カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(127)

そして今年の6月には、 

 

アサヒグループジャパン株式会社(以下、アサヒグループ)、 

西濃運輸株式会社(以下、西濃運輸)、 

NEXT Logistics Japan株式会社(以下、NLJ)、 

ヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸 

 

の物流4社が、サステナブル物流の実現を目指してトヨタと日野が共同開発したFC大型トラックで輸送実証を行っていることもご報告している。 

 

いよいよ自動車業界は、乗用車系は主にBEVで、商用車系は主にFCVで脱炭素に挑戦してゆく時代に突入することになった訳である。 

 

この動きには、ドイツのBMWも一口噛んでいるようだ。と言ってもトラックではなくてFC乗用車での水素活用であるのだが。 

 

 

 

BMW iX5 Hydrogen】BMWが水素自動

車の実証実験を開始

車の最新技術  掲載日:2023.07.25 / 更新日:2023.07.25 

 

文と写真●大音安弘    
 

 BMWは、2023年7月25日、都内にて燃料電池車(FCV)BMW iX5 Hydrogen」を日本初公開し、日本での公道走行の実証試験を開始することを発表した。 

 

 燃料電池車(FCV)とは、電気自動車の一種だが、駆動用バッテリーを電源とするEV(BEV)とは異なり、水素を使って発電し、電動パワートレインへの給電及び駆動用バッテリーへの蓄電を行う。このため、BEVよりも車載システムが複雑化する反面、充電の変わりに必要な水素の充填時間は3~4分程度と短く、既存のエンジン車同等の使い勝手の良さを持つのが強み。このため、 BEV(バッテリーEV)と共に、次世代エコカーの主力として成長することが期待されている。BMWグループでは、パリ協定で示された産業革命以前に比べ、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力をするという目標を実現するためには、BEVと共に、FCVの活用が重要と考えている。その大きな一歩となるのが、今回の実験車なのだ。 

 

BMWのユルゲン・グルドナー水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長と「BMW iX5 Hydrogen」の開発を指揮するロバート・ハラス プロジェクトマネージャーが来日した    

 

 発表会場には、ドイツBMWグループ本社からユルゲン・グルドナー水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長と「BMW iX5 Hydrogen」の開発を指揮するロバート・ハラス プロジェクトマネージャーが来日。グルドナー本部長は、「BEVでも、ほとんどのニーズに応えられるが、全てではない。またBEVとFCVを合わせて活用することで、使い勝手の向上だけでなく、インフラコストが抑えられる。エネルギー効率だけでなく、実用性とコストを重視することで、より早く脱炭素を進めることができる」と、FCVの役割の重要性を語った。 

 

BMW iX5 Hydrogen       

 

 お披露目された実験用の燃料電池車「BMW iX5 Hydrogen」は、現行型のミッドサイズSUV「X5」をベースに、開発された燃料電池車(FCV)で、2019年に開催されたIAAショーでコンセプトカーとして発表。その後、2021年のIAAモビリティショーでは、プロトタイプへと進化。同ショーでシャトルカーとして活躍し、BMW燃料電池車の実力を披露した。 

 

 ビジュアル面は、現行型X5に準ずるもので、内外装にブルーのアクセントを施すなど差別化が図られている。専用仕様として印象的なのは、アイコンであるキドニーグリルの仕様であり、基本となる縦格子ではなく、メシュデザインに置き換えられている。このメッシュグリルは、3Dプリンターで製造されるという。同車は、実験用ではあるが、市販車同等の作りとなっており、エンジン車と同等レベルのキャビンやラゲッジのスペースも確保。フロア下に存在する水素タンクや駆動用バッテリー、電気モーターなどのシステムの存在は一切感じさせないパッケージングを実現している。 

(続く)