ロシアのウクライナ侵攻(25)

■“守り”の戦いで 戦争長期化 核使用の口実も―


ロシアは戦力を大量に喪失し、更には戦力を補えない状態が続いていることは確かなようだ。ウクライナ国防情報局のブダノフ情報局長は「ターニングポイントは8月の後半になる。激しい戦闘行為のほとんどは今年の終わりまでに終了するだろう」と語り、アンドルシフ内務省顧問は今後について次のように分析した。

「ロシア軍が東部で占領地を拡大する第2段階に失敗し、現在は防御戦に移行。占領地を維持する第3段階入った

これはどういうことを意味するのだろうか。

元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアの第3段階とは、現在ロシアが占領している地域を保持することだ。そこで、ロシア軍とウクライナ軍の戦力比だが、例えばウクライナ側に防御するロシア側の5倍の戦力があるかと言えば、それはない。そうなると、もう膠着状態にならざるをえない。だから来年まで戦争は続いてもおかしくない。もしプーチン大統領がこの戦いはまだまだ続けるんだという決心を変えなければ、長くなるんだろうと思う」

 

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「今度はウクライナ軍が、陣地をとったロシア軍を追い出しに掛かるので、これはウクライナ軍が相当に苦労するとは思う。ある程度の領域を取り返せるにしても時間は掛かる。2014年以降東部では紛争がずっと続いて来たが、こんな風にだらだらと続くこともあり得るだろう。政治的にもどこまで取り返しにいけるのか難しい判断を迫られると思う」

更に今後の警戒すべき点について2人はロシアによるザポリージャ州、ヘルソン州の併合だという。

元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアはヘルソン州で防御態勢をどんどん作っている。ロシアにとって、ヘルソン州は絶対に明け渡したくない成果。それを確保するために一所懸命陣地を構築して、プーチン大統領に是非ロシア領にしてくださいと要望しているのだと思う。そうなると、ここが攻撃されたらロシアの領土が侵されたとして戦術核を使う、という脅しが実際に起きる可能性があると思う」

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
ロシア連邦の軍事ドクトリンを見てみると、過去20年間ぐらい核使用基準は変わっていない。ひとつは相手が大量破壊兵器を使った場合、もう一つは通常兵器による攻撃であってもロシアの安全保障が深刻に脅かされた場合に核兵器を使う権利を持つという言い方をしている。現状は特別軍事作戦。これだと国内法上、核兵器を使いづらいと思う。でも、ザポリージャ、ヘルソンがロシア領になるということになれば、これはロシアの領土が侵されているんだという建付けになるので、核使用の布石になると見られてもおかしくはない」

実際、メドベージェフ前大統領が17日こんなことを言っている。

我が国が攻撃された場合には、即刻、超強大な報復が可能だ

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「一方で、戦術核にせよ何にせよ、使った場合、どこまでエスカレートするか、これはロシアには制御できない。ウクライナがどう応じるか、西側がどう応じるかにかかって来る。従って、ロシアの核使用は現実に考えると、そう簡単に気軽に決断できる問題ではないはず。現実に我々はどのへんまでロシアを抑止できていて、何処が不利なのか、あいまいな領域はどこなのか、ということを考えながらウクライナ戦略を考えていく必要がある」

追い込まれていくロシアに対し小泉氏は、いまこそ経済制裁を西側が“働きかけ”の武器にすることを提案した。

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「戦車の部品一つとっても、半導体であるとか、それを作るための工作機械だとか、自国じゃできないわけです。ロシアもまた国際的なサプライチェーンの中にいないと、もう大国として振る舞うことは出来ない。だから、そこにロシアに対して働きかける余地はあると思う。経済制裁もすぐに効かないじゃないかとか、一般民衆が苦しむだけで権力者は平気ではないかとの意見もあるが、私はロシアの軍事力とか権力とか、産業とか、我々がどこを閉めたらロシアのどこが痺れるのか、相関関係をマッピングして、ちゃんと働きかける方法はまだまだあるのではないかと思う。それは対ロシアだけでなくこれから日本が色々な所で使ったり、使われたりする武器なのだろうと思います」

