次世代エコカー・本命は?(47)

6FCV・他社の状況について

 

さてEVに移る前に、他社のFCVの状況にも興味がある。2014.12.26の当ブログNO.24で、FCVの各社の販売開始時期を伝えている。それによるとGMと提携しているホンダ2015年度中に発売を予定し、ダイムラーとフォードと提携している日産2017にそして独立独歩のVW2020にも燃料電池車を投入する予定と伝えている。ホンダは当初2015年中に販売するとしていたが、社内での品質問題などにより20163に販売時期を延ばしている。

 

トヨタとしては、ホンダには早くFCVの販売を開始してもらいたいと、切望しているはずだ。水素社会は、トヨタ一社では荷が重いのだ。

 

ホンダ、水素で走る燃料電池車を来年3月発売へ

デトロイト=大畑滋生

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写真・図版北米国際自動車ショーで展示されたホンダの燃料電池車(FCV)の試作車=米デトロイト ホンダFCV_AS20150114003500_commL H s5nk

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 ホンダは、水素で走る燃料電池車(FCV)を2016年3月発売する。まず日本で売り出し、16年末までに北米でも発売する。米国法人のジョン・メンデル上級副社長が13日、北米国際自動車ショーの発表会で明らかにした。

 FCVでは、トヨタ自動車が昨年12月に発売した「MIRAI(ミライ)」に続く2車種目となる。4人乗りのミライに対し、ホンダのFCVは、システムを小型化して5人乗りにしたのが特徴だ。当初は今年中の発売を目指していたが、やや遅れた。

 FCVは、燃料にガソリンではなく水素を使い、空気中から取り込む酸素と反応させることで生じるエネルギーで、モーターを動かす。走行中に、水しか排出しないため、「究極のエコカー」とも呼ばれている。燃料を補給する「水素ステーション」の整備などが課題となっている。(デトロイト=大畑滋生)

http://www.asahi.com/articles/ASH1G4VQ0H1GULFA01L.html

 

ホンダのFCVの発売が少し遅れたのは誠に残念ではあるが、こと水素社会の早期到来を目指すトヨタにとっては、幾分目算が外れた感は免れないであろう。なんと言ってもホンダに早くFCVを発売してもらいたくて仕方がなかったのであるから、だから2014.11.18の記者発表会ではホンダにエールを送ったのである。

 

「ホンダよ、待っている」FCV発表会で異例エールを送ったトヨタの“真意”

【経済インサイド】 2015112日(月)09:27

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トヨタ自動車が発売した燃料電池車「ミライ」  

 世界初の一般向け燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売したトヨタ自動車が、ライバルのホンダに異例のエールを送っている。FCVは燃料の水素を補給する水素ステーションを全国で整備しなければならないなど、トヨタといえど単独で普及を担うのは難しいからだ。ただ、大規模リコール(回収・無償修理)に見舞われたホンダは、品質管理を徹底するため当初予定した平成27年内に一般向けモデルを発売できない見通しで、“FCV普及元年”はトヨタの一人旅となりそうだ。

独走の影に

 「ホンダも早く参入して水素社会の実現を一緒に盛り上げてほしい。待っている

 トヨタの加藤光久副社長は昨年11月に開かれたミライの発表会で、ライバルのホンダに対し早期にFCVを発売してほしいと重ねて要請。会場はどよめいた。

 自動車業界で唯一の世界販売1000万台を達成し、27年3月期決算も2年連続の最高益が確実視されるなど、トヨタの独走ぶりが目立っている。脱石油社会の扉を開くFCVの量産化にも一番乗りしただけに、ホンダへのエールには“王者”の余裕すら感じられる。

 ただ、ことはそう簡単ではない。開発当初は1台1億円といわれたFCVの価格を国の補助金込みで約520万円まで引き下げ、一般ユーザーの手が届くところまでこぎ着けたにも関わらず、トヨタにはFCVを思う存分生産・販売できない事情がある。それは給油所の代わりを務める水素ステーションの整備不足だ。

 エネルギー事業者10社はステーションを27年(2015)に国内で100カ所を整備すると発表し、42年(2030)までに5000カ所の設置を目指すが、全国3万カ所以上ある給油所に比べ圧倒的に少ない。

 ステーションがない地域の顧客に販売しても日常的に使うのは難しく、トヨタも当面は東京、大阪などステーションの整備が先行する4大都市圏に販売を限定せざるを得ない状況だ。

ホンダ減速

 FCVと水素ステーションは「鶏と卵の関係」ともいわれ、自動車メーカーとエネルギー事業者のどちらかが赤字覚悟でまず数を増やさなければ普及は難しい。足元の準備が整う前にトヨタがミライを投入したのは、その覚悟ゆえだ。

 ただ、それでも1社が1モデルを投入しただけでユーザーが従来のガソリン車からFCVに切り替えてくれると考えるほどトヨタも甘くない。既存の給油所を利用できるハイブリッド車(HV)ですら、世界的に普及するには初代プリウスの発売(平成9年)から10年程度の歳月を要した。

 そこで普及の両輪を担うと期待するのが、トヨタと20年来にわたりFCVの開発を競ってきたホンダ

 ホンダは、開発当初、室内空間が広いミニバン「オデッセイ」を一人乗りにしなければいけないほど巨大だった燃料電池の小型化を着々と進め、トヨタと同様にセダンタイプのFCVの開発に成功。これまで27年(2015)に発売するとしてきた。

 だが、ホンダは主力小型車「フィット」や車台を同じくする兄弟モデルのスポーツ用多目的車(SUV)「ヴェゼル」などのリコールが相次いだ影響で、社内の品質管理体制の抜本見直しを余儀なくされた。この結果、新車開発に半年程度の遅れが発生。昨年11月にFCVの発売時期も「27年度」と修正した。実際には28年(2016)初頭になる見通しだ。

死の谷越え

 化石燃料に頼らず、国内で作られる水素を使ってエネルギー需要を満たす水素社会の実現は、資源が少ない日本にとってエネルギー供給で海外から自立できる千載一遇の好機だ。水素ステーションの整備も政府が強力に後押ししており、ホンダの開発の遅れが全体のスケジュールに与える影響は必ずしも大きくはない。

 ただ、「1社だけでは成り立たない。ホンダとは協調していこうと話し合ってきた」(加藤副社長)というトヨタにとって、これから始まる普及への「長い長い道のり」(同)を共にする相棒が“遅刻”したのは誤算だ。水素ステーションを整備するエネルギー事業者からも、「早く複数メーカーがFCVを出してくれないと、商売として成り立たない」(石油元売大手幹部)と不満が漏れる。

 FCVの普及は始まったばかり。電気自動車(EV)への傾倒が目立つ日産自動車29年(2017)には独ダイムラー、米フォード・モーターと共同開発した一般向けFCVを投入するほか、32年(2020)以降の本格普及に向けトヨタは独BMWと、ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)と量産モデルの開発を進めている。

 たとえ革新的な技術でも研究開発から量産に移行するには莫大(ばくだい)な投資が必要だ。「死の谷」とも呼ばれる本格普及までの序盤期間を王者トヨタがいかに乗り切るか。それが水素社会実現のカギを握るといえそうだ。(田辺裕晶)

http://www.sankei.com/premium/news/150112/prm1501120003-n1.html

(続く)