日韓併合100年(141)

東京で戒厳令が発せられた9/7,零時頃、ボストンでは9/6,10:00頃小村は母校

ハーバード大学訪問に出発していた。ハーバード大学での歓迎昼食会の後、

構内に住む名誉教授C・ラングデルを訪問した。彼は小村委員の当時の恩師で

あった。名誉教授は、ひげを生やして威厳を漂わす姿に感動し、老眼で目を潤

ませて「立派になった。自分は老いた。」と述べるだけで後が続かなかったとい

う。帰路ボストン駅に向かう4頭立て無蓋馬車で、小村委員は驟雨に見舞わ

れ、発熱することとなる。ボストン駅では、残りの日本全権団と落ち合いNYに向

かい、午後8時到着しホテル「ウォルドーフ・アストリア」に直行する。そして風邪

だと思いすぐにベッドに横になったが、腹も痛み単なる風邪ではなさそうであった。

戒厳令東京府内一定の区域に適用され、東京の雰囲気を一変させた。

その法的根拠は、大日本帝国憲法第十四条に求められる。


大日本帝国憲法


第十四条
 
天皇は戒厳を宣告す
②戒厳の要件及効力は法律を以て之を定む

そしてそれを定める法律は明治十五年の太政官布告第三十六号だと言う。

http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/fm15-36.htmによるが、小生の独断で現

代語に変換してある。


戒厳令
(明治十五年の太政官布告第三十六号)

第1条 戒厳令は戦時若くは事変に際し、兵備を以て、全国若くは一地方を警備するの法とす

第2条 戒厳は臨戦地境と合囲地境との二種に分つ

第3条 戒厳は時機に応じ其の要すべき地境を区画して之を布告す

(略)

第14条 戒厳地境内於いては司令官左に列記の諸件を執行するの権を有す但し其の執行より生ずる損害は要償することを得ず

第一 集会若しくは新聞雑誌広告等の時勢に妨害ありと認める者を停止すること

第二 軍需に供すべき民有の緒物品を調査し又は時機に依り其の輸出を禁止すること

第三 銃砲弾薬平気火具其の他危険に渉る緒物品を所有する者ある時は之を検査し時機に依り押収す

第四 郵便電報を開緘し出入りの船舶及び緒物品を検査し並びに陸海通路を停止すること

第五 戦状に依り止むを得ざる場合に於いては人民の動産不動産を破壊たん焼すること

第六 合囲地境内においては昼夜の別なく人民の家屋建造物船舶に立ち入り検察すること

第七 合囲地境内に寄宿する者ある時は時機に依り其の地を退去せしむること

第15,16条 (略)。

   
警戒される地域は戒厳地域と称し、その地域内において司令官は次の諸件を

執行する権利を有する。


集会や新聞雑誌などを点検し停止する。

郵便物などを開封して船舶なども検査し、かつ交通を遮断する。

昼夜の別なく民家船舶に立ち入り検査する。

寄宿するものを退去させる。


などである。戒厳とは、まさかの時に国民の権利を保障する法律の効力を停止

させ、国家の統治作用の一部を軍隊に移すことである。(昭和22年に廃止。)

これには、「明治という国家」、の「戒厳令を制定す」の項も参照されるとよい。
http://meiji.sakanouenokumo.jp/blog/archives/2009/08/post_238.html#more
(続く)