短い」とことである。長距離輸送や雪道にはEVは向かない。 

 

(2) 大型~小型トラック、船舶、鉄道、バスなど長距離輸送には、『合成燃料かFCV』が最適。 

 

(3) 2020/7月、欧州委員会EC水素戦略を発表、水素に巨額の投資をすると発表した。中国は燃料電池(FCV)トラックに興味、米国はGreenH2に興味、G7も水素の商業化に言及 

https://president.jp/articles/-/46422 

 

(4) 水素は最も豊富な元素で、再エネと水でどこでも生産できる。最近は「光触媒」で水を分解して水素を取り出す方法も試されている。 

 

(5) 水素を燃やしてもCO2を排出しない。再エネも限りなくコスト低減が進みH2は安くなろう。 

 

(6) 欧州委員会ECは、世界に先駆けて「水素サプライチェーン」の構築を企画している。 

 

(7) カーボンニュートラルには、EVと水素H2のどちらも必要となる。バッテリーの希少金属には限りがあるが、水素は豊富に存在する。 

 

(8) 水素エンジンは、従来の内燃機関を活用できる内燃機関でもCO2フリーが達成できることを示すために、トヨタは2021年5/22~23の富士スピードウェイでの24時間耐久レースに参戦して、世界で初めて水素エンジン車で完走した。但し24h中実走行時間は12hで、半分はピット作業と水素の充填時間(4h、35回)であった。 

https://response.jp/article/2021/05/24/346061.html 

 

(9) 水素エンジンとは、ガソリンエンジン 

    『インジェクターとプラグ』と『燃料供給システムとGas.Tank→水素タンク』を変えたもの。 

      ↑デンソーとともに開発   ↑FCV・ミライのものを水平展開 水素タンク4本搭載 

 

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/10437/ 

 

 

トヨタ自動車が自動車レースの参戦車両に搭載する「水素エンジン」のイメージ=トヨタ提供     

 

水素ガス噴流が拡散する前の塊に点火して燃焼。産総研の資料を基に日経クロステックが作成。↓ 

噴射量は相当多くしている。 

 

 


 

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/at/18/00006/00301/       

 

(10) 水素エンジンの課題は、「ブレイグニッション・早期着火」の抑制。高温部に接すると自着火。 

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/10437/?P=1 

(11) 水素エンジンは、低純度の水素が使える。FCVは純度99.97%と非常に高価だ。排気量当たりの出力、トルクはディーゼルを上回るhttps://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00051/?n_cid=nbpnxt_mled_fnxth 

(12) 24h耐久レースでの燃費は、およそ0.33km/L,H2 と燃費は非常に悪い。 

   1周4.563km、13周で水素充填、満タンで180Lで計算。 

   初期型ミライ、650km/122.4L(水素タンク)=5.3km/L 

https://response.jp/article/2021/05/24/346061.html 

 

(13) と言うことだが、トヨタとしては、「脱炭素社会に向けた選択肢を広げる第一歩を示せた」と強調している。まあ今後の技術革新を期待したいところ。 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052300369&g=eco&p=20210523atG2S&rel=pv 

 

 

24時間耐久レースを完走したトヨタの水素エンジン車(23日、静岡県小山町で)    

 

 

 

次に『合成燃料』について簡単に述べてみたい。 

 

 

(1) 合成燃料とは、CO2とH2の化合物(炭化水素化合物)で液体ある。 

 

(2) 「人工的な原油」ともいわれ、Gas.エンジンや既存のインフラが使えるメリットがある。 

 

(3) 化石燃料は燃焼でCO2を排出するため大気中の濃度が増大する。しかし合成燃料は取り込んだCO2を排出するだけなので、+-ゼロとなりCO2は増えないところがミソ。(カーボンリサイクルで脱炭素燃料とみなされる。) 

 

(4) 合成燃料のCO2は、大気中から分離・回収する「DAC」(Direct Air Capture)と言う方法が行われる。H2は水電解で作り化石燃料の改質では作らないからCO2はフリーとなる。 

 

(5) 水素やバッテリーと違って、合成燃料は船舶航空機にも使える燃料となる。 

 

(6) 石油を算出しない日本にとっては国内生産出来て備蓄も可能であり、エネルギーセキュリティ面でもメリットがある。 

 

(7) 合成燃料は、原油に比べて硫黄分や重金属分が少ないので、クリーンである。 

 

(8) 課題としては、製造技術がいまだ確立されておらず、更には水素の製造や輸送のコストが高いと言うこと。国内製造約700円/L、海外製造約300円/L。もっと下げる必要がある。 

 

(9) 2030年までに製造技術確立し、2040年までに自立商用化を目指す。 

 

 

 

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/gosei_nenryo.html 

 

 

(10) トヨタ水素燃焼エンジンカローラでレースに参戦しているが、この合成燃料を使うGR86に新開発の1.4Lターボの3気筒エンジンを載せて、「スーパー耐久レース」にスバルのBRZと共に今年2022年から参戦するという。スバルは2.4L自然吸気水平対向4気筒エンジン。 

 

(11) 更にマツダは、バイオディーゼル燃料を使用したマツダ・デミオディーゼルを投入するという。トヨタ、スバル、マツダと更には2輪主体の川崎重工ヤマハ発動機も参加して、モータースポーツの現場で内燃機関を活用したカーボンニュートラル技術開発を進めるという。 

   https://www.as-web.jp/domestic/759498?all 

 

(12) このように既存の内燃機関を使って、カーボンニュートラルを進めることが出来ることは、明るい未来を展望できると言うもの。但しICEの製造過程でのカーボンニュートラルが課題となる。 

 

と何やかやと言っているうちに、EU2035年にはICE車の新車販売を禁止することにしたようだ。 

(続く)

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(5)

