カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(44)

まあ端的に言ってしまえば、BEV一辺倒を推し進めてしまうと、早い話ICE産業の盛んなドイツなどの国々では雇用問題が深刻化することになりかねないために(と言うこともあるが、まだまだすべての新車がBEVとするためには、社会の諸施設や制度を作り直す必要があるのでは?)、

BEV一辺倒の方針が揺らぎ始めた訳で、その解決策として一部でも合成燃料の使用が容認されることになったと言うことで、EUが脱炭素をかたにして日本のハイブリッド車・HEVの排除を目指して取り掛かったBEVシフトに齟齬をきたしてきた、と言うのが本音ではないのかな。 

 

日本のハイブリット車外しの策略のBEVシフトに少しだけほころびが見えてきた、と言った論調も見られるのでご参考に。

 

 

二転三転する可能性も 

トヨタなど日本勢に追い風 欧州が「EV一辺倒」を転換、なぜ? 

2023年03月28日 07時00分 公開[産経新聞] 

 欧州連合EU)は脱炭素に向けて2035年以降にエンジン車の新車販売を禁止するとしていた方針を転換した。ドイツ政府の意向を受けて、水素と二酸化炭素(CO2)を原料にした「e―fuel(イーフュエル)」と呼ばれる合成燃料を使用する新車に限り販売を認める。電気自動車(EV)一辺倒だった欧州の方針転換は、車の脱炭素化へ多様な選択肢を提供すべきだと訴えるトヨタ自動車など日本勢にとって追い風となりそうだ。 

 

ドイツで雇用喪失懸念強まる 

 欧州連合EU欧州委員会とドイツ政府は25日、35年以降も条件付きでエンジン車の新車販売を容認することで合意した。 

 

 脱炭素に向けて、欧州委はエンジン車の新車販売を35年までに事実上禁止する法案の採択を目指していたが、ドイツの反対で方針転換を余儀なくされた。28日に修正した法案が採択される見通しだ。 

 

 方針転換の背景には、フォルクスワーゲンVW)やBMWなど多くの自動車大手を抱えるドイツでエンジン関連の雇用損失を懸念する声が強まっていたことがある。 

 

 EV普及を強く推進している欧州が条件付きで、エンジン車を容認したことについて、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「日本の自動車メーカーにとってはプラスに働く」と指摘する。 


イーフュエルはガソリンより高価 

 

 車の脱炭素化に関して、欧州は日本勢が得意とするハイブリッド車(HV)を排除する姿勢を鮮明にし、中国とともに世界のEVの潮流を作ってきた。これに対し、トヨタをはじめとする日本の自動車各社は地域のエネルギー事情に合わせて、EVやHV、燃料電池車(FCV)など多様な選択肢を展開する方向で事業戦略を進めている。 

 

 昨年には米国のカリフォルニア州ニューヨーク州も35年までにHVの新車販売を禁止する方針を示すなど日本勢の旗色は悪かったが、「自動車大国のドイツがEV一択では脱炭素化の実現が難しいと判断したのは大きい」(国内の自動車メーカー幹部)。, 

 

 もっとも、デロイトトーマツグループの後石原大治パートナーは「(EUの動きは)日本勢の考え方と近くなっている点で追い風だが、優位性を取れるかどうかは今後、注視が必要だ」と話す。エンジン車販売容認の条件としたイーフュエルは価格がガソリンよりも高く、高級車に利用が限定されるとの見方もあり、利用が広がるかは不透明だ。 

 各国の環境規制は流動的で、二転三転する可能性もあり日本勢は変化への対応力が問われる。(黄金崎元) 

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2303/28/news080_2.html 

 

 

まあBEVシフトへの欧米における強い動きは変わらないものの、Batt.に使われる希少金属レアアースの採掘に関する諸問題や電力需給に関する諸問題、Batt.の充電や短い航続距離など乗り越えなければならない諸問題が、山積している訳だが、しかしながらEV化の流れは最早止まらないものとなってしまっている。

 

だから日本もうかうかとはしていられない筈だ。VWは早々に(かどうかは知らないが)メイン車種の「ゴルフ」の次のエンジン車の開発を打ち切ってすべて電気自動車へ切り替えるつもりのようだ。但しゴルフEVの発売は5年後の2028年頃だという。

 

 

 

独VW、ゴルフの次世代エンジン車開発打ち切りへ=業界誌 

ロイター編集 ビジネス2023年4月3日1:36 午後11日前更新 

 


 4月2日、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は主力車種「ゴルフ」の次世代の内燃エンジン車を開発しない計画だ。写真はフォルクスワーゲンのロゴ。パリで昨年3月撮影(2023年 ロイター/Benoit Tessier 

 

[ベルリン 2日 ロイター] - ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は主力車種「ゴルフ」の次世代の内燃エンジン車を開発しない計画だ。VWブランド責任者のトーマス・シェーファー氏が2日付の独自動車業界誌アウトモビルウォッヘに明らかにした。1974年から販売していた内燃エンジンを搭載したゴルフの時代が終わる 

 

現在生産しているハッチバックゴルフ8」が最後のエンジン車となり、来年同モデルのアップデートを行う予定。シェーファー氏によると、将来のEV向けにゴルフの名前を維持する計画だが、発売は早くても2028年になる見通し。 

 

VWブランドは2030年までに欧州北米で電気自動車(EV)の販売台数をそれぞれ全体の80%55%にする目標を打ち立てている。VWグループ全体では世界の販売台数の半分をEVにすることを目指している。 

 

VWは2026年までにEV10車種を投入する予定で、これには価格2万5000ユーロ(2万7000ドル)未満の電池式EVが含まれている。 

 

https://jp.reuters.com/article/volkswagen-golf-idJPKBN2W0064 

(続く)