ALPS処理水放出と習近平の凋落(75)

景気回復に中国政府がすべきことは何になりますか。 

 

柯氏:簡単です。民営企業にもっと自由を与えて、私有財産をきちんと保護すべきです。 

 

 外資の中国離れを防ぐには23年7月に施行された改正「反スパイ法」をやめればいい。あの法律がある中で、安心して投資して経済活動するのは難しい。改革開放を掲げる一方で反スパイ法を推し進める。目的と手段が乖離(かいり)しているわけです。 

 

日本企業は中国でどう対応すべきなのでしょうか。 

 

柯氏:最終消費地としての中国市場は巨大なので、諦めるのは得策ではありません。ハイテク分野など、それ以外の部分は次の生産拠点を確保して少しずつ動いていく。製造については瞬時に動けませんが、数年単位の計画を立てて見直していくしかないでしょう。 

 

日中友好には戻らない 

 

日中関係の今後はどうなると見ていますか。 

 

柯氏:かなり状況は難しい。米中関係の動きに依存する部分は、そのまま受け入れるしかないでしょう。だけど、独自の対中国の戦略として、日本政府はカードを持っていません。日中関係は、もう残念ながら昔のような日中友好のムードには戻らない。淡々と進んでいくしかないと思います。 

 

現在、習政権が抱えるリスクは何になりますか。 

 

柯氏:政権自身の戦略性のなさです。一番の問題として政府と市場の役割を明確に決められていません。1、2期目の習政権では、政府が市場に介入し過ぎました。中国という巨大国家をオペレーションするためにも明確にすべきです。クリアできなければ自らの首を絞めることになりかねません。 

 

 習政権は3期目、そして4期目と終身政権を目指していくと見ています。結局、最大のリスクは自分自身。すべてのことに口を出すような姿勢を変えなければ今後、政治や経済を含めたあらゆる状況が厳しくなっていくでしょう。 

 

3期目が始まったこの1年でも状況は厳しくなっています。 

 

柯氏:すべてに介入するならば、「改革開放」以前の中国に逆戻りしてしまいます。かつてのような計画経済には戻らないでしょうが、統制経済にはなっていくでしょう。ただ民営企業と市場は活力を失ってしまいます。いくらプロパガンダを見せても中国の夢は実現しませんし、状況は楽観視できません 


【参考記事(テーマ別まとめ記事)】
 

台湾有事とは? 中国による台湾侵攻の可能性と日本への影響 

中国経済の影響力とは? 世界が注目する理由やその動向 

 

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00485/121800058/?P=3 

 

 

 

東京財団政策研究所柯隆氏は、中国経済は低迷状態が引きつづき続くとみている。その理由も数個上げている。 

 

(1)雇用の受け皿となる企業が沢山倒産している。高い若年失業率 

(2)不動産不況。中央・地方政府に余力がない。コロナ禍や不動産バブル 

   の崩壊で財政は厳しい。 

(3)そんなこんなで、個人消費が低迷している。マンションを購入しても 

   工事中断で住めない。人民の不満爆発で抗議活動の可能性大。 

(4)外資による中国離れ。改正「反スパイ法」を止めて、自由な投資を 

   推進する必要がある。中国は低迷が続いてしまう。 

(5)政府に戦略性がない。市場に介入しすぎている。市場に任せるべき。 

 

そして戦略性がないがために、習近平は市場に介入しすぎている。これでは計画経済とは言わないが、中国は統制経済なってゆくでしょう。そのため民営企業も活力を発揮できないし、ましてや「中国の夢」なんぞは到底実現できないし、「状況は楽観視できません。」とこの論考は結んでいる。 

 

 

とすると行き着く先は、やっぱり「台湾侵攻」か。 

 

昨年の10月の事だが、石平氏は「台湾有事はいつでも起きる」と述べている。 

 

 

 

和歌山「正論」懇話会 「中国は大不況、台湾有事はいつでも起きる」評論家・石平氏 

2023/10/12 20:19 

 

和歌山「正論」懇話会で講演する石平氏=12日、和歌山市    

 

和歌山「正論」懇話会の第103回講演会が12日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、評論家の石平(せきへい)氏が「中国の経済・政治情勢と台湾有事の行方」と題して講演した。 

 

平氏は、中国で若年層の失業率が20%を超えたことや、対外輸出もマイナスに転じていることを挙げ、「大不況に陥っている」と指摘。習近平政権が異例の3期目に入ったことで不況に拍車がかかるとの考えを示し、「反対勢力が一掃され、習近平政権の暴走にブレーキがかけられない危険な独裁体制が出来上がっている」と述べた。 

 

さらに「経済状況、社会状況ともに厳しくなっている」と言及。「独裁者は国内の危機が高まれば、国民の目を対外に向けるのが常套(じょうとう)手段」とし、「台湾有事はいつ起きてもおかしくない」と警告した。 

 

https://www.sankei.com/article/20231012-EF4PKQ2OYJKPJHBHU4OTXPSO5M/ 

 

 

 

だが次の論考は、反対に今の中国の経済不況では、台湾に侵攻することは出来ない、などと述べている。どちらの可能性が高いのであろうか。 

(続く)