トヨタ自動車が、2035年までに西欧で販売する新車の二酸化炭素(CO2)排出をゼロにすると発表したのは、ヨーロッパ委員会(EC)の「ウルズラ・フォン・デア・ライエン」委員長が、2021.7.14にCN・カーボンニュートラルに関する「欧州グリーンディール法案」を発表したからである。
この件は1/28のNO.52で言及しているので、参照願う。
先の論考で分かるように、これより早くメルセデス・ベンツは2021.7月の時点でBEV化へのストーリーを確立している。
トヨタが遅いと言う訳ではないが、BEV化へのストーリーを発表したのは、2021.12.14のことであった。
それは、2030年までにBEVを30車種投入して、年間350万台を作って売るというとてつもないものであった。トヨタ全体の販売台数が1,000万台から1,100万台とみられることから、およそその35%をBEVにするというもので、ドイツのダイムラー社や日本ではスズキやマツダの年間販売台数をはるかに超える台数を、BEVで売るということになる。
参考までに次に各社の一年間の販売台数を示しておく。
乗用車年間販売台数(2021年)
スズキ 276.4万台
マツダ 128.8万台
スバル 88..5万台(2020年生産台数)
ダイムラー 209.3万台
BMW 252.2万台
一般的に言って、トヨタとしては全世界で1,000万台も造って売っているから、350万台を余分に造るわけではなくICEからBEVに変わるだけなのでそれほど難しいことではないが、問題はバッテリーをどのように調達するかが、ある意味大問題となる筈である。この豊田章男社長の発言に対して、社内では今や喧々諤々のバッテリー調達問題で沸騰しているのではないのかな。当然のこととして、章男社長の気まぐれの突然の発言などではない筈なので、それなりに社内で議論されてきた話であったとしても、このバッテリーの調達問題はそれなりに大きな問題であろう。小生の見立てとしては、アメリカで豊通と共同でバッテリー工場を建設する予定ではあるが、生産能力は高々120万台程度であるので、もう一工場は必要となろう。これで240万台のバッテリーを生産して、残りの110万台程度は中国などからの調達となろう。中国からの調達はもう少し多くなる可能性が高い(自社生産が減少する)と思われるが、トヨタとしては様子を見ながら果敢に投資を行ってゆくことでしょう。
EVの本気度を見せつけたトヨタ 8兆円かけてでもEV・水素・PHEVを全部やるワケ
2021年12月15日 16時30分 公開[石井徹,ITmedia]
トヨタ自動車がEVに本腰だ。同社は14日に新発表の15車種を含むバッテリーEV(BEV)16車種を披露した。2030年までにBEVを30車種投入する方針で、今回の16車種は2025年ごろまでに順次投入する見通しだ。10月に先行して発表した「bZ4X」(ビージーフォーエックス)は、2022年中ごろに発売予定としている。
豊田章男社長が披露したBEV車16モデル
発表された16モデルは、トヨタブランドが12モデル、レクサスブランドが4モデル。会場で手前に展示されていた5モデルはトヨタのバッテリーEV向け新ブランド「bZ」を冠しており、比較的早期に発売される見込みだ。
BEV専用ブランド「bZ」シリーズ
(続く)