しかもこの強姦殺人や略奪は、言い訳のできない厳然とした「犯罪」であり、明確な証拠が存在しているものである、と次の論考には記述されている。「人道に対する罪」で、ウラジミール・プーチンを死刑にできるものである。
ブチャのレイプ殺人で終わったロシア、北海道進軍なら滅亡へ
ウクライナ電撃侵略は「インパール」と並ぶ史上最低の亡国作戦に
2022.4.11(月)伊東 乾
ロシア軍による大虐殺が行われたブチャで、レイプされ殺害された遺体を調べるウクライナの警察官(4月6日、写真:ロイター/アフロ)
またしてもロシアお得意の、無理筋だけの詭弁が出てきました。
プーチンの「B面」というべきドミトリー・メドベージェフ「ロシア前大統領」が「経済制裁はロシアへの侵略行為と見なすことができる」(https://news.yahoo.co.jp/articles/5637d51c8d68917db0f59e1a2187e7624d22f8dd)と遠吠えしたのです。
まあ、国際政治の常識から言って「経済制裁」が「侵略」であるわけがないのは明らかです。
ここで弄(ろう・もてあそぶこと)そうとしている詭弁は、チンピラやくざのいちゃもんと大差がない。真に受けて反論する人も見ましたが、その価値も本来はありません。
しかし、です。これをすべて「ロシア国内向けのプロパガンダ」として読むと、キャンキャン鳴くだけの遠吠えにも、納得がいく解釈が可能になってきます。
スピッツはロシア国内向けに吠える
ロシア大本営は連戦連敗の事実を国民に告げていません。しかし、ネットがあるので半バレではあります。
これについては「あれはみな、鬼畜米英のフェイクニュース」と強弁し、戦時プロパガンダで塗りつぶそうとします。いつの時代どこの国も同じですね。
しかしここで「経済制裁」が「侵略戦争」と呼ぶのは、そのように騙されているロシア国民の生活感覚にはなかなかぴったりくる「キャッチフレーズ」になっているのです。
4月に入り、経済制裁は峻厳化、ロシア国内では「ヒトものカネ」がどんどん回らなくなっている。
特に「モノ」不足は露骨に国民の家計を直撃します。今まで「あった」ものが「なくなっていく」。
政府も「戦時経済」への根本シフトを余儀なくされますが「対外戦争」もとい「特殊軍事行動」ではロシア勝利を印象付けられている。
ところが「軍事力で無敗のロシアに勝てない鬼畜米英は、卑劣なことに『経済封鎖』でロシア国民を締め付ける策に出てきた」と演出してみせる。
ブチャ大虐殺などは全部「フェイクニュース」。そういうプロパガンダです。
さて、ロシア大衆としては、いままで家庭内に存在していた
・パンがなくなる
・砂糖がなくなる
・牛乳が高値で少ししか買えない
・欧米のチップで動くコンピューターは故障したらもうそれまで・・・
と、どんどん生活が不自由になる。身を削られ追い込まれていくわけです。こうなると生活感覚としてはまさに「失った」「持って行かれた」から「取られた」「侵略された」に近い。
そんな被害感情を錯覚する。そして「この鬼畜米英め!」ということになる。
実際はもちろん、愚かなロシア戦争指導部がいけないのです。でも、その矛先が国内に向かないようロシア国民向けアピールとして「侵略に抗議!」と、メドベージェフはワンと吠えて見せる。
続く「ワンワン」ふた吠え目で「国際関係が袋小路」に迷い込み「国連が崩壊」とか言っていますが、そうじゃない。
袋小路に追い込まれるのはロシアの社会経済、崩壊に直面しているのは「ソビエト連邦」の残骸である「ロシア連邦」が、すでに崖っぷちで風前の灯となっている。
事実、ロシアは2022年の経済制裁で、かなり深刻な(1991年の建国以来最大規模というか、ほぼ亡国の)ダメージを避けることができません。かつての「ABCD包囲網」以上です。
ものがない。つまりものの価値が上がる。それは直ちに貨幣価値の下落、ルーブル暴落のリスクを意味します。
机上エリートの誤算:
「電撃戦」長期化がもたらしたもの
仮に今年、ロシアでハイパーインフレーションが発生すると、ルーブルは完全に紙屑となり、このレジームは持たなくなるでしょう。
政治を一新し、「新通貨への切り替え」で一度ご破算に願って「戦後復興」とせざるを得ません。
そちら側への決定的な舵の切り替えが「ブチャ大虐殺」の、特に「拷問」「強姦」「強奪」の3Gだったと、日本語的にはチェックしておきます。
ナチスの戦争犯罪で懲りている欧州は、この3Gで、完全にロシアを「切り」ました。
「核使用」をチラつかせながら、投入した部隊が「拷問」「強姦」「強奪」では、安全保障理事会のメンバーであることを否定されても反論できない。
下手をするとかつての「オスマントルコ分割」と同様、ロシアという国名は消去され、17世紀以前の本来の土地、北極圏のこじんまりとした地域国家「モスクワ共和国」にまで切断縮小される可能性もゼロではないでしょう。
すでに広く伝えられているように、2月24日、ウクライナに攻め込んだプーチン戦争指導部当初の思惑は「2~3日の電撃戦で首都キーウ制圧、ゼレンスキー政府を追い出し、ウクライナ全土を保護国化」という脇の甘いものでした。
実際にはそうはならず2月24~25日、緒戦となった「アントノフ空港」や「ホストメル空港」での戦闘で、投入した精鋭部隊は全滅。ロシア軍は完全に出鼻をくじかれました。
さて、ここで適切に撤兵できていたら、歴史は変わっていたでしょう。
冬山登山などでもそうですが、リーダーにとって一番難しいのは引き際で、経験の浅い指導者がタイミングを逸することで悲劇が起きる。
今回の戦争に関しては、プーチンやショイグなど軍事経験のない文官が「経験の浅い指導者」で、短期戦のシナリオを描いたとされるゲラシモフ参謀総長は緒戦敗退後、プロとして適切な軌道修正ができませんでした。
開戦後2週間ほどが経過しても、思わしい戦局が開けない。
でも引き際という言葉がなかったプーチン指導部は、A.ボルトニコフ長官指揮下のFSBロシア連邦保安部隊、V.ゾロトフ隊長率いる「プーチン護衛軍団」ロシア国家親衛隊グヴァルディアなど、占領地支配の第2陣を投入し、お決まりの恐怖支配でウクライナ首都圏を占領支配と思っていたのですが・・・。
3月後半、いくら素人大本営でも、さすがにロシアの敗色は明らかとなり、ドネツク/ルガンスクなど「東部の既得権益死守」と、これまた素人っぽい唐突な作戦変更大号令。
あわただしくロ軍が去っていった後、ブチャなどの占領地に遺されていたのは、山なす拷問・強姦・強奪された「市民犠牲者」の遺体と、さらにその遺体にまで仕掛けられた地雷、略奪の赤裸々な形跡など、国際法違反の目白押しだった。
特に「レイプ」強姦や略奪の事実が、「死体」という「動かぬ証拠」と生存被害者の証言、両方揃って残ったのがプーチンには致命的でした。
戦争指導部、特にレニングラード大学でプーチンの後輩にあたり、法学部講師から国家法律顧問をへて傀儡となった机上のエリート、メドベージェフのような文官にとっては「聞いてない」完全に想定外の誤算となりました。
(続く)