「日本学術会議」は親共・容共組織(37)

腹の探り合いでなく建設的議論を

静岡工区のトンネルは何カ所かに分けて掘られるが、トップ会談における金子社長の説明によれば、静岡工区で掘る最も長いトンネルの長さは本坑と斜坑を合わせて6.5km。月100mのペースで掘り進めれば、このトンネルを掘り終えるまで65カ月、つまり55カ月かかる。トンネル完成後、線路に相当するガイドウェイを設置して走行試験を行うとさらに2年かかる。今すぐトンネル工事を始めてもこの時点で202712月だ。

そこに、3カ月程度かかるとされるヤード整備を加えると、2027年開業というスケジュールは計算上ではすでに破綻している。金子社長は、「途中で工夫をして(2027年に)収めていけるか」としていた。

トンネル掘削工事の可否を決める有識者会議62日に3回目の議論が行われて以降、1カ月以上実施されていない。しかも、比較的早期に合意が得られると予想されていた水資源ですら3回議論しても先行きが見通せない。このペースで、県が要望する生物多様性の問題など47項目の評価を行ったら、有識者会議の最終結論は一体いつ出るのか。このままでは、途中でどんな工夫をしても、リニアの開業は2028年以降にずれ込んでしまう。

静岡県でリニアの対策本部長を務める難波喬司副知事は、57日の取材で「大井川の水問題を解決する腹案を静岡県は持っているのか」という質問に対し、「ないことはない」と発言した。ただ、その後に「それは私たちが提示することではない」と付け加えた。もし静岡県側に問題を解決する腹案があるなら、進んで開示するべきだ。

また、金子社長は会談時に、川勝知事の「予期せぬことは起こりうる。もし水を戻せないとなったらどうするのか」という核心を突く質問に対し、「それは考えにくいと思っている」と答えたが、大井川の水に生活を依存する人々の中にはその答えに納得できない人もいるだろう。

両者がもっと相手の懐に飛び込むような議論をしないと、この問題の解決は遅れるばかりだ。

 

https://toyokeizai.net/articles/-/361466?page=1

 

 

 

この論考の内容をかいつまんでみると、次のような図式となろう。

 

 

(1) リニア中央新幹線の静岡工区の工事内容としては、

 

工事内容=トンネル掘削工事 + ヤード整備工事  である。

 

(2) トンネル掘削工事には、47項目の「引き続き対応を要する事項」が存在している。
  これは、2019R1)年912~13日に行われた対話を踏まえて静岡県が提起したもので
ある。下記を参照されるとよい。

 

中央新幹線建設工事における大井川水系

水資源の確保及び自然環境の保全等に関する


引き続き対話を要する事項

 

令和元年9月 30

静岡県中央新幹線対策本部

http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/documents/taiwawoyousurujikou.pdf

 

 

(3) JR東海としては、トンネルとヤード整備は別個の工事なので、ヤード整備工事は別途協定を結んで先に進めたいと提案している。

 

(4) 静岡県としては、ヤード整備工事は、トンネル掘削工事と一体と考えられるので、47項目が解決されなければ、認められない、と知事以下意思統一している。

 

(5) 但し、そのことはこの'20.6.26JR東海の金子慎社長との会談では、言葉としては説明していない。だからJR東海としては、ヤード整備の必要性を何度も説明したので、了解されたものと理解していた。

 

(6) 静岡の川勝知事としては、ヤード整備は静岡県の条例に乗っとっていれば問題ない、と答えているのであるが、JR東海の言うヤード整備は、静岡県の理解するヤード整備工事とは同じものではなかった。川勝知事はトンネル掘削工事の一部に該当すると定義していたのだ。

 

(7) しかし、「だからヤード整備は認められない」と言うことを、その会談では直接JR東海の金子には言っていなかった。だたし、当日渡していた資料にはその旨記載していた、と言う。

 

(8) 川勝知事は、当日のその後の再度の囲み取材では、改めて「本体工事と一体ということですから、認められない」と言い切っている。

 

