続・うつけ者・文在寅、滅びよ韓国(93)

 西野さんは韓国政府がGSOMIAを破棄すると発表した時に韓国にいらっしゃいました。現地ではこの決断が、どう受け止められていましたか?

西野氏:ちょうど日韓の専門家が集まって、日韓関係の改善策を議論している時でした。みんな残念がっていました。

山川:韓国の専門家にとっても想定外だった?

西野氏:そうですね。韓国の報道でも、一定の条件付きではあっても延長されるだろうと予想されていました。それに文大統領が815日の光復節の演説日本批判のトーンを控えていましたから。

西野:現地の雰囲気はいかがでしたか?

西野氏:とにかく日本の貿易管理の運用見直しが「政治報復である」という認識が強いですね。

 日本は見直す理由として「信頼関係が失われた」ことを挙げました。そうであれば、「高度な軍事機密を共有できる状況ではない」というのが文政権の立場ということです。



西野:貿易管理上の優遇対象国、いわゆる旧ホワイト国(グループA)除外が決まって時間がたちましたが、韓国内では理解が進んでいないということでしょうか?

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西野氏:韓国では、7月初めの半導体材料3品目に対する措置は、事実上の報復と受け止められています。日韓関係は「実態」よりも「認識」によって作られているところが大きい。韓国の人たちは、最初に「韓国経済の息の根を止めるような措置だ」と認識してしまった。それが、その後の文政権の対日政策の幅を狭める結果になりました。

西野:今後、日本がさらに厳しい措置を出してくると韓国側は懸念している?

西野氏:それもあります。82日にグループA(旧ホワイト国)からBへの格下げを決めたわけですが、政令が施行されるのは828。一方のGSOMIAの自動延長の期限824。韓国政府からすれば、GSOMIAを延長したとしても、おそらく日本は28日にそのまま実行するだろうと。そうなると、国内から突き上げがあるのは必至です。そうしたスケジュールも考慮したうえでの決定だったのでしょう。

 結果として、アメリカから強い反発を受けたわけですが、今の文政権にとって最大の優先課題は朝鮮半島における平和体制の構築です。そのためには南北関係を改善したいという思いが文氏の頭の中を支配している。日本との関係は、残念ながら優先順位が高くありません。

山川:ポンペオ米国務長官は「失望した」とまで発言しました。理解できないのは、アメリカまで怒らせてしまったことです。そうまでして、北朝鮮に近づきたいということなのでしょうか。

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自尊心が傷ついた

西野氏:確かに安全保障上、韓国にとってアメリカとの同盟は重要です。ただ、今回のGSOMIAを破棄した説明の中で、青瓦台(韓国大統領府)が繰り返し使っているのは、「国家の自尊心」という言葉でした。

 文政権については、ポピュリスト政権という見方もありますが、私はむしろ民族主義的な政権だと考えています。国家の自尊心を日本に強く傷つけられたことがGSOMIA破棄の重要な要因だったと思います。

山川:韓国政府の決断が、東アジアの地政学にどんな影響を及ぼすのか。この図を見ながら、考えていきましょう。

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 もともと文氏は、「反日(抗日)」的であり、「従北」と言っていいほど、北朝鮮との南北統一に熱心です。また、大国との関係では、中国に接近する「親中」的な行動が目立ち、アメリカとは同盟関係にあるとはいえ、距離を保とうとする、つまり「離米」的と見られてきました。今回のGSOMIAの破棄はまさに、文氏の本音が表面化したように見えますが、いかがですか?

西野氏:せっかくの機会ですから私の見方を説明させてください。

 まず「反日」ですが、文政権は必ずしも反日ではありません。文氏は「親日派清算」という言葉を使うのですが、これは韓国内にいる保守勢力に親日派という"レッテル貼り"をしているものであって、必ずしも日本を指しているものではありません。あくまでも国内政治の文脈から出てきている政策です。それが結果的に対日関係に悪影響を与えてしまっている。

 「離米」については当たっている面もありますが、より正確に言えば、米韓関係を「上下の関係」からより「対等な関係」にしたいという発想です。盧武鉉ノ・ムヒョン)政権からつながっている方針で、韓国の防衛は自分たちで強化していくので、アメリカはサポートしてください、という考えに基づいています。

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西野トランプ大統領は、東アジアで米軍の負担が大き過ぎると言っています。文氏の考えは、"願ったりかなったり"じゃないですか?

西野氏:くしくも、トランプ政権と文政権は、韓国における安保の方向性で同じベクトルを向いています。従って、韓国の防衛力強化が進むでしょう。となると、日米韓の安保協力は、これ以上強化される可能性は低いということです。

山川:米韓同盟を維持しながら、自国の防衛力を強化していけば、それで十分であり、日本は要らないと?

西野氏:さすがに要らないとまでは思っていないでしょう。友好的な関係を前提とするならば協力は望ましいと考えていると思います。ただ、韓国政府の認識としては、日本から「信頼関係がない」と言われているのだから、それなら協力できないという、感情的な対応になっているのだと思います。

山川:中国は、今回のGSOMIA破棄をどう思っているのでしょう?

西野氏:中国はかねて日米韓の安保協力は、中国向けだと警戒しています。実際、そうだと思いますけど……。

山川:韓国が破棄したことをアメリカがこれほど怒っているのも、本音を言えば、対中国ですよね。日米韓の結束が崩れれば、対中国包囲網が崩れることになる。

西野氏:まさにそういう観点から中国にとっては、望ましい方向になっていると思います。

山川北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)委員長はどう受け止めているのでしょう。24日の朝には、韓国がGSOMIAを破棄したのを見透かしたように、弾道ミサイルを発射しました。文氏はいわば北に秋波を送ったように見えますが、北はそれを相手にしていません。

西野氏:金委員長は、北が何をやっても最終的に文氏はサポートしてくれると思っているのでしょう。

 実際に文政権にとって重要なのは、朝鮮半島の緊張緩和です。北朝鮮はそれを分かっていますから、いくら自分たちが軍事的な緊張を高めても、最終的には韓国がアメリカをなだめてくれるし、米朝をつないでくれると思っているわけです。

 ただ現在は、米朝間で最高指導者同士の信頼関係が築かれているので、韓国はあまり要らないのです。ただ、トランプ氏が何かのきっかけで本気で怒りだした時には、文氏の役割は重要になります。その意味で必要なのですが、現在は優先順位が低いということでしょう。

西野:お話をそもそものところに戻しまして、2つ目の疑問です。


(続く)