BSTBS 『報道1930』 518日放送より)

 

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/50880?page=1

 

 

 

ロシアは「我が国が攻撃された場合には、即刻、超強大な報復が可能だ」と、この論考の終わりの方で述べている。

 

これは核攻撃を意味しているが、それにしても核で反撃されてしまうので、核を持っている国に対しては、核攻撃は行わないであろう(と推測している)。

 

これは核を持っていない国に対するものである。先には次のように述べておいた。

 

(続く)

ロシアのウクライナ侵攻(24)

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師

 

戦勝記念日は軍が主役のイベントなので参謀総長が来るべきもの。ゲラシモフは就任10年になるが、これまで戦勝記念日に来なかったことはないのではないか。可能性は幾つかあると思うが、今回の戦争を巡って相当にプーチンの信頼を失っているという話がある。ゲラシモフは事実上更迭されているとの噂話もある。最後のチャンスを貰えるかどうかプーチンと折衝中だと。現場の司令官クラスも罷免されるだけでなく、捕まっているのではないかという。参謀本部の中でも何人か罷免されているという話もある。軍とプーチンの関係は相当にぐらついているというのは間違いないと思う」

 

こうした中、16日にロシアで有名な軍事評論家のホダリョノク元大佐が国営テレビに出演し、こんな発言をしたことが物議をかもしている。

 

「ロシアにとって戦況は明らかに悪化している。軍事的、政治的状況の最大の問題点は、私たちは完全に孤立していて、全世界が私たちに反対していることだ」

 

プロパガンダ化した国営テレビで、プーチン氏に不利に聞こえるような戦況を語ることは珍しい。一体どんな意図があるのだろうか。

 

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師

 

「ホダリョノク氏も随分勇気がある発言をしたと思う。こういう発言を許したのが、ホダリョノク氏の独走だったのか、それとも仕込みで何らかの理由でこういう発言をさせているのかは気になるところだ。実は他にも何人か軍人や専門家は、『動員をかけないと勝てませんよ』とか語り始めている。戦況が厳しいということを専門家の口を借りて喋り始めている、或いは専門家がそういう発言をすることを妨げなくなってきている。では、言わせた末に何処に持っていきたいのか…もはや何々をしてもやむを得ない、という方向に世論を持って行きたいのだろう。その“何々”が何なのかということがこれからの焦点だと思う」

 

戦力は3分の1に「逃走して再編成しないと使い物にならない」

 

実際、ロシアの戦況は悪化の一途を辿っているようだ。小泉氏はロシア軍の攻撃の仕方などから、戦力の厳しさを読み解いている。例えば次の3つがある。黒海艦隊が対艦ミサイルで地上攻撃をしている。これは巡航ミサイル不足でないかと小泉さんはみている。水上艦ではなく潜水艦から巡航ミサイルを撃っている。これは水上艦用のミサイルが不足しているからではないかという。また、徴兵制は任期一年で入れ替えのはずだが、実際には除隊できていない。これは兵士不足の表れではないかと指摘する。

 

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師

 

「米国の国防総省はロシア軍が何発巡航ミサイルを撃ったかをブリーフィングの中で言っています、つまりアメリカは見ているぞということだが、2千数百発撃っているんです。ロシア軍は相当これまで巡航ミサイルを作っては貯めてきたわけですが、もうそれが3か月もする戦争で枯渇し始めている。例えば対艦ミサイルは敵の軍艦を撃つものだからこれは目的外使用だ。それから潜水艦から撃つのも同じような巡航ミサイルなのだが、出来れば潜水艦は位置を秘匿しておきたいので、水上艦から撃つのがセオリーだと思う。だけれども水上艦用の巡航ミサイルが足りなくなってきているのだろう」

 

しかし別の見方もできると元陸上自衛隊ソ連を仮想敵国として研究していたこともある渡部悦和氏だ。

 

元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏

 

