カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(95)

遅ればせながら、トヨタもBEVの「ものづくりの革新」に取り掛かりだしたようだ。 

 

テスラが「モデルY」で採用した「メガキャスティング」などの革新技術で、原価を半減させた方式に、トヨタは遅ればせながら追従すことになる。 

驚くことに、その製造装置を作ったのは、中国の工作機械メーカーだというではないか。発想はテスラからか、中国メーカーからかは知らないが、いずれにしても、ビックリ仰天すべきことである。 

 

トヨタがテスラの背中を追いかけることになっている。 

 

 

トヨタ、EVでものづくり革新 生産工程や投資を半分に 

自動車・機械2023年7月4日 22:55 

 

 トヨタ中嶋裕樹副社長はEVの生産改革で「工場の景色を変える」と語る(写真は6月に静岡県裾野市で開いた技術説明会)     中嶋裕 

 

トヨタ自動車は4日、新たな生産技術ギガキャスト」を2026年に発売する電気自動車(EV)に採用する方針を示した。ベルトコンベヤーを使わない自走方式も取り入れる。これらの技術で生産工程や工場投資を2分の1に減らす。米フォード・モーターの創業者、ヘンリー・フォードがベルトコンベヤー式の自動車の大量生産方式を発明して1世紀。電動化で自動車サプライチェーン(供給網)は変革期に入った。 

 

トヨタ中嶋裕樹副社長やEVの専門組織「BEVファクトリー」プレジデントの加藤武郎氏らが「BEVの競争力」をテーマにした説明会を開いた。 

 

「ギガキャスト」、26年の次世代EVから採用 

 

ギガキャストはアルミ鋳造設備で一体成型した巨大な車体部品を製造し、部品点数と生産工程を大幅に減らせる。加藤氏は「26年の次世代EVに搭載しようと考えている。部品や工程の削減で(工場の)土地も有効活用できる」と述べた。EV以外の車種への活用も検討するという。 

 

トヨタがギガキャストを用いて生産した車体部品の試作品㊨ 

 

ギガキャスト採用で生産性は劇的に改善する。トヨタは次世代EVで車体を前部、中央、後部の3つに分ける構造を検討する。そのうち、後部と前部でギガキャストを用いる方針だ。 

 

後部の試作品では従来、86の板金部品を33工程かけて生産していたところを1部品・1工程に集約した。前部であれば、91部品・51工程から1部品・1工程へ減らせる見込みという。 

 

EVは電池のコストが重く、ガソリン車と比べて収益を稼ぎにくい。競争力を高めるにはコスト削減が欠かせない。トヨタは将来的には生産工程の数や生産設備への投資を従来の半分に抑えることを目指しており、ギガキャストはその中核を担うとみられる。 

 

 

「自走組み立てライン」で脱ベルトコンベヤー 

 

フォード・モーターは1913年にベルトコンベヤーを用いた自動車の組み立て手法を生みだし、大量生産を実現した。今日に続く自動車の生産ラインの原型だ。 

 

クルマの構造が大きく変わるEVで、従来の延長の生産ラインのカイゼンにとどまるだけでは、コスト削減に限界がある。トヨタは新発想のものづくりにも挑む。ギガキャストで実現した車体の新構造や、ベルトコンベヤーを使わない「自走組み立てライン」を創り上げる構想だ。 

(続く)