それでは、習近平が「経済」を見殺しにしている、というその論考・
「習近平の悪手が止まらない…!悲惨さを増す「EV墓場」の実態と、「中国大恐慌」のトリガー…」
を次の掲載しておくので、一読願う。
習近平の悪手が止まらない…!悲惨さを増す「EV墓場」の実態と、「中国大恐慌」のトリガーを引く「経済見殺し政策」のヤバすぎる中身
藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー 2023.10.10
習近平が「経済」を見殺しにしている…
ここのところ中国経済には改善の兆しが見えてきたが、それは期待外れに終わり、むしろ中国政府の無策ぶりを露呈するきっかけとなるのではないか。
前編『習近平、まさかの「愚策」…!ついに政府が認めた「不動産バブル」のヤバすぎる実態と「経済見殺し政策」の悲惨な中身』では、中国が日本の「失われた30年」のように、長期停滞へ入ろうとしていることを指摘した。
習近平は、どこへ行こうとしているのだろうか…Photo/gettyimages
しかし、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏に言わせれば、「中国は日本のようにはならない。もっと悪くなるだろう」ということである。
また、日本経済を長年ウオッチしてきたイエスパー・コール氏も、「バブル崩壊後の日本は高成長を続ける中国への輸出拡大で恐慌を回避できたが、今の中国には輸出拡大が期待できる国が見当たらない」と分析しており、中国の長期停滞はもはや免れない情勢だ(9月29日付日本経済新聞)。
そして、さらにもう一つ、最大の理由を付け加えたい。それは中国政府が景気刺激策にあまりに後ろ向きということだ。
習近平のヤバすぎる「妄想」
1990年代の日本政府は、景気下支えのために大規模な景気刺激策を打ち続けたが、中国政府は需要を喚起する景気刺激策を講ずる気配を一向に見せていない。
政府関係者の間でも、「大規模な財政出動が必要」との声が出てきている(9月19日付日本経済新聞)のにもかかわらずに、である。
本当に経済が社会を堕落させるのだろうか…Photo/gettyimages
その原因として挙げられるのは、「習近平国家主席が2008年に実施された4兆元規模の景気刺激策のことを苦々しく思っている」との見立てだ。
習氏の景気刺激策に対する評価は、「中国の国民は苦労せずに資金を得ることばかりを考える『パラサイト(寄生虫)』になった。社会全体に浪費と汚職が蔓延し、巨額の債務だけが残った」という散々なものだからだ(9月27日付ニューズウイーク日本版)。
輸出拡大も期待できず、政府の下支えがなければ、中国経済が深刻なデフレに陥るのは時間の問題だろう。
日本は長期にわたりデフレに苦しんだが、賃金が上がらなくても労働意欲の目立った低下はなく、幸いなことに、社会全体に深刻な混乱が起きることはなかった。日本には「デフレ耐性」があったというわけだが、中国にこのような耐性があるとは思えない(9月28日付日本経済新聞)。
(続く)