「対艦ミサイルから地上攻撃をするというのは、黒海艦隊はウクライナの岸に近寄るとミサイルを撃たれて沈没する可能性もあるので、潜水艦を使った対地攻撃用のミサイルを撃っているという考え方もある。ただ、大きな流れとしては小泉さんが言われた通り、ロシアの兵器は厳しくなっている」

 

オランダの民間軍事サイト「Oryx」によると、ロシアは戦車や航空機などの兵器を3675という数で失っているという(16日時点)。この数字はウクライナ3.5倍だ。兵器の種類別でロシアの損害をウクライナと比較しても、航空機やヘリコプターは2.6倍。対空兵器は1.2倍。戦車は4.2倍。歩兵関連の兵器は3.4倍。そして兵站14倍も損害に差が出ている。また、イギリスの国防省は、ロシア軍は投入した地上戦力の3分の1を失ったと分析している。戦力の3分の1を失うとどういう状況になるのか―。

 

元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏

 

「ロシア軍は厳しい状況だと言える。戦術の常識では、ひとつの部隊の存亡が30%になるとその部隊は使い物にならない。後ろに逃走して再編成しないと使い物にならない。3分の1というのは33%ですから、この時点でロシア軍をみるとかなり無理をしなければ作戦が出来ないような状態になっている。攻撃する側は5倍の戦力でなければならないと私は言っているのだが、これが出来ないような状況になっている。だから、ドンバス地域においてロシア軍の攻撃が進捗していない。これは明らかな原因がここにあると思う」

 

食洗器・冷蔵庫の半導体を戦車に…

 

ロシアは兵器の増産に躍起になりたいところだが、どうやら更なる難関に直面しているようだ。1936年創業のウラル・バゴン・ザヴォート社は、ロシアの最新戦車のほとんどを製造する。しかし、ウクライナ国営メディアによると、部品不足のため321日に操業を停止したという。米国商務省の輸出管理担当者も「ロシアでは制裁で通信機器などに使用する半導体が足りなくなっている」と分析している。

 

また、驚くべき報告もある。米国のレモンド商務長官は11日、ウクライナ側からの報告として「ロシア軍の戦車を調べた際、食洗器や冷蔵庫から取り出した半導体が使われていた」と明かした。さらにロシアの戦車連隊で、備蓄していた戦車10両のうち実際に運用できる戦車は1両しかなかったという。これは電子機器などの主要な部品が盗まれていたためだと、ウクライナの国防情報局が明らかにしている。

 

東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師

 

「まさにロシアの弱いハイテクの部分が直撃されているので、ハイテク兵器が足りなくなっていくのは明らかだと思う。他方、ロシアは軍事訓練を行うとき、倉庫にしまってあるボロボロの兵器を出してきて油をさして使う。5万何千人分ぐらいの部隊は出来る。更にはもっともっと古い兵器もある。となると武器があるかどうかは戦争を続けられるかどうかに影響はするけど決定はしないと思う。プーチンがもし何が何でもやるとなれば、古い武器も引っ張り出してやると思う。それに対して国民がこんな物を持たされて戦争がやれるかとなるかどうか、この戦争の趨勢を決めてくるだろうと思う」

 

元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏

 

「ロシアはロシア軍のための兵器だけでなく、中国とかインドに輸出をしている。契約をした分、本当に兵器を作って渡すことが出来るのか。いろいろ考えるとロシアでは非常に厳しい軍需産業の状態になって来るのではないかと思う」

(続く)

ロシアのウクライナ侵攻(23)

CSTOとは、Collective Security Treaty Organization集団安全保障条約機構 で、Wikipediaによれば「集団安全保障及び集団的自衛権に関する軍事同盟」であり、参加国は次の6か国である。

 

 

ベラルーシアルメニアカザフスタンキルギスタジキスタン、ロシアの6か国

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220516/k10013628941000.html

 

 

 

北欧2国のNATO加盟に「対応」警告 ロシア大統領

AFPBB News 2022/05/16 23:11

 

© Alexander NEMENOV / various sources / AFP ロシア・モスクワで、集団安全保障条約機構(CSTOの加盟国首脳との会合に出席するウラジーミル・プーチン大統領(2022516日撮影)。    

