中国「EV墓場」問題がさらに深刻になる
足元の動向で気になるのは、資金繰りに窮した地方政府が庶民の懐を圧迫し始めていることだ。地方政府は資金の確保に焦るあまり、意味不明の罰金や違反切符を科していることが問題になっている(9月27日付BUSINESS INSIDER JAPAN)。
筆者は以前のコラムで「電気自動車(EV)の大量廃棄(EV墓場)」
(https://gendai.media/articles/-/116281)を取り上げたが、この問題はさらに深刻化しそうな気配だ。
9月21日付中国新聞週刊は「中国各地のEV充電スタンドの料金が2倍となり、EVを手放す所有者が出始めている」と報じた。値上げの原因は、電気料金そのものではなく、充電サービスのための料金だ。
南京の高速道路 Photo/gettyimages
充電サービス料金は「設備の運営費用を賄うために充当される」とされているが、カネ不足に悩む地方政府が「取れるところから取る」とばかりに理不尽な値上げを実施しているのかもしれない。
日々の生活が苦しくなっている中、「お上」の搾取にあえぐ人々の不満は高まるばかりだろうが、これに対し、中国政府は思想や行動に対する「引き締め」のさらなる強化で乗り切ろうとしている。
犯罪の増加が止まらない…!
中国政府は「我が国の犯罪率は世界最低水準だ」と豪語しているが、刑事裁判で審理された人数が2001年の約74万人から2021年には170万人超に急増したという「不都合な真実」がある。
中国政府は近年、国防費を上回る予算を社会秩序維持のために投じているが、犯罪者数の増加は止まらない。刑務所も過密化し、再犯を防ぐ更生の役割を果たせていない有様だ(9月30日付共同通信)。
治安悪化に歯止めがかからない状態の下で深刻なデフレが発生すれば、耐性を持たない中国社会は大混乱に陥ってしまうのではないだろうか。
さらに連載記事『習近平、打つ手なし…!中国製EVが「バカ売れ」するウラで、中国で「EV墓場」が大問題になっていた!』(https://gendai.media/articles/-/116281)では、EV先進国と称される中国が抱える本当の姿を詳しくお伝えしよう。
https://gendai.media/articles/-/117448
(続く)