ALPS処理水放出と習近平の凋落(70)

習近平は、毛沢東生誕130年の'23.12.26に、「台湾統一を必ず実現する。」と述べている。 

 

 

習氏、台湾統一「必ず実現」 毛沢東生誕130年で演説 

習政権2023年12月26日 18:22 (2023年12月26日 21:09更新) [会員限定記事] 

 

演説する習近平氏(26日、中国国営中央テレビから)   

 

【北京=田島如生】新中国建国の指導者、毛沢東の生誕から26日で130年を迎えた。習近平(シー・ジンピン)国家主席北京市内で演説し、事実上の公約に掲げる台湾統一を「必ず実現する。いかなる方法であれ、台湾を中国から分裂させることを断固阻止する」と表明した。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。 

 

台湾統一は毛沢東も生前に意欲を示していたものの、当時の国力では達成できなかった。習氏の発言には、統一を実現することで自らを毛沢東を超える位置づけまで高めようとする思惑がにじむ。 

 

習氏ら最高指導部7人は26日、毛沢東の遺体を安置した天安門広場の毛主席記念堂を訪れた。その後、人民大会堂の座談会に出席し、習氏が演説した。毛沢東について「中国の偉大な愛国者であり、民族の英雄だ」と称賛した。 

 

自らが掲げる中国式現代化による強国の建設や民族復興に関し「毛沢東ら古い世代の革命家の未完の仕事だ」と指摘した。改革開放は「今の中国が時代に追いつくための魔法の武器だ」と述べ、深化させると言明した。 

 

毛沢東の生誕130年を巡っては各地で記念行事が開かれた。生まれ故郷である湖南省韶山市には前日25日から左派(保守派)や毛沢東の信奉者が集まり、熱狂的なイベントを繰り広げた。文化大革命時代のシュプレヒコールを連呼する若者の姿もあった。 

 

中国国営新華社によると、江西省の井崗山(せいこうざん)市も25日に記念シンポジウムを開き、およそ200人が出席した。井崗山は毛沢東1920年代の終わりに農民を組織して初めて武装闘争の根拠地を築いた場所だ。 

 

中国でスパイ摘発を担う国家安全省は26日、対話アプリ「微信ウィーチャット)」の公式アカウントで毛沢東について投稿した。「諜報(ちょうほう)活動にたけていた」と評し、抗日戦争や国共内戦の際に活用していたエピソードを紹介した。 

 

毛沢東崇拝は中国共産党の方針に沿ってはいるものの、熱狂的な支持者のなかには中国の急速な発展に取り残され、現状に不満を抱く人も少なくない。 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM263680W3A221C2000000/ 

 

 

だから怖いのである。現在中国は大不況の真っただ中にいるから、習近平としては何をしでかすか分かったものではないのである。 

 

この論考は、毛沢東習近平の「熱狂的な支持者のなかには中国の急速な発展に取り残され、現状に不満を抱く人も少なくない」と締めくくっている。 

 

この不満をどのように解消するのか、ある意味、習近平も頭を痛めているのではないのかな。共産党一党独裁の中国での社会の有様では、社会保証の制度はそれほど進んではいないようだ、だからこれらの民衆の不満は、強権で抑えざるを得ないのである。 

 

そしてその不満が爆発する前に、外に発散させなければならないことになる。 

そんなことで、習近平の頭の中は一杯になっているのではないかと、心配になるのである。 

 

その不満のはけ口の一つが、日本のALPS処理水の放出問題だったのである。 

 

日本のALPS処理水は問題がないと、 

 

国際原子力機関IAEA(International Atomic Energy Agency)が、お墨付きを与えているのである。 

 

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/shirou_alps/no4/ によると、 

国連の機関であり、原子力について高い専門性を持つIAEAも、ALPS処理水の海洋放出は「国際安全基準に合致」し、「人及び環境に対する放射線影響は無視できるほどである」と、包括報告書で結論付けています。」と言うことであり、問題はないにもかかわらず、習近平は「問題だ、問題だ!!」と、中国人民の不満を日本に向けるべく、人民の不安を煽ったのである。 

 

もう一つの重要な方策が、台湾侵攻である。習近平は「台湾統一を必ず実現する」と述べており、そのことで毛沢東を超越出来ると考えているようである。 

 

習近平にとっては、毛沢東を超える中国の英雄になることが、至高の目標となっているはずだ。だから習近平にとっては「台湾統一」が必要なのである。 

 

重ねて言うが、これは恐ろしいことである。 

(続く)