とはいうものの遠いか近いかは知らないが、いすゞも日野・三菱ふそうグルーブに近づいて来るかも知れないのだ、とそんな感覚にも見舞われる。なんと言っても唯一の独立系メーカーであるから、今更ボルボやGMと提携や統合することはなかろうに。
とは言うものの、日野も負けてはいけない。水素で生き返る必要がある。
公開日:2023/07/13 06:00 更新日:2023/07/13 06:00
【企業深層研究】日野自動車(下)
【企業深層研究】日野自動車(下)
トヨタ自動車は5月27~28日、静岡県小山町の富士スピードウェイで開かれた24時間耐久レース「スーパー耐久(S耐)」に、世界で初めて液体水素を燃料にしたエンジン車を投入した。
27日午後3時ごろにスタートし、目立ったトラブルもなく24時間でサーキットを358周した。
豊田章男会長はレーシングチームの選手、MORIZO(モリゾウ)として、この日もドライバーを務めた。
なぜ、液体水素エンジン車に挑戦するのか。豊田会長は、こう答えた。
「世界の温暖化にもう一つの選択肢を。次にバトンをつなげるよう、安全運転を心がけています」
水素は化石燃料にかわるエネルギーとして期待されている。トヨタは2017年ごろから水素エンジン車の開発をはじめた。21年、水素タンクを積んだ車でS耐を完走している。
今年の挑戦は液体水素を燃料に使うことだった。液体水素を気体にして燃焼させエンジンを動かす仕組みだ。液体は体積が気体の800分の1になるため、気体の水素を燃料とした車と比べ航続距離が2倍になった。
水素を充填する水素ステーション(ST)は、前回はピットに入りきれなかったが、今回はコンパクトになった。
水素エンジンの研究・開発は1900年代から海外ではBMW、国内ではマツダやホンダが取り組んだが、いずれも今は計画を凍結している。燃料電池車(FCV)の方が長い距離を走れるからだ。
水素STが少ないことも難点だった。状況は今も大きくは変わっていない。
世界市場では電気自動車(EV)の普及が急速に進む。それでも、トヨタは水素エンジン車の開発を続けている。豊田会長のこだわりが大きい。「EV一辺倒では自動車産業は崩壊するという危機感を抱いている」と伝わる。
水素をモノにしようと考えているのは、EUではドイツだけだ。
トヨタとメルセデスベンツ・グループとの水素交流は商用車だけにとどまるのだろうか。
ここに中国の吉利ホールディングスの思惑も絡む。吉利ホールディングス会長で浙江吉利控股集団のオーナーの李書福氏はメルセデスベンツ・グループの主要株主だ。北京汽車集団とそれぞれ10%弱で拮抗している。
日独+中国が「水素連合」を組むという見立てがある。さて、どうなるのか。
(続く)