ALPS処理水放出と習近平の凋落(44)

ベトナムベトナムで、習主席を歓迎して迎えたわけではない。どちらかと言うと、中国の習近平の押しかけ訪問ではなかったのかな。 

 

というのも、何らかの理由をつけて、「中央経済工作会議」から逃れたかったと言うことが、習近平の本音ではなかったのかな。だから初日しか出席しなかったのだ。 

 

押しかけられたベトナムとしては、むげに断ることも出来ずに、いやいやながら中国の国家主席を迎えたのである。だから習近平の「敬酒」には乾杯したものの立ち上がらなかったのであり、すぐに背を向けてしまったわけだ。 

 

習近平も落ちぶれたものだ。習近平も自国の経済対策に、真正面からぶつかり対応していれば、それなりに評価されたはずなのだが、それをほっぼり出して国外へ逃亡してしまっては、立つ瀬もないということである。 

 

 

これほど重要な会議を途中から抜け出すとは、極めて異例の出来事だ。」とこの論考は既述している。それほど異例なハノイ訪問だが、以上のようにベトナムからは、それほど歓待されていたわけではない。ベトナム側が招待した訳ではなさそうだ、習近平の押しかけ訪問なのでしょう。 

 

その理由としてこの論考は、「経済に関して責任逃れをしたいからと見える」と結論付けている。「中央経済工作会議」としては「一層の外資の誘致不動産業の再構築などを強調」しているが、後に残され責任を擦り付けられそうな李強首相は李強首相で、自身が最高責任者の「経済日報」の社説で、「責任をなすりつけられないよう逃げ道を残している」」と(ある意味)反論している様に見える。今の中国の経済不況は、自分の責任ではない、と述べているようなものである。 

 

それは、(今までの策に)多くの問題と困難がある、と論じているのだ。これは自分の責任ではない、自分の前の政権の政策に問題があると、暗に述べているのだ、と読める。 

 

それは、「ブラックスワン」と「灰色のサイ」に言及した『経済日報』の社説は、今後の中国経済多くの問題と困難があると断言しているように読める」という記述がその証(あかし)だ。 

 

中国経済には、「ブラックスワン衝撃が大きい事象」と「灰色のサイ(潜在的リスク」という巨大な問題が前政権から存在しているのだ、その一つが地方政府の「債務リスク」だと論じている。 

 

さてと、この経緯はどうなるものやら。 

 

中国の経済は、それほどまでに落ちぶれているのか。その証拠はいろいろと存在している。 

 

 

先ずは、イタリアが習近平主導の「一帯一路」から脱退を表明したのだ。 

 

もともと政治的な意味合いの方が強いと思われている(一応経済拡大目的の)「一帯一路」なので、早々に破綻してもおかしくはないのでしょう。想像していたほどには、中国からの投資は続かなかったのでしょう。 

 

イタリアも「貿易や投資の点で満足できる成果はない」と、”タヤーニ副首相兼外務・国際協力相”が指摘すれば、同産業総連盟の報道担当者も、強くうなづいいている始末である。 

 

イタリアも早々に中国離れすべきなのである。 

 

 

 

イタリア、「一帯一路」から離脱を通知 中国に痛手 

ヨーロッパ2023年12月7日 0:41 


イタリアのメローニ首相は中国に対し、一帯一路から離脱する方針を伝えていた=ロイター
 

 

【ローマ=共同】イタリア主要紙コリエレ・デラ・セラ電子版は6日、イタリア政府が中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を中国側に通知したと報じた。中国の専制主義への警戒に加え、経済的な恩恵が乏しいとして、閣僚や経済界から不満の声が上がっていた。イタリアは主要7カ国(G7)で唯一参画しており、離脱は中国にとって痛手となる。 

 

イタリア政府は3日前に文書で中国側に通知した。友好関係の維持を確認した上で、両国政府の合意で公式発表は行われないことになったという。 

 

国営イタリア放送協会(RAI)によると、イタリア首相府は報道について「ノーコメント」と回答。タヤーニ副首相兼外務・国際協力相は離脱について「中国に対する否定的な行動を意味せず、素晴らしい関係を続けていける」と述べた。 

 

イタリアは2019年3月、当時のコンテ政権が経済回復を狙って一帯一路に加わった。だが、貿易赤字は逆に拡大。新型コロナウイルス禍の影響もあり、中国からの投資も停滞した。 

 

イタリアメディアによると、メローニ首相は今年9月、インドで中国の李強(リー・チャン)首相と会談した際、一帯一路から離脱する方針を非公式に伝達したとされていた。 

 

タヤーニ氏は一帯一路について「貿易や投資の点で満足できる成果はない」と指摘。イタリア産業総連盟の報道担当者は取材に「参画していない国の方が利益を得ている」と離脱を支持していた。 

 

中国側は一帯一路に参画した過去約5年間で、イタリアの対中輸出は約30%増えたと主張し、引き留めに躍起だった。 

 

【関連記事】 

 

・イタリア首相「一帯一路」離脱意向を伝達 中国首相に 

・一帯一路とは 習近平氏提唱の広域経済圏構想 

・イタリア、債務問題が最大の課題 メローニ政権発足1年 

 

多様な観点からニュースを考える 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。 

 


益尾知佐子九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
   

 

ひとこと解説 

現時点で新華社本体はこのニュースを報じていません。関連報道はこれまでもあるので、情報封鎖があるわけではありませんが、中国国内の経済状況の悪さは誰もが認めるところ。閉塞感をさらに強めるニュースは報道しづらいのでしょう。中国は「一帯一路」への参加国を募るため覚書締結国の拡大に努めてきました。ただこれ、もともとなんなのかよくわからないのです。「一帯一路」が純粋な経済目的なら、経済規律に従って普通に取引すれば良い。イタリアは欧州の中では親中的ですが、コロナ中の戦狼外交で中国への疑念が高まったこと、覚書がなくても取引は継続できることから、政治的に制約されそうな約束からは早めに抜ける決断をしました。 

2023年12月7日 9:30 (2023年12月7日 9:34更新)98 

 

 

 


柯 隆東京財団政策研究所 主席研究員
        

 

分析・考察 

まあ、折り込み済みと思う。そもそも「一帯一路」イニシアティブが成功する前提は、中国が外貨を持ち出し続けることである。中国経済はここまで減速して、沿線国家への支援を続けることができなくなっている。イタリアを含めて、沿線国家自身は大規模なインフラ建設を続けられない。ただし、「一帯一路」イニシアティブが消滅することはないと思う。ダウンサイズしていくと思われる。 

2023年12月7日 9:43 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB06E180W3A201C2000000/