ALPS処理水放出と習近平の凋落(48)

 

別の場所では、川岸のさびれた線路沿いに1000台前後のEVが放置されているPhotographer: Qilai Shen/Bloomberg  


この場所に放置された車両は
重慶長安汽車浙江吉利控股集団のほか、日産自動車の提携先である東風汽車集団が生産したEVが中心Photographer: Qilai Shen/Bloomberg 

 

放置車両の中には、緑のナンバープレートを付け、新型コロナウイルス対策のマスク着用を呼びかけるステッカーが窓に貼られた比較的新しい車もPhotographer: Qilai Shen/Bloomberg   

 

  米テスラが中国に進出し、20年初めに上海の自社工場で生産を開始する以前、中国で生産されるEVの大半は小型で低品質だった。見栄えの良い内燃エンジン車がちまたにあふれる中、EVは消費者にとって魅力的とは言い難かった。 

 

  EVの普及に弾みをつけるため、政府は2000年代後半、1台当たり最大6万元(約120万円)の補助金を支給し、一部の大都市でガソリン車の保有を制限し始めた。自動車メーカー各社は配車サービスを手掛ける新興企業数社を設立・支援し、そうした企業は自社の車両に自動車各社のEVを採用した。 

 

政府の補助金を追い風に、多くの自動車メーカーがEV事業に参入Photographer: Qilai Shen/Bloomberg 
 

  ところが19年になって、政府はEV購入への補助金を軒並み削減し始めた。多くの配車サービス会社は政策変更への備えができておらず、資金繰りに深刻な打撃を受けた。「そうした企業は生き残れなかった」とフアン氏は述べた。 

  その年にEVの墓場に関するニュースがインターネットユーザーや地元メディアから流れたことで、世間の注目が集まり始めた。 

 

廃棄された車両の使用済みバッテリーにはニッケルやリチウム、コバルトなどの希少金属が含まれているPhotographer: Qilai Shen/Bloomberg 

 

  格付け会社フィッチ・レーティングス中国企業調査ディレクター、ジン・ヤン氏は今ではEVの墓場が存在すると聞いても驚かないという。 

 

  タクシー会社やフリート運営業者が採用したことで、EVが安全な選択肢であることを消費者に知らせることができたと同氏は説明。消費者向けのEV市場がまだなかった時代に、メーカーがEV関連技術に投資する動機となり、需要拡大の基盤を築いたと付け加えた。 

 

2019年に中国政府はEV購入への補助金を削減し始め、多くの配車サービス会社が深刻が打撃を受けたPhotographer: Qilai Shen/Bloomberg 

 

  深圳市在住の写真家、ウー・グオヨン氏は18年に山積みの放置自転車をドローンで撮影し、開発ブームに起因する大量廃棄の記録を中国でいち早く映像に収めた。19年には杭州のほか、江蘇省省都である南京周辺の空き地に置かれた何千台ものEVの映像を空撮した。 

 

  同氏はインタビューで、中国の資本市場は開放された当初は小さかったが、今では無秩序に調達された資金が 「津波」のように押し寄せていると指摘。「シェアサイクルやEVの墓場は、制約のない資本主義の結果だ。資源の浪費や環境へのダメージ、富の消失は当然の帰結」と語った。 

 

原題:China’s Abandoned, Obsolete Electric Cars Are Piling Up in Cities(抜粋) 

 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-22/RZKIM6T0G1KW01 

 

 

 

またBEVは、水にはすごる弱いクルマである。 

 

中国では今夏、各地で豪雨災害が発生して、BEVの水没被害が頻発している。その修理費用はガソリン車よりもかなり高く、そのためBEVの車両保険も急騰しているという。 

 

しかもBEVは400~500kgもの重量のバッテリーを搭載しているため、衝突時の危険はガソリン車の比ではないという。 

(続く)