ALPS処理水放出と習近平の凋落(35)

深まる「習近平独裁の危うさ」 

 

習氏の一強体制が固まり、人事は習氏の一存で決まる状況下で、習氏の信任を失えば政府高官が即座に失脚する事態が相次いでいる。 

 

すべては習近平の一存で決められていく…Photo/gettyimages 

 

 

習氏は軍に対する不信感が強いとされており、軍幹部は国家安全保障を重視する習氏の歓心を得るため、危険を承知の上で強硬な行動に出るよう、部下に対して指示を出しているのではないかと思えてならない。 

 

米中間の軍事衝突の懸念はこれまで西太平洋地域が中心だったが、筆者は「中東地域にで発生するリスクが生じているのではないか」と危惧している。 


中東が危ない! 

 

米国のバーンズ駐中国大使は10月19日、「中国政府の(パレスチナガザ地区を実効支配するイスラム組織)ハマスを巡る姿勢は米中関係の新たな課題だ」との認識を示した。 中国政府は、米国政府がテロ組織と見なすハマスを非難しないばかりか、米国が支持するイスラエルに対しても批判的な姿勢を示し始めている。 

 

気になるのは、中国軍艦6隻が中東地域に派遣されていることだ。 

 

イスラエルパレスチナの衝突は、米中の衝突も誘発するのか…Photo/gettyimages    

 

10月19日付香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国の第44海軍護衛任務部隊がオマーン沖でオマーン海軍と一週間の合同軍事演習を行った後、21日にオマーンの首都マスカットを出港し、どこに行ったか不明だ」と報じた。 

同部隊は半年前にソマリア北部のアデン湾に到着して以来、中東各地を移動し、輸送船の護衛を行っている。 

 

米軍はイスラエルを防衛するため、中東地域に2隻の空母を派遣しており、イランが支援する各地の武装勢力と既に交戦状態にある。 

 

米中の偶発的衝突の確率は「ヤバすぎるレベル」 

 

「中東情勢は一寸先は闇」だ。事態が混乱の度を増せば、中東地域の中国軍の危険行為が仇となって米軍との間で偶発的な衝突が起きる可能性は排除できなくなるだろう。 

 

米中対立を7年前に予言したことで知られる米政治学グレアム・アリソン氏は9月11日、「もし将来、米中戦争が起きるとすれば、80%の確率で 『意図しない』形で始まる。両国のどちらか、あるいは、双方が状況を見誤って戦争となる」との見方を示した。 

 

中東情勢の緊迫化のせいでアリソン氏の予言が的中しないことを祈るばかりだ。 

 

さらに連載記事『習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、米中の緊迫のもう一つの原因について、詳しく解説しているので参考としてほしい。 

 

https://gendai.media/articles/-/118441?page=1 

 

 

 

なぜ中東地域で、米中の衝突が発生するのか、いささか不思議な感じがしている。

 

 

中国では、共産党政権が人民解放軍を統治している、という形になっている。と言うことは習近平が、軍に対する統治権を握っているということである。しかも今の中国は、習近平の一強独裁体制となっている。何でも、習の思いのままとなっている。だから、習が気に食わないと思えば、すぐさま政府高官の首が飛ぶのである。

 

 

だから、軍の幹部たちはそれを忖度して、危険を承知の上で国際空域上でも、アメリカ軍の航空機に頻繁に、ちょっかいを出しているのである。これはとても危険なことである。

 

 

そんな状況下で、中東へ中国は軍艦を6隻も派遣しているのだ。 

しかも中国は、ハマスを非難していない、どちらかと言うとアメリカに対抗していることから中国の味方的な地位に置いているようだ。 

 

だから中国は(テロ組織を支援しているために)、テロ国家と見做してもおかしくはないのである。だから危なくて仕方がないのである。

 

 

というのも、中国は当地の反米勢力と合同軍事演習まで行っているのだ。 

 

これに対して(イスラエルを守るために)、アメリカ軍は2隻の空母を派遣している。中国軍はこの地で、いわば反米活動をしているようなものではないのかな。

 

 

だから、何れは米中が衝突する危険はかなりあるのである、と言った趣旨ではないのかな、この論考は。 

 

いったん中東地域で米中が衝突すれば、それが拡大しないとも限らないのだ、と警告を発しているのである。これは恐ろしいことである。

 

 

しかも中国経済は低迷しており、国内は沈滞している。だから習近平も焦っているのではないのかな。人民の不満を外に向けさせるという可能性大なのである。 

 

そんなことから、中国は米中首脳会談で自国の要求を無理矢理に通そうとしたが、どうも不発に終わってしまったようだ。1枚も2枚も、バイデンの方が上手だった、と言うことだ。

 (続く)