 

516AFP=時事】ロシアのウラジーミル・プーチンVladimir Putin)大統領は16日、フィンランドスウェーデンによる北大西洋条約機構NATO)への加盟申請決定について、脅威とは見なしていないものの、両国に軍事インフラが配備されれば対応を講じる可能性があると警告した

 

 

ロシア・モスクワで開かれた、集団安全保障条約機構(CSTO)の会合に出席したウラジーミル・プーチン大統領ら加盟国首脳(2022年5月16日撮影)。© Alexander NEMENOV / POOL / AFP ロシア・モスクワで開かれた、集団安全保障条約機構(CSTO)の会合に出席したウラジーミル・プーチン大統領ら加盟国首脳(2022516日撮影)。 

 

 ロシアが主導する集団安全保障条約機構(CSTO)の首脳会議に臨んだプーチン大統領は、テレビ放送された会合で、NATOスウェーデンフィンランドへの拡大はロシアにとって「直接的な脅威ではない」との考えを示した一方で、両国の領土に軍事インフラが拡大配備されることになれば「確実にわれわれの対応を引き起こすだろう」と述べた。

 

【翻訳編集】AFPBB News

 

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3405161?cx_part=top_topstory&cx_position=1

 

 

 

この6か国の国名を眺めると、それほど強大な国は見当たらない、と思っても間違いがないであろう。プーチンは何を血迷ったか、こんな弱小な国々を集めて一席ぶったとしても、西側には何の痛痒もないことであろう。

 

それよりも物資と兵員の不足に困っている事の対策が先ではないか。

 

特に半導体不足には相当困っているようで、ウクライナの家庭から食洗器、冷蔵庫などをかっさらってゆき、それにつかれている半導体を兵器に転用しているというではないか。

 

となるといよいよ核兵器が使われることになるのか。とすれば、これはゆゆしき事態である。

 

 

 

戦車に食洗器や冷蔵庫の半導体まで転用…兵器不足でロシアの攻撃が止まる日は来るのか?【報道1930

TBS NEWS DIG 2022/05/20 23:04

   

 

ウクライナへの侵攻から間もなく3か月、ロシア軍は投入した地上戦力の3分の1を失ったとの分析もある。大量の兵力損失は、今後の戦い方をどう変えるのか。また戦争の終結は早まるのか。揺れるロシア軍内部の動き、制裁を受ける軍需産業の実態を踏まえながら、懸念される今後の展開を読み解いた。果たして戦争を終わらせることは出来るのか―。

 

プーチン氏と軍部の関係「相当ぐらついている」

ロシア軍の制服組のトップ・ゲラシモフ参謀総長の消息が途絶えた。59日の対独戦勝記念日に姿を見せなかったのだ。米国務省によると4月末にはウクライナ東部イジュ―ムを視察し、その際に右足を負傷。その後、54日にはロシア国防総省の会議に出席していると、ロシアのメディアが伝えている。今、軍部で何が起きているのか。

(続く)

ロシアのウクライナ侵攻(22)

国境を接している国々は、堪ったものではない。いつロシアが攻め込んでくるかもしれないと、注意しておく必要がある。

 

どんな注意をするのかと言うと、当然、国防力を強化することしかない。そのうえで外交力をつける、と言うことか。外交力と言うのは現時点では、共同防衛体制を形作るということである。もっと早くにウクライナNATOに加入していればよかったのではあるが。

 

遅ればせではあるが、ロシアのウクライナ侵攻で、西側諸国が一致団結して、ロシアに経済制裁を科したことはそのよい例である。本来は「多国籍軍」を組織して、ロシア軍に攻め込むことが最重要なことであるが、今のロシアへの経済制裁だけでは、まことに生ぬるい。

 

モスクワを廃墟とするような攻勢をかける必要がある、と言うことである。と言っても第三次世界大戦になっては、元も子もなくなってしまう。だからウクライナのロシア軍をせん滅して、ウクライナ国境近くのロシアの補給地点を完膚なきまでに叩いておく必要がある。

