先の論考では、「2027年か35年に台湾を侵攻するような計画は中国にない」と書かれていたが、この文章では「その時期は決まっていない」と、習近平は述べたという。
と言うことは、「その時期が決まっていない」だけで、場合によっては2027年にも2035年にも「台湾侵攻」は行われるかもしれない、と言うことだ、と理解しておくべきなのであろう。
『中国は台湾を支配する権利があると習主席は率直に主張し、武力ではなく平和的に台湾を奪取することを望んでいると述べた』とNBCが報じたように、
習近平は、あくまでも「台湾」は自分のものであり、「平和的に統合する」ことを望んでいるとして、あくまでも柔らかな表現で目くらまししているが、本音のところは、「武力で統合するぞ」と言っていることに等しいのである。
「台湾を奪取する」と勇ましい表現となっているのが気がかりであるが、どのような言葉で表現されていたのかは解らないが、「奪取」とは「無理やり奪い取る」と言った意味合いなのである。
だから習近平は、「台湾人は中国に併合されることには反対」なので、そこは「(武力を用いても)中国は台湾を奪取するぞ」と、常々思っていたのであろう。その気持ちが、「奪取」という言葉になってあらわれたものと、小生は思われるのである。
だから、中国は台湾を「武力統合」するつもりであり、平和統合なんぞはさらさら考えてはいないものと思っておくことである。
しかも中国は現在景気低迷期に突入している。日本の「失われた30年」と同様な長期低迷期に突入しているというではないか。
しかも2023年12月11日~12日に行われた「中央経済工作会議」では、効果的な経済対策が話し合いされたという気配がなかったことだ。あったのは、宙に浮いたような実態にそぐわない習近平の講和だけだったという。これでは中国経済は浮かばれない。
習近平の経済政策を世界中が酷評…!米中関係が落ちた、絶望の「トウキデイデスの罠」と「捨て身の台湾有事」のヤバすぎる関係
藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー 2023.12.20
中国大崩壊のインパクト
中国・習近平国家主席は、もはや今の中国経済を立て直すことは難しいだろう。
前編『中国の信託業界が深刻な財務危機に…!習近平政権の「異常事態」が招く経済崩壊「3つの要因」と、道づれにされる「世界経済」のヤバすぎる現実』で紹介したとおり、中国は「バブル崩壊」「人口減」「バブル経済突入」の三重苦にさらされている。
習近平は何を考えているのか…Photo/gettyimages
習近平何か
12月11日と12日に行われた「中央経済工作会議」で、習氏は実態にそぐわない政策ばかりを講和したと酷評されている。そればかりか、現状認識からずれた習氏の講和を、200人の幹部たちが神妙に聞き入る異様な姿はもはや中国政府は経済再生への道をあきらめたかのようにもみえる。
これが確信犯だったとしたら、なお恐ろしい。
日本が経験した「失われた30年」という長期低迷が、人口10億人を超える大国で起こるのだから、世界へのインパクトは計り知れない。
世界の知性は、その現実に早くから気づき、警鐘を鳴らしている。筆者がもっとも説得力を持って受け入れているのが、アメリカの二人の教授の論文だ。
(続く)