カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(86)

トヨタ2023.6.8(木)に、静岡県の東富士研究所で、技術説明会Toyota Technical Workshop 2023」を開催した。全個体電池を始め、次世代電池の概要を発表した。 

 

そして、その内容がトヨタにより、6月13日(火)に明らかにされた。 

 

次世代電池から燃料電池などの開発計画が、明らかにされたのである。 

 

トヨタとしては「クルマの未来を変えていこう」をテーマに、そこではモビリティカンパニーへの変革を導く数々の新技術を公開している。 

 

詳しくは、トヨタの「プレゼン」・『トヨタ、クルマの未来を変える新技術を公開-バッテリーEVの革新技術、水素事業の確立を柱に、技術の力で未来を切り拓く-』 (https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/39288466.html 

 

を参照されるとよい。 

 

 

次に新型次世代電池の概要を、簡単にまとめておく。間違いがあればどしどしご訂正願う。 

 

新型と言っても、本体は「リチウムイオン電池」の改良版である。(と言ったら失礼かもしれないが、それは現状での最先端の技術なのであろう。) 

 

トヨタは今年の2023年4月7日に、2026年までにBEV10モデル追加して、年間150万台を販売すると宣言しているので、その裏付けとなる次世代電池の説明である。 

 

まだまだ課題は山積み状態ではある。が、差し当たっては充電設備などを含めた電力供給体制をどうするか、と言った問題はさておき、トヨタが言う2026年頃から投入される次世代電池を羅列してみよう。次の4種類である。 

 

 

(1) 角型次世代電池(パフォーマンス型)・正極に三元系(N・C・M) 

 

(2) バイポーラ型次世代電池(普及版)・正極にリン酸鉄リチウム(LFP 

 

(3) バイポーラ型次世代電池(ハイパフォーマンス型)・正極にハイニッケル 

 

(4) 全個体電池・膨張収縮に耐えうる固体電解質を発見。課題はコスト・量産 

 

 

       550kmのbz4x比で                      

         航続距離  コスト  充電時間 量産時期  適応車  

(1)三元系   2倍1100km   ▲20%  20分    2026年~     上級車 

(2)リン酸鉄系 +20% 660km  ▲40%     30分  2026~2027年 普及車 

(3)ニッケル系 2.21200km  ▲30%     20分  2027~2028年 上級車 

(4)全個体   2.4倍1350km  UP    10分  2027~2028年  全般  

なお、全個体電池では、1,500km以上の航続距離も検討中である。 

 

そして、全個体電池の弱点であった耐久性・「膨張収縮により電極離れ」は、何とか克服できるようになったわけだが、如何せん、まだコストがべらぼうに高くて、そして、量産方法がまだ定まっていないのだ。 

 

電解質の材質は解決のめどが立ったので、次はコスト削減と量産方法の解決である。その解決にまだあと4年以上の歳月が必要と踏んでいるようだ。 

 

トヨタとしては、この全個体電池で、BEV業界を席巻しようと目論んでいると言った状態なのであろう。そしてそれまでの間は、既存のリチウムイオン電池の改良でと考えているようだが、果たしてそううまくいくのか、疑問のある所である。 

 

なお、協業先は、 

 

(1)角型次世代電池(パフォーマンス型三元系は、「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ・PPES」との協業であり、 

 

(2)バイポーラ型次世代電池(普及版リン酸鉄系は、「豊田自動織機 

 

(3)バイポーラ型次世代電池(ハイパフォーマンス型ニッケル系も「豊田自動織機 

 

(4)全個体電池も、「豊田自動織機」との協業である。 

 

 

と言ったところであるが、コスト削減には総力戦となる。単にバッテリーのコスト削減では、到底解決されないものだ。当然車体側のコスト削減が主体となってくる。 

 

ボデーの空力性能の改善 

テスラも実施している「ギガキャスト」と3分割モジュール化 

自走組み立てラインで工程半減 

工場設計の次世代化、などなどである。 

 

なお「全個体電池」もいよいよトヨタとしては実用化の目途が建ったとまでは行ってはいないようだが、適当な固体電解質が見つかったようなので、やれやれと言った感じてはないのかな。 

(続く)