 

 

それから、いま少し深く考慮しておく事項が存在していることを認識しておく必要がある。

 

ロシアがなぜウクライナに侵攻を決断したのかと言うと、それはウクライナには核がなかったからである、と言うことである。

 

もしウクライナに核が存在していたら、ロシアはうかつには攻め込むことには躊躇したことであろう。

 

ここで次の2点を頭の隅に、と言うよりも中心に据えておくことが必要である。

 

それは、

 

(1) ロシアは、ウクライナ以外の他国を攻撃する可能性を持っている。

 

(2) もしその国に核が存在していなければ、攻撃は実行される。

 

と言うことである。

 

 

これに真っ先に反応したのが、北欧の2か国、フィンランドスウェーデンである。

 

フィンランド515日に、スウェーデン516日に夫々、北大西洋条約機構NATO)に加盟申請することを決めている。

 

 

 

NATO加盟申請を正式決定 フィンランド、ロシアの脅威受け―スウェーデンも追随

202205160042

15日、ヘルシンキで記者会見するフィンランドのニーニスト大統領(右)とマリン首相(AFP時事)
15日、ヘルシンキで記者会見するフィンランドのニーニスト大統領(右)とマリン首相(AFP時事)


 【ロンドン時事】フィンランド政府15日北大西洋条約機構NATO)に加盟を申請する方針を正式に決めた。ロシアのウクライナ侵攻を受け、軍事的中立の立場を転換する歴史的決断を下した。北欧のもう一つの中立国スウェーデンの与党も同国のNATO加盟支持を表明。両国がNATOに加われば、地域の地政学上の地図が塗り変わり、欧州は安全保障上の重大な転機を迎える。

 

フィンランド、プーチン氏にNATO加盟通告 ロシアは送電停止
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022051400432&g=int

 

 フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相がヘルシンキで記者会見し、発表した。両氏は先に連名で「加盟支持」を宣言しており、政府の特別委員会がこれに合意し最終決定となった。

 大統領は会見で「歴史的な日だ。新しい時代が始まる」と表明。16日に行われる議会審議を経て申請手続きに入る運びだが、議員の大多数が賛成に回るのは確実な情勢だ。首相は「(申請まで)まだプロセスが残るが、議会は決意と責任感を持ってこの歴史的決断を議論すると信じる」と述べた。

 スウェーデンでも15日、与党の社会民主労働党が加盟支持を発表。党内には慎重な意見もあったが、全党が関わった13日公表の議会安保政策見直しは、「抑止効果をもたらす」と加盟を肯定的に評価していた。野党各党も加盟に賛成で、社民労働党の承認で申請がほぼ決まった。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022051500380&g=int

 

 

 

北欧2国、NATO申請表明

非同盟を転換、ロシアは対抗示唆

2022/5/16 22:49 (JST)                 © 一般社団法人共同通信社

 

 NATO加盟を巡り記者会見するスウェーデンのアンデション首相(右)=16日、ストックホルムスウェーデン通信提供・AP=共同)

 

 【ストックホルム共同】北欧スウェーデンフィンランドが米欧の軍事同盟、北大西洋条約機構NATO)に加盟申請する見通しとなった。スウェーデンのアンデション首相は16、申請方針を正式表明した。隣国フィンランド15に表明しており、ロシアのウクライナ侵攻で共に軍事非同盟の国是を転換。加盟が実現すれば地政学的バランスが激変する。ロシアのプーチン大統領16日、NATO側の軍事施設が両国内に置かれれば対抗措置を取る考えを示した。

 

 スウェーデン政府は16日の議会討論後、臨時閣議で正式決定。地元メディアによると、17日にも申請するとみられる。

16日、議会での討論前に記者団に話すスウェーデンのアンデション首相(中央)(ロイター=共同)    

 

https://nordot.app/898898957573865472

 

 

 

これに対してロシアは「集団安全保障条約機構(CSTO)の加盟国首脳会合」を開いて、西側に警告している。

(続く)

