世界自動車大戦争(58)

そんなレバノン政府に迎い入れられたゴーンであるが、レバノンの社会では「特権階級の腐敗の象徴」とみなされていると言う。だから暗殺の危機もあると言われているゴーンとしても、いつレバノン政府が倒壊するかもしれず、安住の地として心休まる暇はないのではないのかな。

 

 

 

「腐敗の象徴」 ゴーン元会長逃亡、レバノン混迷拍車

2020/1/5 22:30
日本経済新聞 電子版

f:id:altairposeidon:20200127122239p:plainレバノンでは反政府デモがたびたび起きている(1911月、ベイルート=ロイター

ベイルート=木寺もも子】日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)の逃亡が今後、混迷するレバノンの危機をさらに深める可能性がありそうだ。経済低迷を背景とした反政府デモの影響で、政権は昨年10月下旬に倒れた。それ以降、政治空白が続くが、今回のゴーン氏の逃亡劇に政府が関与した疑惑が追い打ちとなり、国民の不信感がさらに広がってきている。経済破綻を避けるために不可欠な国際社会からの経済支援を危うくするとの指摘もある。

【関連記事】

「英雄なんてとんでもない」「この国の特権層の腐敗の象徴だ」。首都ベイルート中心部で反政府デモに参加する若者らは、元会長の逃亡について口々にまくし立てた。

レバノンでは10月中旬から反政府デモが続き、同月末にハリリ首相が辞任を表明した。各政治勢力間の調整は難航し、2カ月以上たった今も新内閣が発足しない政治空白が続く。アウン大統領は今月4日「来週には組閣できると期待している」と述べたが、実現するかは不透明だ。

反政府デモの背景にあるのは、深刻な経済低迷腐敗した政治への不満だ。若年層の失業率は3割を超えるとされる。さらにデモの混乱を受け、一部の銀行では1週間に数万円分の現金しか引き出せなくなった。

デモの参加者はエリート層が国民のカネで私腹をこやし、国外の銀行で蓄財していると批判する。こうした人にとっては、巨額の会社資金を私的に流用した罪に問われ、レバノンのエリート層とつながりを持つ元会長も同様に映る。擁護する政府への不信は強まるばかりだ。

政府は否定しているが、アウン大統領が入国直後の元会長と面会したなど入国にあたって便宜を図った疑惑も多くの国民の間で根強い。「逃亡に関与したに決まっている」。デモ参加の経験もある電気技術者のエドモンド・ゲマイエルさん(30)は言い切る。

元会長の逃亡劇が、既に危機的な経済に打撃を与えるとの見方もある。カーネギー中東センターのリサーチフェロー、モハンナド・ハッジ・アリ氏は、政府関与が事実ならと前置きしたうえで「債務不履行を避けるために必要な国際社会からの経済援助を得る信用を失いかねない危険な行為だ」と指摘する。

世界銀行によると、レバノンの政府債務は国内総生産GDP)比で約150%に達する。ロイター通信は経済閣僚経験者の話として、国際通貨基金IMF)などから必要とする金融支援は200億~250億ドル(約21000億~27000億円)に上るとの見方を報じている。

密接な関係にあるイランを巡る地域の緊張も高まる中、レバノンの苦境は深まっている。「この国にさらに元会長問題まで抱える余裕はない」。アリ氏はあきれ気味に話した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54049050V00C20A1FF8000/



しかもゴーンは、イスラエルに入国したと言う事で、レバノンの弁護士に訴えられている、と言うではないか。

 

 

ゴーン被告の起訴要求 「イスラエル入国罪」で―レバノン弁護士

202001030722

 

 【ベイルート時事】レバノンの一部の弁護士グループは2日、同国に日本から無断で帰国した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告を「イスラエルに入国した罪」で起訴するよう求める報告書を検察当局に提出した。グループの1人が取材に応じ、明らかにした。

 弁護士のハサン・バジ氏は、ゴーン被告について「過去にイスラエルで開かれた経済関係のイベントに出席したことがある」と指摘。イスラエルと敵対関係にあるレバノンは国民に「イスラエルのボイコット」を義務付けており、ゴーン被告がこれに違反したと主張している。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020010300151&g=soc&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit

 

 

 

ゴーン被告は「敵国イスラエルと内通」 ベイルートの若者らが非難

毎日新聞2020132324(最終更新 132324)

 

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)によるレバノンへの「逃亡劇」について、ゴーン前会長の帰国が報じられた20191231日以降、首都ベイルートの若者の間では「敵国イスラエルと通じた男だ」などと非難する声が高まっている。政府の腐敗に対する抗議デモが続く中、大富豪のゴーン前会長に反発する若者の気持ちが、伝統的な「反イスラエル感情」と連動し、増幅している格好だ。

 

 

 

 「カネのためなら敵とも通じるのがあの男だ。レバノン人は、イスラエルとの戦争で多くの人が殺された。そんな国と仲良くする男は、この国にいらない」。携帯電話店従業員のムハンマドさん(27)はそう話した。現在、ベイルートの若者の間では、レバノンと対立するイスラエルのペレス元大統領やオルメルト元首相とゴーン前会長が一緒に写った過去の写真がSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で出回っている。

 

 現地メディアによると、レバノンの複数の弁護士は2日、前会長に対する捜査を求める文書を検察当局に提出した。2008年に商談でイスラエルを訪れたことなどが、敵国と通じることを禁じたレバノンの法律に違反するとしている。

 

 イスラエル軍は過去に何度もレバノン国内に侵攻しており、国民の「反イスラエル感情」は今も根強い。「この国は泥棒でいっぱいなのに、また1人やってきた」(大学教員)、「彼にとってレバノンの司法制度は心地よいはずだ。腐敗した政治家が捕まらないからだ」(映画監督)といった書き込みもSNS上で増えている。【ベイルート篠田航一】

 

https://mainichi.jp/articles/20200103/k00/00m/040/197000c

 

 

 

このようにレバノン社会では、ゴーンは決して英雄などではないようだ。政権が変わるなどの異変があれば、ゴーンと言えども安泰とはいえないのではないのかな。

 

だから日本政府は徹頭徹尾レバノン政府に、ゴーンの日本への送還を依頼と言うか指示すべきである。さもないと援助を停止する、と言えばよい。事実レバノンへの援助は中止すべきものである。

 

まあゴーンにしてみれば、イスラエル問題は熟知しているものの、レバノン以外には逃れるところはなかったと言う事ではないのかな。


(続く)