(9) これには、静岡県のメディアからも「何故会談の場で直接説明しなかったのか」と言った非難の言葉が浴びせられている、と言う。

(10) 静岡県としては、「活動拠点整備工事」は、トンネル本坑整備や濁水処理設備、換気設備などの整備で、トンネル掘削工事と一体であるとして、譲らなかった。

 

(11) JR東海としては、2019.5月の県との協定書作成過程では、そんな話は出ていなかった、として静岡県に抗議している。

 

(12) これに対して静岡県サイドは、2019.5月末に開催された「大井川利水関係協議会」の結果を踏まえて、同年6月に「ヤード整備はトンネル掘削工事と一体である」と再確認しているとして一歩も譲っていない。

 

(13) これでは全くの膠着状態であり、埒が明かない。2027年開業というスケジュールは完全に破綻している、と言える。

 

 

と言ったいきさつの様だが、これを見るに、両者は、と言うよりも静岡県サイドは、この静岡工区の工事を全く認める意思はなさそうだ、と考えてJRは次の策を講じる必要があろう。

 

要は、静岡県としては、徹頭徹尾このリニア工場には横やりを入れて、工事をさせない、と決め込んでいるようだ。このような考えでは、建設的な話し合いなど行われる筈がない。

 

全く川勝平太は、何を考えているのであろうか。静岡県民は、よくもこんな輩を知事に選んだものだ、と傍からは思わずにはいられない。

 

静岡問題のために、神奈川、山梨、愛知、東京、更には関西圏などのリニアのルートとなる関係県は、自県のリニア整備工事にかなりの影響が出てくる筈だ。2027年開業が、仮に10年遅れるとしたら、とてつもないデメリットが発生するのではないのかな。

 

 

なおこの47項目の「引き続き対応を要する事項」をざっと読んでみると、細かい、細かい。

 

一滴の水、一匹の虫、一匹の魚も失うことは許さない、と言った内容と、小生には理解できた。

 

まあこんなことに真面目に付き合うことは、全くのムダではないか、と思われてならないのだ。

 

結論を先に言ってしまえば、この47項目の「引き続き対応を要る事項」に真面目に回答して工事に入っても、この項目を盾に、静岡県は何かとイチャモンを付けてくることであろう。

 

そうなるとJR東海としては、重箱の隅をつつくような議論の交差となり、全くの時間の無駄となってしまうのではないのかな。

 

だとしたら、こんな無意味な事に引っ張り込まれないように、静岡工区は諦めることが肝要ではないか。

 

即ち静岡県を通る「南アルプストンネル」は諦めて、静岡県を迂回するルートに変更すべきではないのか。

 

多分10年単位での工事の延長となってしまうかもしれないが、それでも、この川勝平太のイチャモンに付き合うよりかは、余程すっきりと工事が出来ると言うものではないのかな。

 

それとも静岡県ルートはトンネルなんぞは掘らずに、地上を通るルートに変更することも考慮する必要があろう。トンネルを掘るよりも、山を少しばかり削る方が余程、工事は楽になるのでないのかな。素人考えではあるが、多少勾配が出来ても仕方がなかろう。

 

 

尤も静岡県川勝平太知事の任期は、 第19代2017625~2021624だと思われるので、今年の6月の静岡県の知事選挙の結果を待って、次の策に取り掛かる必要があろう。

 

何はともあれ、静岡工区の両サイド、山梨県と長野県側の工事は既に数年前から始まっているので、当座は中断させておく必要がある。それくらいの大変更を行わないと、このリニア中央新幹線は、一本には通じないのではないのかな。

 

最悪、静岡県を迂回するルートを検討することも必要となろう。

 

要は、2027年開業が数年遅れる程度の話なら、問題はない。数年遅れてもトンネルが通じれば、御の字であろう。

 

ただ、南アルプストンネルの25kmが通じなければ、リニアは成り立たないことになる。

 

もし静岡県が工事の着工を認めなかった場合、認めても何かとイチャモンを付けて工事が進まない場合も考えられるので、この事態は絶対に避けなければならない。

 

今年の6月の静岡県知事選挙の結果、リニア推進派の知事が選ばれれば問題はない。川勝知事が再度選ばれた場合は、最悪の事態となる。

 

その場合には、いっそのこと、静岡工区は諦めることが必要ではないか。

(続く)