ロシアのウクライナ侵攻(21)

沿ドニエストル共和国には、平和維持軍としてロシア軍が駐屯しているので、ウクライナ東南部から沿ドニエストルまでを、親ロシア(ノボロシア)として、最低限ロシアが統治する地域としたいと計画して、プーチンウクライナを攻めているものと思われる。

 

そうすればウクライナの本土は、何もしなくてもロシアの手に落ちると判断しているものと思われる。

 

 

【図解】ウクライナ東部の領土問題

20154714:21 発信地:ウクライナ ロシア・CIS ウクライナ 

 

ウクライナ東部の領土問題を示した地図(c)AFP    

47AFPウクライナ東部で政府軍と分離派の戦闘が始まってから1年。分離派はドンバス(Donbass)地方の独立を主張しているが、ウラジーミル・プーチンVladimir Putin)露大統領や一部の親ロシア派は「新しいロシア」を意味する「ノボロシア(Novorossiya)」地域についても言及している。(c)AFP

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3044740

 

 

だがウクライナも黙ってやられているだけではない。ウクライナ国境近くのロシアの燃料貯蔵所や国防関連施設などで爆発や火災が起きているという。専らウクライナによる破壊工作ではないかの疑われているが、さもありなんと思われる。

 

もちろんウクライナが認めている訳ではないが、ウクライナもやられっぱなしで、黙っている訳ではない、のであろう。

 

ロシアで爆発や火災相次ぐ 19件、ウクライナの破壊工作か

202205030651

 

【図解】ウクライナとロシア西部ベルゴロド   

  • ロシア西部ベルゴロドで炎上する燃料貯蔵庫=同国非常事態省が4月1日公開した動画から(AFP時事) 

 

【ロンドン時事】ウクライナ国境付近を含むロシア西部で先月以降、燃料貯蔵所や国防関連施設などで爆発や不審な火災が相次いでいる。英情報筋によると爆発などは少なくとも19件に上り、ロシアの侵攻を受けるウクライナによる破壊工作の可能性が指摘されている。

<ウクライナ情勢 最新ニュース>

 ロシアのタス通信によると、ウクライナに隣接するベルゴロド州国防省関連施設で1日、火事があり、1人が負傷。2日には州都ベルゴロドで2度、大きな爆発が起きた。
 ベルゴロドやクルスク、ブリャンスク、ボロネジの各州では4月、石油貯蔵所や弾薬庫の爆発、火災が発生。ロシア側は一部についてウクライナのヘリコプターの攻撃によるものだと主張している。これらの施設はウクライナ東部ドンバス地方で攻勢をかけるロシア軍への補給拠点とみられている。
 4月21日にはウクライナ国境から500キロ余り離れたモスクワ北西のトベリで、ロシア国防省の施設が大規模な火災に見舞われ、少なくとも17人が死亡した。施設はミサイルの研究開発拠点として知られていた。
 ロシア国防省は先月、「領内への攻撃や破壊活動」への対抗措置としてウクライナの軍需施設への攻撃を強化した。一方、ウクライナ政府は越境破壊活動の可能性に関しコメントを避けつつ、「(ロシアが)他国を攻撃し、多数の人々を殺す決定をしたからには、早晩そのつけを払うことになる」(ポドリャク大統領府顧問)と突き放した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050300153&g=int

 

 

このロシア・ウクライナ戦争の結末がどうなるのかは、わからない。しかし、ロシアがウクライナ以外の他国を攻撃する可能性は大いにあるということなので、まことに恐ろしいことである。

(続く)

ロシアのウクライナ侵攻(20)

しかも偵察用の無人機も不足しつつあるようだ。だからある意味、メクラメッボウミサイルを発射しているのではないのかな。だから、ますます困るのである。

 

 

 

ロシア軍、偵察用無人機不足か

国防省分析

2022/5/21 19:00 (JST)5/21 19:29 (JST)updated         © 一般社団法人共同通信社



 