中国のEV規制 

 中国には、NEV規制とCAFC(Corporate Average Fuel Consumption=業別平均燃費)規制の2規制がある。NEV=New Energy Vehicle、中国版ZEVのこと。 

 

 日本の燃費規制は、2015年・16.8km/Lが2020年には20.3km/Lだと言う。

これに対して、中国の燃費規制(CAFC)は、次のようになっている。 

2018年 6.0L/100km(16.6km/L) 

2019年 5.5L/100km(18.2km/L) 

2020年 5.0L/100km(20.0km/L 

https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/03/15/170315i_nishino.pdf 

  

と言う事で、企業平均燃費が、リッター20kmとなっている。だからどうしてもNEV車を所定台数だけ売らなければ、達成できそうにもない基準となっていると言う事だ。 

  

  

中国はHVにやさしくなってきたと先に言及しておいたが、中国共産党も自国の大気汚染のひどさにほとほと閉口してきたのではないのかな。電気自動車で自動車強国になろうとしたわけだが、思い通りにはならずに、北京の大気汚染は一向に改善の兆しもないので、現実解に戻ったと言う事である。 

  

いわゆる環境対策車とは、普及してなんぼなのである。いくら排ガスを出さないEVに補助金を出しても、普及しなければ元も子もないのである。相変わらず大気汚染対策は進まず、温暖化対策にもならないのである、と言う事に気付いたと言う事である。いくら中国共産党が笛や太鼓で踊らせても、高価な電気自動車はそんなに普及はしなかったと言う事なのである。それよりもそれほど高価ではない環境対策車であるHV車が普及すれば、相当な大気汚染対策となるのである、と言う事にようやく気付いたと言う事ではないのかな、トヨタハイブリッド技術の特許の無償公開(2019/4)を受けてHV車を推薦しだした様だ。2020.10月には広州汽車に、トヨタはHV技術を供与している。 


 また、新エネ車を規則よりも多く製造販売した場合は一定の条件をクリアすれば、翌年に持ち越せる内容も盛り込む。19年は10%、20年に12%決めた新エネ車の製造販売の義務付け台数を決める基準も、21~23年に2%ずつ増やすなど規制を強化していく方向だ。 

 今回の修正案は、深刻な大気汚染の改善や石油資源の有効活用をするのに、中国政府が低燃費で環境負荷が小さいHVを評価したことが背景にある。


 

'18 19 20 21 22 23 24 25 

--  10% 12% 14% 16% 18% 20% 20% → 25%にすると言う事ではないか。 

2025年にはNEV車EV、FCV、 PHEV)を25%販売しなければならない。そして低燃費車のHV車への優遇策も縮小させる。 

  

 

  

2035年には、NEV車50%+HV50%=100% とすることになる。 

量・質の両面で中国NEV市場が変化するなか、中国汽車工程学会が工業情報省の指導を受けて(2020年)ロードマップ2.0」を制定。2035年電気自動車(EV)を中心とするNEVを50%とし、残りの50%を占めるガソリン車をすべてHVとする目標を打ち出した。 

https://toyokeizai.net/articles/-/387053?page=3 

  

 まとめ 

中国では、2035年には、NEV車50%+HV 50%=100% とすることになる。 

HV車を認めている訳は、NEV車が補助金の削減・廃止とともに売れなくなったからである。 

・HV燃費規制、'25年21.74km/L、'30年31.25km/L、'35年50km/L (RoadMap2.0)。 

  

  

日本の場合 

 ・2020.10.26、所信表明演説「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」宣言 

・但し、今のところ、そのための明確な具体策が見えてこない。 

・例えば電源構成の見直しなど。石炭⇒再エネ、グリーン水素(水の電気分解)、原子力発電 

ICE(内燃機関)からZEVへの明確な政策転換が必要 

  

  

  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

  

と言うことで、EU、USA、CHINA、JAPAN すべてがZEV、特にEV電気自動車と、内燃機関を使う水素エンジン車合成燃料車(水素と二酸化炭素の化合物)に集中せざるを得なくなっている。  

 

ここで「水素エンジン」と「合成燃料」について、少し言及しておきたいが、その前にBEVの注意点について述べておこう。 

 

BEVの注意点(デメリット) 

 

EVは、Batteryに蓄えた電気で、モーターを回して走ることになる。バッテリー製造時には多くのCO2を排出するが、走行時にはEVはCO2フリーである。しかしここにEVの一つの注意点がある。このBatteryがEVではキーテクノロジーとなるわけだが、当然蓄えられた電気には限りかあるから、EVには次のような欠点・デメリットがある。 

 

 

(1) 航続距離が短い。日産Leaf(458km・WLTC)、三菱i-Mieve(164km・JC08)、Honda-e(283km・WLTC)、実質は、5~6割り掛けと言ったところか。 

 

(2) 充電時間が長い。満充電に8h~24h、急速充電Stand少ない、 

 

(3) 非常に高価である。バッテリーやモーターなどに希少金属(リチウム、コバルト)やレアアー ス(ネオジム、ジスプロシウム、etc)などが必要。 

 

(4) 製造時には大量のCO2を排出。そのためLCAベースではHV車の方が、CO2排出は少ないケースがある。 

                          

(5) バッテリーの寿命は長くない。四千サイクル?5~10年と言ったところか。新型「日産リーフ」の保証期間は、新車登録から8年16万km。中古車価格はかなり低い。 

 

(6) 火災の発生の恐れがある。特にGMボルトEVやテスラの火災のニュースが多い。 

 

このバッテリーの欠点と雇用問題を避ける意味で、既存設備が使える水素エンジン合成燃料車ぱ注目されている。バッテリーの革新、例えば全個体電池などの話は後に譲るとして、まずは水素エンジン合成燃料について、まとめてみよう。 

(続く)