日本のご皇室と英国王室(44)

結婚について「いいと思う」は1.1%しかないが…

これについては、さまざまな雑誌が取り上げているが、今のところ結婚に反対や懐疑的な意見が多い。

中でも、週刊朝日326日号)が、「13057人アンケート 眞子さま小室さん『結婚問題』97%以上が『反対』」だと報じた。これでは多くの国民の理解など得られるはずはないと読んでみたが、見出しよりも内容は穏当な意見が多い。

このアンケートはインターネットを通じて行われた。ネットはおおむね、ネガティブな意見が多くなるのはよく知られている。

「この結婚をどう思うか」という質問に、「いいと思う」は何と1.1%しかない。代表的な意見は、「金銭問題や疑惑の数々を何年も放置して、眞子さまを矢面に立たせるなどあり得ない」というものだが、はて、金銭問題以外の疑惑とは何だろう?

また、「小室圭さんは宮内庁が求めた金銭問題の説明を行う必要があるか」という質問には、「ない」が52%で「ある」の48%を超えているのである。

国民に説明するべきは秋篠宮夫妻と眞子さん、この問題は当主で父親である秋篠宮が解決すべきだと、秋篠宮の決断不足、父親としての責任を果たしていないという疑問の声が多いのである。

これを読む限り、賛成反対は拮抗きっこうしていて、秋篠宮にとっては厳しいアンケート結果になっている。

結婚した2人はどのような夫婦になるのか

このところ、小室圭のほうから眞子さんと別れるといい出すべきだという意見もあるが、文藝春秋4月号)で歴史学者小田部雄次がいっているように、「辞退はしにくいでしょう。内親王のラブコールを断わったなんてことになったらそれこそ袋叩きですよ」。眞子さんから別れるといい出さない限り、結婚へと進んでいくことは間違いないようだ

2人が結婚したら、どのような夫婦になるのか。私は、ヘンリー王子とメーガン妃のケースを見ていて、男女の違いはあるが、小室圭がメーガン妃になるかもしれないと考え始めている。



牽強付会(けんきょうふかい、道理に合わないことを無理にこじつけること)といわれそうだが、メーガン妃が女優として有名になったのは、テレビドラマの『SUITS』だったが、彼女の役は「パラリーガル」なのである。試験が苦手で司法試験を受けないが、調査をやらせれば弁護士事務所随一の美人でセクシーな女性だ。

彼女は実人生でも、女性の人権問題やアフリカ支援の活動などをしてきているから、パラリーガルを演じることで、社会を見る目にさらに磨きがかかったのではないだろうか。

小室圭も日本でパラリーガルをやりながら、弁護士資格を取ろうと勉強していた。ニューヨークのロースクールへ入り、この夏には晴れて弁護士になるといわれている

世間にいいたいことは山ほどあるはず

そうした人間から、今の皇室はどう見えるのだろう。英王室以上に古い体質をそのまま残した“因習”の総本山のように見えるのではないか。ニューヨークにいればなおさらのことであろう。

日本古来の伝統を守り、天皇は日本国民統合の象徴であることは認めながらも、改革の余地はあると考えているのではないか。

平民”として初めて皇太子妃になった美智子さんが受けたといわれている、宮内庁でのいじめに近い処遇や、嫁姑問題。

雅子さんは、子どもがなかなか生まれないことで周囲に責められ、皇太子(当時)が「雅子の人格を否定するような動きがあった」とまで会見で発言する事態になったこともあった。

そして、母親の元婚約者との金銭トラブルがきっかけとはいえ、プライバシー侵害といえるような母親と自分に対する報道と、それを鵜呑みにして、自分の人格を疑い、結婚反対をいい募る世間に、いいたいことは山ほどあるはずだ。

弁護士資格を取得してもニューヨーク州の中だけでしか働けないようだが、一法律家として、日本の報道にものをいうことはあり得るだろう。

皇籍離脱、米国移住、そして…

これまで皇室の女性と結婚した男性たちは、皇室側が人選をして、ふさわしいと思う人間を選び、結婚をさせてきた。

だが、秋篠宮夫人・紀子さんと秋篠宮学習院で出会い、大恋愛を経て結婚した。紀子さんが表立って何かをいうことはないが、身内や職員に対してははっきりものをいうことで知られる。

まして、眞子さんと小室圭は、国際基督教大学で初めて知り合った“完全自由恋愛”である。眞子さんが皇籍離脱をして、14000万円といわれる一時金を放棄して小室圭と結婚すれば、2人が住むのは、ヘンリーとメーガンも選んだアメリカになるはずだ。



そうなれば、向こうのメディアも黙ってはいないだろう。2人をテレビに出演させ、爆弾発言をさせればと考えるに違いない。

新聞、雑誌も、独占インタビューを持ち掛けてくるだろう。眞子さんはいわないかもしれないが、法律家である小室圭が、これまでのメディアの報道の仕方や、秋篠宮夫妻とのやりとりについて話すかもしれない。

一卵性母子といわれている母親・佳代についての目に余るプライバシー侵害報道や、金銭トラブル後の秋篠宮夫妻の対応についての“事実”を話せば、日本で大きな騒ぎになることは間違いない。

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写真はイメージです 

「日本皇室のメーガン」になる?

私が小室圭なら、秋篠宮にこのことを聞きたい。秋篠宮が昨年の誕生日会見で、憲法24条を持ち出し、「結婚は両性の合意に基づく」から“2人の結婚は認める”といったのに、結婚と婚約は違うなどと、なぜいい出したのかと。

眞子さんが公表した「お言葉」の中で、「私たちにとっては、お互いこそが幸せな時も不幸せな時も寄り添い合えるかけがえのない存在であり、結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」といっているのに、なぜ、父親としてはっきり決断しなかったのかと。

もちろん、小室母子のほうにも非があることは間違いない。元婚約者と金銭問題について、なぜ早く話し合いをしなかったのかと問われれば、返す言葉がないだろう。

だがその一事をもって、自分の人格を全否定するメディアや宮内庁の理不尽さには、いいたいことが山ほどあるに違いない。

メーガン妃を見ていて、女優ということもあるが、メディアの使い方が大変うまい。今回のテレビ出演もそうだが、要所要所で雑誌のインタビューに出たり、時にはSNSを駆使したりしている。

巨大な相手と対するには、こうした「飛び道具」が有効になる。万が一、眞子さんと結婚できなかったら、小室圭は日本皇室のメーガンになるかもしれない

春だというのに、コロナ禍で花見もままならない。やることがないから、こうした“妄想”ばかりが膨らんでしまう。困ったものだ。(文中敬称略)




元木 昌彦(もとき・まさひこ)

ジャーナリスト

1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。



https://president.jp/articles/-/44266



 

結婚と婚約は違う」と秋篠宮さまが言ったことは、皇室の制度上のことを言及したかったものである。両性の合意である結婚は認めざるを得ないが、それは皇室のしきたりに従ったものにはしない、と言うことであろう。2人が結婚することになっても、「納采の儀」や「朝見の儀」は行わないと言うことであろう。と言うことは、とりもなおさず皇族としては「結婚はできない」と言うことでは無いのか。

(続く)