 【ロンドン共同】英国防省21日、ロシア軍の装備を巡り、戦闘機や迫撃砲などでの攻撃目標を特定するために使用する偵察用無人機が不足している可能性があるとの戦況分析を発表した。現在のペースで無人機を失い続ければロシア軍の偵察能力は一段と弱まり、作戦の効果に悪影響を及ぼすとの見方を示した。

 分析では、一般的に無人機は敵軍に撃墜されるリスクが高く、電波妨害の影響も受けやすいため、損耗が激しいと指摘。その上で、ロシアは欧米から科された制裁によって国内での製造能力が打撃を受け、無人機の不足に拍車がかかっているとの見方を示した。

 

https://nordot.app/900685106016485376

 

 

 

ウクライナでロシアは現在そうとう苦戦しているようだが、ジョージアの例のようにウクライナ以外の国への攻撃も無いとは言えないのだ。日本も、どのように用心するかは別としても、用心するに越したことはない。

 

元々日露戦争は、このウクライナへの侵攻と全く同じことを朝鮮半島でやらかしたために、明治の日本との戦争となったものである。まことに幸いなことに、かろうじて日本は大国ロシアに負けなかったために、今の我々が存在していることに我々の祖先に対して感謝してもしきれるものではない。

 

朝鮮人が今存在しているのも、日本がロシアを打ち負かしたためにあるのであって、もしそうでなければ朝鮮と言う国は現在存在していなかったであろうと思われる。差し詰め南オセチア自治州のように、ロシア軍が駐屯するロシアの朝鮮族自治州となっていたであろう。だから朝鮮は日本人が作ったと言われるゆえんなのである。

 

 

プーチン氏によるウクライナ以外への攻撃、否定できず=独首相

ワールド

202254/1:32 午前/17日前更新 ロイター編集

 

5月3日、ドイツのショルツ首相は、ロシアがウクライナ国際法に違反したことを考慮するとロシアが他国を攻撃する可能性は否定できないと述べた。またフィンランドスウェーデン北大西洋条約機構NATO)加盟を決定したらドイツは支持すると表明した。写真は2月18日、ブリュッセルで記者会見するショルツ首相(2022年 ロイター/Johanna Geron         

 

[ベルリン 3日 ロイター] - ドイツのショルツ首相は3日、ロシアがウクライナ国際法に違反したことを考慮するとロシアが他国を攻撃する可能性は否定できないと述べた。またフィンランドスウェーデン北大西洋条約機構NATO)加盟を決定したらドイツは支持すると表明した。

 

メディアへの声明で、ロシアのウクライナ侵攻は第二次世界大戦後の秩序を破壊し、欧州は防衛戦略の強化を迫られていると指摘。「ロシアの大統領および政府が異なる機会に暴力を用いて国際法を破らないとは誰も言えない」と語った。

 

また、独シュテルン誌とのインタビューでは、プーチン大統領の政策は帝国主義的であり、近隣諸国をロシアの裏庭とみなしていると批判。「プーチン氏は暴力で領土を拡大し、国境を押し広げようとしている。すでに変化した世界で、ロシアの古い存在意義を再び確立しようと必死になっている」とし、プーチン大統領ウクライナの東部と南部の一部を占領し、新たな境界線を引き、最終的に停戦に持ち込む意向のようだが、「それでは持続可能な解決策にはならない」とした。

 

https://jp.reuters.com/article/idJPKCN2MP1BL

 

 

ウクライナの特に東南部の領土問題は、ドンバスからへルソン州をも含み、モルドバ沿ドニエストル共和国までも最低限ロシア領とする意図をプーチンは持っているとみなすことが必要である。

(続く)

ロシアのウクライナ侵攻(19)

ロシア国内でも何かと世情が荒れ出しているようだ。そろそろ制裁が聞き出しているということか、それともウクライナ戦争での死傷者の数の増大が、一般市民へも悪影響を与えだしているということか。

 

 

 

 

 

ロシア国内で「万引き急増」のナゼ…ウクライナ侵攻後に多発、買い物カゴごと盗む大胆さ

日刊ゲンダイDIGITAL    2022/05/18 06:30

値札と値段が違うことも(ロシア・ノヴォシビルスクの大型スーパー店で買い物をする客) (C)Sputnik共同通信イメージズ     

 

