米国は米国で日本に対する渡航警戒レベルを最高ランクの「レベル4」に引き上げている。渡航は中止し、日本からは退避を勧告する、と言うものである。オリンピック選手団も日本へは来れなくなってしまうものだが、米国オリパラ委員会は影響ないと考えている様だ。しかし、日本でのコロナパンデミックが下火にならないと、選手団は派遣されない可能性も無きにしも非ずではないのかな。そうなれば東京五輪は中止せざるを得ない。小池都知事も思案のしどころである。
小池氏、五輪準備進める考え強調 都議会、各会派から質問相次ぐ
毎日新聞 2021/6/2 20:19(最終更新 6/2 20:20)
東京都議会議事堂に掲げられた東京2020エンブレム=東京都新宿区で、丸山博撮影
都議会第2回定例会は2日、主要会派による代表質問と一般質問が行われ、東京オリンピック・パラリンピックの開催について、各会派がそれぞれの考えを主張した。小池百合子知事は「安全・安心な環境を整えることが最優先で、実効性のあるコロナ対策を行うことが重要だ」と繰り返し、準備を進める考えを強調した。
都民ファーストの会の荒木千陽議員は、大会期間中に海外から約8万人の関係者が来日することについて「都民の理解が得られるか大いに疑問」と指摘。「無観客開催や再延期などあらゆる可能性を想定し、IOC(国際オリンピック委員会)などに検討を求めるべきだ」と主張した。
自民党の秋田一郎議員は、都としてもIOCに対して具体的な提案をしっかりと伝えるよう要望。「安全・安心な大会開催に向け、関係者が一枚岩となって最後の総仕上げに取り組むべき」と述べ、準備を進めるべきだとの考えを示した。
公明党の高倉良生議員は大会が1年延期された経緯を踏まえ、「万全な対策を講じることが重要で、安全な大会開催に向けた道筋を数値を含めて明確に示すべき」と注文した。都市ボランティアについても「検査実施を含めて対策を万全にする必要がある」とした。
共産党の曽根肇議員は「都民の命を守るため、今夏の開催中止を決断してコロナ対策に集中すべき」と求めた。都が「外出を控えて」と都民に求めていることに、「五輪のために正反対のことをやれば、政治の信頼が損なわれる」と語った。
立憲民主党の中村洋議員は「感染を拡大させないための確かな対策を示し、感染拡大の懸念を払拭(ふっしょく)できない限り、延期か中止するしかない」と述べた。【田中理知、竹内麻子、黒川晋史】
https://mainichi.jp/articles/20210602/k00/00m/040/396000c
それと言うのも、オリンピックを中止する権限は日本にはなく IOCだけが持っていることになっているからである。
そのため日本が中止すれば、東京都(日本)は、多額の賠償金を請求されることになってしまうようだ。
中止が可能となる場合とは、「参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」などに限られているようで、この合理的な根拠とは「アルマゲドン」級の事態しかないと言うものらしい。このオリンピックの「開催都市契約」とは、全くの不平等条約と言っても過言ではない、と言うものである。
IOCは、米国のケーブルテレビ・メディアエンターテイメント企業であるCOMCASTコムキチャスト 傘下のNBC・National Broadcasting networkからの放送権料で成り立っているから、東京五輪が中止されてしまっては放送権料が入らずに、倒産してしまう恐れさえあるので、東京都や日本からの何があっても中止と言う要求は聞き入れる筈がないのである。
まあ、オリンピックなんぞは開くものではない、と言うことでしょう。
五輪開催契約、IOCに「全権」 中止なら日本が賠償も
- 2021/5/27 23:00 (2021/5/28 5:13更新)
- 日本経済新聞 電子版
IOC総会で再選され、記者会見するバッハ会長(3月、スイス・ローザンヌ)=IOC提供・共同
東京五輪・パラリンピックの開催について国内外で悲観論がやまない。そんな中、国際オリンピック委員会(IOC)と日本側が結んだ「開催都市契約」に注目が集まっている。大会中止に関する権利や手続きなどが定められており、その中身は圧倒的にIOCに有利なものだ。日本側が中止を要望した場合、IOCが多額の賠償金を請求してもおかしくないと専門家は指摘する。
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開催都市契約は五輪の日本開催が決まった2013年9月7日、ブエノスアイレスで結ばれた。IOCと東京都、日本オリンピック委員会(JOC)、大会組織委員会が取り交わす文書を読むと、不平等条約ともいえるような条項が並ぶ。
中止する権限は日本になくIOCだけが持つ。「参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」などに中止が可能で、日本側は「いかなる形態の補償、損害賠償またはその他の賠償またはいかなる種類の救済に対する請求および権利を放棄」することになっている。
仮に日本の要請で中止となった場合などに、IOCやテレビ局などに損害が出ないよう日本側が補償する義務も定められている。国際スポーツ大会の契約に詳しい弁護士の松本泰介・早大准教授は「IOCは日本側に損害賠償を求める可能性がある」と話す。
IOCにも切羽詰まった事情がある。収入のうち、IOCは9割を各スポーツの国際競技連盟(IF)や世界各国・地域のオリンピック委員会(NOC)に分配する。この資金に頼るマイナー競技のIFは少なくなく、昨年の延期時も金策に追われたIFがあった。中止の場合は賠償請求などの手を尽くさないと、トーマス・バッハ会長ら執行部がIOC委員やIFから突き上げを食らうだろう。
金額的に最も大きいのが放映権料だ。13~16年のIOCの総収入57億ドル(約6200億円)のうち、放映権料は実に73%を占める。最大の得意先が米NBCユニバーサル。32年までの夏冬6大会の放映権料を76億5000万ドル(約7800億円=14年当時)で契約している。「IOCやNBCは保険に入っているが、中止の損害の全てがカバーされることはないだろう」と松本弁護士。賠償請求金額は数百億円規模に上る可能性があるとみる。
ただ、延期で既に多大な損失を被っている日本に追加負担を迫れば、IOCに世界の批判が集まる可能性が高い。スポーツビジネスに詳しい武藤泰明・早大大学院教授は「感染症が10年、20年に1度起こりうる時代になった。今後、開催を検討する全ての国が同じリスクを背負う」と語り、賠償請求が今後の開催都市探しに悪影響を及ぼすとみる。
五輪の開催都市契約は、国際的な契約としては異例だとも松本弁護士は語る。「不可抗力でイベントを開催できない場合、契約を結ぶ双方が責任を逃れられるように免責条項を入れるのが普通。私が携わった他のスポーツの世界大会もそうだった。五輪のような形はレア中のレア」
19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会も例外の一つで、中止権限はIFだけが持っていた。「日本側の事情で中止になると損害賠償が必要だった」。当時の大会組織委の関係者は語る。同大会は夏季五輪、サッカーW杯とともに世界3大スポーツ大会と称される。大きなお金が動き招致を望む国が多いイベントほど、主催するスポーツ団体の力が強い。「(招致国を決める際の)バイイングパワーは圧倒的にIOCが強いから一方的な契約が問題視されてこなかったのだろう」と松本弁護士は話す。
17年にIOCと日本側が守秘義務契約を見直して公開された今回の契約内容は、巨大スポーツイベントのいびつな構造をあぶりだした。ただ、巨額賠償の可能性があったとしても、開催可否の判断はコロナ下でも安全に大会を運営できるかどうかに尽きる。国民の視線が厳しいときだからこそ、不安を払拭する具体的計画と説明が最優先になる。
(スポーツビジネスエディター 谷口誠)
https://r.nikkei.com/tokyo2020
(続く)