カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(105)

液体水素エンジンverも現れるか 

 

トナミ運輸のウェブサイト(画像:トナミ運輸       

 

 もうひとつ、今回の実証実験車両は既述の通り高圧水素を使っている。しかし最新の技術情報においては、水素エンジンにおける燃料は気体から液体へとスイッチしようとしている。この分野で先行しているのはトヨタであり、既に耐久レース用車両で一定の実績を記録している。 

 

 今回、使用している車両がトヨタの傘下にある日野製のレンジャーということで、どこかのタイミングでトヨタとのジョイントもあったのではないかと推測したが、そうではないことに違和感を覚えた。 

 

 新しい技術を一日も早く実用化し、コスト上の問題を全てクリアした上で商品化する。そのためには、常に全方位にアンテナを張り巡らせることが求められる。トラックのようなコスト管理条件が厳しい車両であれば、その時点で得られる最良の技術を使う――将来的な安定事業化が前提なら、それもまた大切だ。 

 

 今回の実験終了後、さらなる進化型として、液体水素エンジンを使ったトラックが走らないだろうか。そこから先に新たな未来が広がるものと期待したい。 

 

柿内季之(トラックライター) 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/524cf1c096a2ca2937fbbdf130a4b34c28cf16e0 

 

 

水素エンジン車の最大のメリットは、一切CO2を排出しないということであるが、デメリットとしては 

 

水素ステーションなどのインフラが未整備 

・航続距離が短い 

・水素の貯蔵に高圧ボンベが必要となる 

 

と言ったものであるが、今のところメリットよりもデメリットの方が多いの 

であろう。だから実証走行実験なのである。しかしながら、なんと言っても、水素は日本でも豊富な資源であり、地球温暖化対策のためのCO2削減にはもってこいの燃料なのである。 

 

今年も日本は大雨に見舞われて大きな被害が出ていることを考えれば、その元凶とされているCO2の削減は待ったなしである。その意味では、CO2排出の多い貨物車での水素エンジンの使用は、合理的な選択肢なのである。先ずは貨物トラックから、水素エンジンを実用化してもらいたいものである。 

 

貨物車ならば定期運航が可能であり、水素ST.の設置にもハードルは低くなるはずだ。貨物車での水素使用が広がれば、水素ST.も増えてゆくのでクルマ社会での水素利用は広がってゆくことになる。そうすれば乗用車での水素利用の利便性も増してくることになり、よりCO2削減に寄与することになろう。 

 

ここらあたりはBEVとの競争となろう。CO2削減には、BEVとH2とではどちらが優位なのかは、それから徐々に明らかになってゆくことでしょう。 

 

貨物輸送においては、明らかに水素H2の方に有意さが存在しているが、インフラ整備上はBEVに軍配が上がっている。現状では、水素ST.よりもバッテリー充電施設の方がはるかに多い。その意味でも貨物輸送での水素利用の拡大が、望まれるものである。 

 

この件は既に'23年07月17日のNO.101で掲載しているのでご承知のこととだとは思うが、貨物輸送の大手のヤマト運輸燃料電池トラックでの実証走行を今年の5月に実施している。 

 

ヤマト運輸の場合は、トナミ運輸の中型トラックの「日野レンジャー」ではなくて、同じく日野自動車の大型の「プロフィア」と言うトラックをベースにしている。燃料電池トヨタ製である。 

 

燃料電池車(FCV)と水素H2を直接燃やす水素エンジン車との優劣は、そのうちに判明してくるものと思われるが、夫々一長一短がありこれらの実証実験である程度明らかにはなってくるのではないのかな。 

 

 

この7月3日には、福岡市の福岡県庁前で、燃料電池トラックの出発式が開かれている。西日本で初の燃料電池トラックの商用運用だという。福岡県の物流会社2社が運用するという。 

 

今回注目すべきことは、燃料電池トラックは日野ではなくていすず自動車」とトヨタ自動車の共同開発だという。 

 

 

水素で走るトラック ビジネスの現場に 西日本初 

RKB毎日放送  • 2023/07/03 16:38 

水素を燃料に走る「FCトラック」を福岡県の物流会社2社が導入することになり3日出発式が開かれました。西日本で初めての商用運用となります。 

(続く)