プーチンの戦争」に嫌気が差しているのか、ロシア国内のスーパーや食料品店で万引が急増している。

 

ロシアの独立系経済紙RBC15日付)によると、食料品や衣料品などを扱う店を対象に、小売業と連携する顔認証システム開発会社の盗難検知データを分析したところ、今年24月の3カ月間に1店舗平均130件の盗難が発生していたことが判明。前年同期比18%増だという。

 

食料品店では商品がカゴと一緒に盗まれるケースが多発。トレンドはセルフレジを悪用した万引で、主に狙われた商品は上位から菓子類(19%)、ソーセージ(16%)、アルコール類(14%)、チーズ(13%)、コーヒー・ココア(7%)。被害額は平均1500ルーブル(約3000円)だった。

 

ロシアの軍事侵攻が始まったのは224。万引が増えた時期と重なる。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。

 

「軍事侵攻以降、ロシア国内ではウオッカが飛ぶように売れたといいます。取られた商品のうち、アルコールが上位なのも納得です。市民は戦争の犠牲者が出るにつれてつらい思いや、プーチン大統領への反発を抱き、お酒を飲まないとやっていられないのでしょう。もちろん品薄や物価高騰も万引急増の要因だと考えられますが、『売っているうちに盗んでしまおう』と考える人がいても不思議ではありません。ロシアには『バレなければドロボーではない』という独特な風土がありますから。万引は立派な犯罪ですが、市民からすれば、国家予算をオリガルヒ(新興財閥)や愛人に横流ししているプーチン大統領も『ドロボー』。責められるいわれはない、という感覚ではないか」

 

厳しいはずの警備員も目をつぶっている?

 

全体主義に見えるロシアも、足元の秩序は揺らいでいるようだ。

 

「そもそもロシアのスーパーは、商品バーコードを読み込んだ時の値段が値札と違ったり、店員がお釣りの代わりにチューインガムを渡したり、割と無秩序ですが、数年前にモスクワに行った時、スーパーの出入り口に立つ警備員の厳しさが印象的でした。少しでも怪しい人がいたら、カバンの中身を調べ、買った商品とレシートを1つずつ照らし合わせて、チェックしていたほどです。万引が増えているということは、警備員も目をつぶっているということでしょう」(中村逸郎氏)

 

プーチンの戦争」に市民もウンザリしている。

 

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/305283

 

 

 

こんなわけで、ウラジミール・プーチンも『大ドロボー』なのである。自国の予算をちょろまかしている分には、他国への影響はほとんどないものと思われるが、他国領土を盗もうとすると、これは大問題である。さすがに「ロシア人のルーツの一つとされるルーシ族ヴァリャーグヴァイキングのスラブ語)、つまりスウェーデンヴァイキングの一派・・・」(当ブログ4/30を参照のこと)と言われるだけあって、元々北極海の野蛮な海賊の一派であっただけのことはある。

 

今のウクライナ侵攻がその良い例である。

 

 

現在ウクライナでのロシア軍の侵略は、次の図にある様に「オデーサ」に迫りつつあるようだ。

 

マリウポリでの頑強なウクライナ側の抵抗により、ロシア軍の進軍が相当期間抑えられていたわけで、ウクライナはかなり持ちこたえていたようだ。

 

ロシア軍の攻撃手段は、クリミヤや黒海上の軍艦からのミサイル攻撃しか、有効な攻撃手段はなさそうなので、そうはやすやすと「オデーサ」の攻略が出来るとも思えない。

 

そのミサイルもそろそろ尽きつつあるのでは無いのかな。

 

誘導ミサイルは尽きてしまっているようなので(5/17NO.14参照)、無誘導のミサイルもそのうちに尽きてくるものと思われる。早く尽きてくれないと、無辜の一般市民の犠牲が増えるだけとなるから困るのだ。

 

 

戦況地図  

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20220516002247.html

(続く)